講座2 日本・北海道の畑作史/畑作日本一への軌跡
2011/07/18
7月15日(金)講座2《プロフェッサーコース》日本・北海道の畑作史/畑作日本一への軌跡の第3回 「北総研機構 農業研究本部 中央農業試験場見学~北海道の畑作について理解を深める」が行われました。講師は前回と同じく農学博士、技術士である佐藤久泰さんです。
9時に公民館に集合し受講生19名、スタッフ5名がバスに乗り農業研究本部、中央農業試験場のある長沼町に向かいました。バスの中では講師の佐藤さんがバスから見える道路端の雑草について話をされ、マメ科の植物でシナガワハギ、シロバナシナガワハギが拡大している事、またイネ科のケンタッキーブルーグラス、ノラニンジン、エゾノギシギシ等、最近増殖している雑草について話をされ、一般的に種の小さいものは繁殖力が強いことも話をされていました。
また第1回、第2回の講座で出された質疑について答えられ、有機栽培の現状ついての質疑には、無農薬、有機栽培には雑草退治に大変な費用と手間がかかるので、有機栽培農家は減少してきているとの事でした。 また黒豆茶の美味しい作り方については、いま糖尿病、高血圧に良いという事でブームになっているが、やはり使用する分をこまめに炒って急須に大匙1杯を3~5分入れるのが良いようである。残った豆は炊き込みご飯にするのが良いそうです。
余談ですが畑作物の種まきは畑を乾燥させてからとし、種子を水に浸してから蒔くのは良くないそうです。色々と佐藤さんのお話を聞かせていただいているうちに今日の目的地北海道立中央農業試験場に到着しました。
早速講堂に案内され担当者から北総研機構、農業研究本部、中央農業試験場の組織の説明がありました。
農業研究本部は8つの試験場で、北海道の各地域に適した作物や栽培技術の開発、家畜の育成技術の開発に関わる研究を行っています。今日はその8つの試験場の1つで長沼町にある中央農業試験場に来ていただいていますが、ここ長沼の試験場は畑作物と果樹の品種改良と栽培法を主に研究をしていて、これらの業務は作物開発部が主に担当しています。
作物開発部では畑作物(麦類、豆類、馬鈴しょ、てんさい、そば)と果樹の品種改良と栽培法の試験のほかに、バイテク技術を用いた選抜の開発、新たな素材の作出、品質評価技術の開発、成分試験などの業務も担当しています。
畑作物の品種改良、栽培法に関しての研究では、大豆に関しては水田転換畑(水田転換畑は大豆耕作面積の52%)に適応した①大粒・高品質・加工適正②大豆ワイ化病抵抗性③ダイズシストセンチュウ抵抗性④機械収穫適正⑤多収性⑥耐湿性等を付与した品種育成を行っています。
農家が作りたい大豆とは上記に示したように、多収穫であり、耐寒性、耐湿があり、病害虫等の抵抗性、コンバイン収穫ができる弾け難い品種を望んでいるが、このような特性を持った品種に改良するにはメンデルの法則を利用しながら、その目的に合った良い面を何回も交配し、色々な条件を試しながら目的にあった新しい品種が出来る事になるのですが、1つの新しい品種を作るには10年くらいかかるとの事でした。大豆に限らず麦、小豆にしても同じ考え方で改良を重ねて研究しているそうです。
その後、遺伝子組み換え作物についての安全性について質問が出されましたが、まだ長期にわたって安全か、不安全か確認をされておらずわからないとの答えでした。
講堂での説明が終わり今度は畑作場の見学になりました。病害虫の進入を防ぐため靴にビニールを取り付けて、広大な畑作場を見学、ここは北海道における主な作物の育種場所だそうです。最初に春蒔き小麦の改良に取り組んでいる場所を見学、一面黄色に色づき収穫を迎えているようでした。
次に向かった先は連作被害を避けるため、畑作場を4分割し春蒔き小麦試験・秋蒔き小麦試験→
中央農業試験場の作物開発部の担当者の皆様ありがとうございました。
また講師の佐藤さんには行き、帰りのバスの車中、試験場の案内と大変気を遣っていただきました。ありがとうございました。
第1回から第3回の講座を通じて先生の畑作農業に対する熱意が感じられた講座でした。感謝を申しあげたいと思います。