講座6《プロフェッサーコース》『洞爺湖・有珠山ジオパークを学ぶ』
2010/07/26
7月24日(土)講座6《プロフェッサーコース》『洞爺湖・有珠山ジオパークを学ぶ』の第2回「北海道の火山と洞爺湖・有珠山」が行われました。講師は、北海道大学理学研究院助教 吉本充宏さんです。
お話は、火山についての一般的な知識を確認をする「火山とは」というテーマで始まりました。先ず、火山の分類ですが、昔学校で習った休火山、死火山という分類は今は使わず、活火山(過去1万年間に噴火したか、現在噴気活動のあるもの)、第4紀火山(170万年前~現在)、第3紀火山という分類をするのだそうです。もうひとつ、形による分類もあります。
また、岩盤の温度上昇や圧力低下による液化で生じるマグマは、海溝から水を含んだ(水を含むと液化しやすい)プレートがある程度の深さに沈み込んだ時に出来るのだそうです。そして、具体的に北海道や世界の活火山の分布を示されました。
第2のテーマは、火山噴火と災害についてでした。
火山災害の特長は、噴火現象が多様なので被害も多様なことと災害が長期化することだそうです。
災害回避には、火山(自然)を学びその知識を活用することが重要で、例えば、1993年の北海道南西沖地震では、10年前の地震より揺れが大きかったことから直ちに高台へ避難した人たちが助かったが、1985年のネバドデルルイス火山の火山泥流災害の場合は、ハザードマップが作成されていたにもかかわらず、有効に活用されなかったために、死者23,000人の大惨事となった。
また、火砕流は、岩石・火山灰・火山ガスが混ざった高温高速の流体となり、時速100キロ以上の速度になるというお話にはびっくりさせられ、改めて火山災害の恐ろしさを認識しました。
第3のテーマは、洞爺湖と有珠山についてでした。
ここでは、10万年前の洞爺カルデラの噴火やこれまでの有珠山の噴火履歴を学びました。
第4のテーマは、噴火に備えるです。
山頂噴火と山麓噴火のポイントや有珠山地域の防災ガイドブックなどについて学びました。
最後は洞爺湖・有珠山ジオパークについてでした。
ジオパークの効果は、火山の恵みを享受しながら地域全体の防災力の向上をはかることにあり、実際に、洞爺湖・有珠山地域では、ジオパークを推進する事が、効果的な火山災害予防対策の一つとなっているとのことです。
このように、火山について様々なテーマでお話された吉本さんの講義に対して、受講者からは、
「火山が身近にあるのに、なぜか知識はほとんどなかった。とても興味深く聞くことができた」
「吉本先生の話は大変明瞭で、聴講しやすかった」
「身近な火山である有珠山のことをわかり易く講義してもらい良かった」
「内容豊富で時間が短く残念でした。今後も継続してもらいたい」
「火山のことが大変よくわかりました。退屈しませんでした」
「このような講座は幾度か聞きましたが、本講座は理解し易く、受講して良かった。プロフェッサー講座は他の講座にはない、出色の企画と思います」
「マグマの成因が圧力と温度のかかわりが大きいとのこと、よく理解できた。身近な火山である樽前山や有珠山の成因や火山災害を知ることにより、より親しみが持てるようになった」
「噴火によって住民は大変な被害を受けたが、一方では地形の変化などにより観光客が増え、また、噴火の予兆を知ることの重要性等、参考になる講義が聞けました」
などの声が寄せられ、皆さん火山のことをしっかり学ばれたようです。第1回、第2回の講座で学んだ知識を踏まえて、第3回の火山見学が楽しみです。