講座8 『石狩の自然を見る、聞く、歩く』
2011/09/09
9月8日(木)講座8『石狩の自然を見る、聞く、歩く』の第2回「探ってみよう!石油、地層、化石」~望来海岸でフィールドワーク~を行いました。講師は、いしかり砂丘の風資料館・学芸員の志賀健司さん、受講者は26名でした。
今回はバスで巡回して、厚田油田跡や望来海岸でのフィールドワークを行いましたが、志賀さんは先ずバスの中で前回の質問に答えることから始められました。
質問1.これからも地層は出来続けるのか?
答え.望来層がこれから出来ることはありませんが、一般的に地層は、主に海底で今も出来続けています。
質問2.石狩川の河口が北を向いているのはなぜか?
答え.石狩川の河口が北を向いているのは、沿岸流の影響を受けているからです。
その後、望来層と石狩油田の関係、望来層の化石には太陽の恵みを受けないで生きる化学合成群集という貝類があることなど前回の復習をしながら現地へ向かいました。
最初は、厚田油田跡へ。
油が浸み出しているところは、かなり水が貯まっていましたが、浸み出している油と吹きだす天然ガスを観察。
海岸へ降りてみると、波も高かったのですが、なんとか海岸伝いに歩くことができました。
まず、観察したのは、当別層。
当別層は、650万年~350万年前の地層で、細かな砂で出来ています。縞もようがはっきりしない外観でした。ここでは、ノジュールを観察。
さらに南に歩くと、当別層より古い地層である望来層がありました。
望来層は、800万年~650万年前の地層で、縞もようがはっきりしていて、当別層とは違っていました。ここでは、2枚貝の化石(オウナガイ)も発見。しかし、化石がたくさん見つかる場所までは波が高くて行けませんでした。
この場所の帰り際に、地層は湾の向こうまでずっと続いていることを学びました。
望来海岸で充分化石を探すことが出来なかったので、この後古潭(こたん)まで足を伸ばして盤ノ沢層と厚田層を観察しました。
盤ノ沢層
古潭港の北側の崖にあり、細かい砂でできた地層、「海緑石」という緑色の鉱物を含んで緑色がかった色をしている。
厚田層
泥岩で出来ていて、厚さは650m以上ある。巨大なノジュールが見られる。
そして、11時45分に今日のフィールドワークは終了、帰途につきました。
油田が存在するためには、石油を生み出すための"根源岩"石油を浸みこませる"貯留岩"そして石油を閉じ込めておく"帽岩"の3つが必要な事を前回学びましたが、今日のフィールドワークで、根源岩としての厚田層、貯留岩の盤ノ沢層、帽岩の望来層をそれぞれ実際に観察できて、地層と石油の関係がさらに良く理解できました。また、しゅう曲や断層も実際に目で見て納得したのでした。
「石狩の油田は八の沢しか知りませんでしたが、今回無煙浜に油田があったのは初めて知りました。650万年~900万年前の地層だと聞いてもあまり実感がありませんでしたが、現場を見て感激いたしました」
「厚田油田の噴出している場所が確認出来て良かったです。地層の方はなかなか難しいのですが現地で説明を受けながら観察すると分かってくるような気がします」
「前回の講義と今回の現地学習で地層の形成や油田の様子が理解できました」
「釣などでその場に行っているのに身近に900万年前の歴史があるとは思いませんでした」
「何百万年前の地層にふれロマンを感じました、勉強になりました」
「海岸線の歩行は嵐の後だけに流木が散乱していたが目的地迄たどりつくことができ、志賀先生からの説明で地層、しゅう曲、断層等を崖で確認。生きた野外勉強となり興味深く聞いた」
などの声が寄せられ、皆さん、前回の講義と今回のフィールドワークを合わせて地層や油田についての理解を深められたようです。