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講座1 杉浦篤子さんと美術を楽しむ『アートって何?』

第1回 「アートを演出する」~キュレーター(学芸員)という仕事、現代アートでまちおこし~

2011/04/27

  4月26日(火)平成23年度最初の講座として、講座1 杉浦篤子さんと美術を楽しむ『アートって何?』の第1回「アートを演出する」~キュレーター(学芸員)という仕事、現代アートでまちおこし~を開催しました。講師は藤女子大学人間生活学部保育学科教授の杉浦篤子さん、会場は石狩市民図書館、参加者は29名でした。

 「杉浦篤子さんと美術を楽しむ」は昨年に引き続いての講座です。3回シリーズだった昨年の講座では、札幌駅ホールにある安田侃の彫刻「妙夢」や野外彫刻公園・アルテビアッツア美唄、イサム・ノグチとモエレ沼公園などアートが私たちのごく身近にあることを教えて頂き、キャンドル作りにも挑戦しました。

(参考までに昨年の講座の様子をリンクしました。下記からご覧ください)
第1回「世界の五大美術館と札幌ステラプレイス」
第2回「イサム・ノグチとモエレ沼公園」
第3回「キャンドルを作ってみよう!」

 今回は、展覧会を開催する側のキュレーター(学芸員)や現代アートについてのお話で、昨年とは違う角度から美術に触れる講座でした。

231-1-1.JPG 博物館など類似施設も含めて1970年代以降、多くの美術館が建設されました。そして今は、単に公共性を持つだけではなく、ウェディングやレストランなどアミューズメント化した美術館にみられるような新しい公共性の実現が求められているのだそうです。

 その美術館への接点として、面白いものが紹介されました。それは、ディック・ブルーナという人の「ミッフイーのたのしいびじゅつかん」という絵本です。

 うさぎのミッフィーが両親と一緒に美術館へ出かける話で、美術作品に触れた幼い子どもの新鮮な感動と子どもらしい素直な視点で美術を楽しむ体験が描かれています。

231-1-2.JPG 特に、現代アートに対して、人はどうしてもその意味を考えようとしがちですが、ミッフィーのように素直に感じると、味わうことが出来るそうです。

 次は、キュレーター(学芸員)の話ですが、実はキュレーターの主な仕事だと考えられている特別展示企画は、実際は仕事の中の3分の1で、それ以外に、展示会場作りや作家との交渉、時代を読み取る先読みの感覚で若い作家を育成する事など多くの仕事があるのだそうです。

 また、会場の隅に座っている人は、キュレーターではないことも教えて頂きました。

 そして、キュレーターとして紹介されたのは、新国立美術館所属で、金沢21世紀美術館で現代アート展を企画した長谷川祐子さんです。

 長谷川さんは、現代アートを多くの人に親しませようと努めてきた方で、その様子は「NHKのプロフェッショナル」のビデオで詳しく紹介されました。ビデオの中で、長谷川さんが"アートの力を信じている"からここまでやってこれた、と言っていたのが印象的でした。

231-1-4.JPG 長谷川さんは、従来のような作品を見るだけの展示ではなく、美術館そのものをアート空間とする展示方法で、多くの人に現代アートを身近に感じさせているそうです。

 ビデオでは、観客が、長谷川さんが演出した空間の中で現代アートを、見て、触れて、感じて、楽しむ様子が映されていました。

 最後に、アンコール遺跡などアジアの文化財保護に力を注いだ平山郁夫の活動を紹介して、作品の保護や遺産を引き継ぐ事の大切さを話されました。

 そして締めくくりに、岡本太郎展を見に行かれたことを話されて「岡本太郎の絵はとてもきれいです。東京へ行ったら、渋谷駅のコンコースにある"明日の神話"をぜひ見てください」と結ばれました。

 キュレーターのお話を聞いて、美術館の見方がまたちょっと変わり、アートを素直に感じることの大切さを学び、現代アートに対してもこれからは自然体で向き合うことが出来そうに思えた講座でした。

 受講者からも

「キュレーターという仕事の大変さがよく理解できました」

「現代アートにはほとんど関心を持っていなかったのですが、目からウロコ・・・理屈ではなくふれたい、見たいと思いました。これからは、美術館へ行った時は今までとは違う目線で見られると思います」

「現代アートはどうもなじめなく近づくことはあまりなかったが、講義を聞いて少し近づいてみようかと思うようになった。美術館のすみで座っている人に質問したことがあり、ちょっと待って下さいと言われあとから答えてもらったことを経験していますが、今日のお話で事情が分かりました」

「TV放送で見た映像でしたが、講座で学んだことにより改めてキュレーターの仕事の大切さ難しさを理解できました。自分の感性を大切にして作品を見、触れたいと思います」

「改めてアートに対するものの見方が変わった。演出とは大変な事であり、発想の世界でもある」

等などの声が寄せられました。

 
 
 

 




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