講座13《いしかり学コース》いしかり歴史大百科Ⅲ「語り継ごう 石狩空襲」
2010/11/26
11月25日(木)講座13 いしかり歴史大百科Ⅲ「語り継ごう 石狩空襲」の第2回「望来空襲(埋もれた墓標)」が望来コミュニティセンター「みなくる」で行われました。参加者21名の他に地元の方々約20名が特別参加。講師は望来空襲死没者遺族会の吉野典之さん外4名です。
11月4日の第1回は死者13名の被害が出た旧石狩地区の空襲について学びましたが、第2回は、7名の子供を含む11名が亡くなった「望来空襲」について学びました。
石狩市公民館に集まり、バスで望来へ向かいました。
会場には、昭和62年に望来中学校の生徒が平和の尊さを訴えるために作った望来空襲の紙芝居「埋もれた墓標」のレプリカ(実物は1メートルもある)や浜益の紙芝居が展示されていて、講座の始まる前に、見ることができました。
今回の講座は、吉野さん始め5名の方が、それぞれの空襲体験を語る形式で行われました。※なお、この記事は、5人の方が語られたものを、記憶をたどって書いたものです。記憶違いもあるかと思いますので、正確でない点があればどうかご容赦ください。
吉野典之さん談
当時は国民学校の1年生だった。グラマンの編隊が見えた。母が、ムロに落ちたが、幸い無事だった。煙と火があたりに充満して、何も見えなかった。翌朝、遺体がリヤカーで運ばれるのを見たが、上半身が焼けただれて足だけきれいだった。米が焼けたいやな臭いは、後々まで思いだした。
長谷部さん談
6歳だった。6人兄弟の末っ子でいつも兄について歩いていた。空襲の時は、牧場で赤い布団をかぶっていた。監視所が無くなってしまって、米がくすぶっていた。くすぶった米を食べようとしたが、臭いがひどく食べられなかった。夕方、両親が泣いていたのを記憶している。
西脇さん談
自分は札幌にいて体験していないので、姉が体験したことを書いてくれたものを読む。
恐ろしくて、家の中に潜んでいたが、弟(嘉男さん)は防空壕を掘っていて、被害にあい、5時頃死亡した。火葬した時、体から3発の銃弾が出てきた。弟のことは、あまりの驚きで、涙も出なかった。
浜尾さん談
監視所に勤めていて、空襲時は逃げた。浜益から札幌方面へ飛行機が低飛行で飛ぶのを見ていた。
沖田さん談
当時17歳。空襲時は排水に逃げた。吉永さんの家が吹っ飛んだ。ひどい臭いがした。空襲の体験者も、だんだん年を取り、亡くなる方もいて数も少なくなっているので、なんとかこの体験を語り継いでいきたい。新たな資料を集めるのは難しいが、残っている資料を伝えていきたい。今ある資料をどう生かしていくのか、どうしたら伝えていくことができるかと考えている。
5人の方がそれぞれ生々しい体験を語られたあとは、質問の時間が取られました。
○望来空襲の紙芝居「埋もれた墓標」はどのようなきっかけで作られたのか・・・望来中学校の近藤先生と云う方が、生徒に空襲の事を調べるよ う宿題を出し、生徒達が経験者に聞きとりして廻ったのが始まり。
○空襲記録誌「埋もれた墓標」は市民図書館にあるか・・・1冊ある。なお「埋もれた墓標」は望来の各家庭に1冊づつ配られたが、その他には望来小学校と厚田中学校にある。
今日のお話を聞いて、軍需施設もない望来に爆撃機が低空飛行で飛来して、爆弾を落とし、11人もの死者を出す被害を与えた戦争の悲惨さを改めて噛みしめると同時に、二度とこのようなことが起こらないように、この体験を伝えていかなければならないと思いました。
受講者からもたくさんのコメントが寄せられましたが、そのうちのいくつかをご紹介すると
「私も戦争体験しております。防空壕に逃げたり飛行機が低空に飛んでいくのを見てもおります。やはり語り継ぐことが大切だと思います。経験者は、小、中学校に出前講座をしたらどうでしょうか」
「望来空襲の実体験による生々しいお話から戦争の恐ろしさを改めて感じとれた。沖田さんの言われる若い人々に語り継ぐ為にどうすべきかを再考が必要。決して過去の事として風化させてはいけないと思います」
「実体験のお話を聞かせてもらえたのは、本当に貴重な日となりました。紙芝居は、市役所ロビーで数年前展示されていました。また、今年は『とんからりん』というボランティア団体の人が読み聞かせを、りんくる祭りや図書館まつりに行いました」
「一番最初に聞きとり調査を始めた望来中学校の先生は元気なのかと思います。劇を演じた中学生、紙芝居を作った(当時の)中学生に声をかけてもよいのでは?望来に住む子供達にも機会があれば・・・と思います」
「もっと若い人、小、中、高生などに聞いて欲しいです」
「以前読んだ『埋もれた墓標』の文章の中に出てくる方のお話を直接お聞きし、心に残りました。語ることは苦しかったことと存じますが、お話を聞かせていただきありがとうございました。石狩市、札幌市の学校で紙芝居を見せたらいかがでしょう」
「現地でのお話を聞くということは実感がちがいますね。このような話を聞く機会を子供たちにも作ってあげてください」
等など皆さん、5人の方の実体験の話に感銘を受けられ、この体験を是非子供達にも伝えていかなければと感じられたようです。
なお、市民カレッジのホームページを見て、この講座の事を知り、わざわざ遠軽から駆け付けたという若い先生(ご両親が望来出身)が参加されたのは、大変嬉しいことでした。