まちの先生企画講座1『舌を鍛えて若々しさと健康を』
2011/06/07
6月6日(月)まちの先生企画講座1『舌を鍛えて若々しさと健康を』の第2回「舌の運動をしましょう」を石狩市公民館で行いました。講師は、ボイス・トレーナーの相馬絵梨さん、受講者は15人でした。
「皆さんこんにちは、前回お話した"リラックスの口"はマスターできましたか?」と相馬さん。
「はい、良いですねえ。それでは、今日の課題、舌のトレーニングに入ります」
「舌のトレーニングは二つありますが、どちらも必ず"リラックスの口"からスタートします。先ず一つ目は、舌吸盤です」
「①舌先をスポットに固定したまま舌の表面全部を上あごにベタ~ッと吸い上げて1,2,3と数え②4つ目で吸い上げていた行為を瞬時に止めます③唇や頬、首周りの筋肉を脱力させて1,2、~6,7,8の間にゆっくり"リラックスの口"に戻していきます、これが舌吸盤です」
「まずやってみてください」
「それでは今度は鏡で口の中を見ながらやってみましょう、鏡を出して下さい」
「舌の裏には一本筋のような物が通っていますが、これは何か分かりますか?」
「舌小帯といって、舌はこれで口の中の下あごとつながっています」
「実は舌吸盤は、舌小帯を伸ばすトレーニングでもあるのです」
「それでは、舌小帯を見ながらトレーニングしてみましょう、じゃあ、いきますよ~・・・・・・・」
「今度は、メトロノームに合わせてやってみましょう!」1,2,3・・・カチカチ・・・
ここで、受講者から質問が・・・この講座も2回目でもあり、相馬さんの巧みな雰囲気作りもあって、受講者もリラックスして疑問があるとどんどん投げかけ始めました。
『舌を付けた時は、口を開けなければいけないのですか?』
「いいえ、特に開ける必要はありません、私の場合は皆さんに分かりやすいように開けているのです」
『最後の1,2~7,8までのところで、舌をいつスポットにつけたら良いのでしょうか?』
「良い質問ですねえ。舌は一番最後にスポットに付けてください」
「これは、舌の筋力をアップさせるトレーニングなのです、はい、もう一度やってみましょう」
ここで、舌小帯についてのお話がありました。
「昔、助産婦さんは小指の爪を伸ばしていたそうです。その伸ばした爪で赤ちゃんの舌小帯を切っていたのです、舌小帯が短いと舌の動きが悪くお乳が飲みにくいと考えられていたからです」
「でも今は、それは医療行為にあたるので助産婦さんは切りません。というより、切る必要がないと云われています、それは、舌の運動をしないと、切っても結局また元に戻ってしまう場合が多いからです」
「それでは次に2番目のトレーニング、長く&細く・べ~、をやります。先ず脱力した舌をのばして1,2,3,4今度はその舌を細くして1,2,3,4
最後はまた舌吸盤の時と同じように8つ数える間に"リラックスの口"に戻します」
「これもメトロノームを使ってやってみましょう!」・・・カチカチ・・・
「はい、けっこうです。皆さんお上手ですね、びっくりしました」
ここでまた質問が・・・
『舌がなかなか丸くならないのですが?』
「舌を丸くする時の力の入れ具合は人それぞれです。あせらないで、少しづつやってみましょう」
『さっき、昔は助産婦さんが赤ちゃんの舌小帯を切ったと言われましたが、そんなことをして後遺症は出ないのでしょうか?』
「産まれた直後の赤ちゃんであれば切っても痛くはないようですし、数日でキズがふさがるので特に障害はないようです。むしろ、術後元に戻ってしまう場合が多いので、切る意味がないという医師が多いようです」
これに対して、ある方が自分の体験談を話されました。
『私の長男はオッパイを飲むのがへただったので、舌小帯を切りましたが、飲むのが上手になり特に障害もありませんでした』
『舌の訓練をしたら、舌小帯は伸びるのでしょうか?』
「はい、そうなんです。舌小帯を伸ばして舌の動きを活発にするのです」
「さて、一人でやっていてもはっきりわかりませんから、今度は4人1組になってお互いに見合いながらやってみましょう!」
「4人のうち1人がやってあとの3人はカウントしながら見守りましょう」
参加者は15人なので、1人スタッフが入って男性、女性同性同士のグループ4組で始めました。
ここで、ちょっと面白い現象が・・・女性のグループはすぐに誰か1人がトレーニングを始めましたが、男性グループは手順などまず理屈が先立つのか、なかなかトレーニングに入れません。男性と女性の特質の違いが現れた一場面でした。
相馬さんは、各グループを廻って身ぶり手ぶりをつけて、手助けします。相馬さんのやわらかなアクションに対して、『先生のその身ぶりに乗せられます~』との声。
対して、相馬さんも「皆さん、どんどん上手になられて、びっくりしました」
・・・・・・ここで休憩
「さて、それでは、嚥下(えんげ)について、お話します」
「嚥下とは何でしょうか?」
「そしゃくによって、かみ砕かれ唾液(だえき)と混じり合った食物は、舌の上に集められ、舌はそれを咽頭(いんとう)に送り、食道を経て胃に送られますが、この一連の動作を嚥下と云います」
ここで、資料の図を見ながら、咽頭、喉頭、口蓋垂、喉頭蓋など"のど"の構造について説明を受けました。
「皆さん、誤嚥性肺炎ってご存知ですか?」
『食べ物が肺に入ってそれが炎症を起こすのではないでしょうか』知っている方がいました。
「そうなんです。実は私のおじいちゃんは、バースデーケーキを誤嚥して、誤嚥性肺炎で亡くなりました。今、高齢者の間では、誤嚥性肺炎で亡くなる方が多いのです」
「また誤嚥性肺炎には、もう一つのパターンがあります。私のおばあちゃんのパターンです。おばあちゃんは、おじいちゃんと違って特に自覚症状もなかったのに、なんとなく変だということで病院に行ったら、誤嚥性肺炎だと分かったのです」
「これは、寝ている間に、唾液が気管に入って、肺炎の症状を引き起こすのです」
「口の中を清潔にして、舌の筋力をつけて飲み込む力をつけることが大事です」
「舌のトレーニングをすると、誤嚥を防ぎ、唾液の分泌も増えます」
「今日お教えしたトレーニングをそれぞれ1日4回づつやってください。鏡を手にして、じっくりやって下さい」
「でも、どこかに痛みを感じたり力みを感じたらすぐに止めてください」
「そんな場合は、基本の"リラックスの口"に戻って最初からやり直してください、けっして無理はしないで下さい!」
ここで、ある受講者から肺炎ワクチン接種のお勧めがありました。
「それでは、2週間後にまたお会いしましょう、3回目は顔の表情筋運動をやります!持ち物は同じです」と第2回が終了。
講師の相馬さんと受講生との息がぴったり合って、内容の濃い講座でした、いよいよ次が最終回です。
皆さん、1,2,3,4・・・舌のトレーニング、一日4回実行ですよ!