講座6 古生物の世界~地球生命の謎を解く
2011/07/22
7月21日(木)講座6「古生物学の世界~地球生命の謎を解く」の第1回「石狩低地帯の成立と化石」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、札幌市博物館活動センター学芸員で理学博士の古沢 仁さんです。受講者は、36人でした。
カイギュウ研究では日本で第一人者と紹介された古沢さんは、開口一番「私は、カイギュウ研究では第一人者です、と云っても、研究者が一人しかいないと云う意味の一人者ですが」と受講者を和ませてから、話を始められました。
そして「古生物学は、考古学と似ていますが、人が関わらないという点で違いがあるのです。生物がどのように誕生してどのように進化したのか、調べるのが古生物学で、あまり社会に貢献しないように思われますが、知らないことを知りたいという要求に応えるのが、学問の意義なのです」と続けられました。
さて、本日のテーマ「石狩低地帯の成立と化石」について。
古沢さんは、石狩低地帯がどのようにして出来たかは、地球の成立、世界の成立、日本の成立、北海道の成立と順を追ってみていかなければ分からないと言われ、先ず地球の成立の話しから始められました。
地球が今のような姿を保つことができたのは、太陽からちょうど程良い距離にあったからで、これ以上近くても、遠くても駄目だったのだそうです。
地球は、出来た頃他の星と衝突し(ジャイアントインパクト、飛び散ったものが月となった)火の玉のようにドロドロとなり、重い物が中心へ、軽いもの(岩に取りこまれていたガスなど)が表層へと分離した。
ここで、地球にある水の量についてのお話がありましたが、地球を直径1mの球とすると水の量は760ccしかなくその内真水は5cc、大気の層も1㎜もないほどで、地球の生命はそれほど危うい環境の中でくらしているのだそうです。
地球のマントルは、内部は熱く外は冷やされるので対流をおこし、軽い岩石が大陸となった(6億5千年前)
大陸については、ウェグナーが大陸移動説を唱えたがその当時は認められなかった。しかし、今では、一つの大陸であった時につながっていたとされる部分で、地質や化石が共通していることが分かってきて、大陸移動説は定説となっている。
1億5千200万年前大陸は移動を始め、1億3000年前に日本は二つのパーツで成り立つような姿だった。
約7000万年前に、クビナガリュウやモササウルス、アンモナイト、翼竜などが生息、約2500万年前頃の森林資源が石炭生成の元となりクジラの祖先やデスモスチルスが生息した。
約1450万年前プレートの衝突により押し上げられて日高山脈が形成された。約500万年前には、カイギュウやセミクジラが生息。
45万年前頃から寒冷化がはじまり、その結果、大陸から黄土動物群(トラ、ヤマネコなど)やマンモス動物群(マンモス、オオカミ、セイウチなど)が日本へ渡ってきた。
4万年前に支笏火山が噴火して、火砕流が東に向かって流れ、その流れは苫小牧方向と石狩方向へ二分したが、これが石狩低地帯形成の始まりである。
その時の火砕流の名残が札幌軟石となっている。
さらに、積もった火山灰を豊平川(かなりの急流である)が押し流して扇状地をつくった。この地は、地下水も豊富で、各地で噴出していて、いわゆるメム(アイヌ語で湧き出る泉のこと)となっている。
また、石狩砂丘は6000年前に出来たのだそうです。
このように、地球の始まりから石狩低地帯が出来るまでを順を追って説明頂いて、その流れが良く理解出来た講座でした。
受講者からも
「石狩低地帯が出来るまでの過程を宇宙や地球の誕生の歴史に遡って専門的な説明をして下さり、大変興味深かったです」
「地球の形成、石狩の形成等の歴史がよくわかった」
「地球の進化は予想外のものでありスバラシイお話でした」
「石狩低地帯の出来るまで、まるでタイムスリップしたような話を聞き、良く理解できました」
等の声が寄せられました。