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講座14『雪で鍛える~雪国ならではの健康法』

第1回 「運動の重要性と実践法についての解説」

2011/11/18

 11月16日(水)講座14『雪で鍛える~雪国ならではの健康法』の第1回「運動の重要性と実践法についての解説」を花川南コミュニティセンターで行いました。講師は、北海道医療大学看護福祉学部教授の森田 勲さん、受講者は36人でした。

 「昔は、高齢者の筋トレなど考えられなかったのですが、今では当たり前になってきました。また、体を動かす事は大変大事ですが、それだけでは駄目で、栄養の事も考えなくてはいけません。今日は、そんなお話をしたいと思います」と森田さん。

○先ず、健康・体力づくりの為の基本的な事として

・健康・体力づくりには、身体活動(意識的に行う運動と日常生活における活動)が重要だが、ねばり強さ(持久性・有酸素能力)と力強さ(筋力・パワー)の両面が必要となる。

・健康・体力づくりには、運動、栄養、休養の三つの要素が必要。

・用不要の法則、ルーの法則
用不要の法則―すべての器官系は使用が持続的で頻度が高ければ強化、発達し、使用しなければ弱まり、不全になる。
ルーの法則―身体(筋肉)は適度に使えば発達し、使わなければ委縮(退化)し、過度に使えば障害(破壊)を起こす。

14-1-2.JPG○健康・体力づくりについて

・自分の体脂肪率は簡単に自己判定することが出来る(お腹をつまんで男性20㎜女性30㎜以上なら要注意)

・運動や生活活動だけを意識していても駄目で、食事の取り方も大事になる。例えば、運動だけでは、体脂肪1㎏(8,000kcal)消費するためには、遠泳で16時間、テニスで21時間も必要である。

・また、各運動の強度を表す単位としてMETs(メッツ、運動中の酸素摂取量が安静時の何倍になるか)というものがあり、ゆっくり歩きは3メッツ、ジョギングで8メッツとなるが、テニスが7メッツであるのにスコップでの除雪が6メッツ、雪靴で雪上を歩くのが9.9メッツであることに注目すべき(除雪は運動強度が高い、雪国ならではの運動法)

・健康・体力づくりには、「低エネルギー食、特に脂肪を押さえた食事」と「身体活動・運動」を併用した運動プログラムの作成が必要。ただし、その場合、小さな目標から始めるのがコツ(5%~10%の減体重プログラムなど)

・運動量と抵抗力(ストレス耐性、免疫力)との関係では
運動不足でも過度でも免疫力は低くなる(スポーツ選手は案外風邪をひきやすい)し、太り過ぎでもやせ過ぎでも低くなる。

・健康・体力づくりには、しっかりした骨組が必要。
加齢とともに骨代謝(骨形成、骨吸収)が悪くなり、骨の粗化が起こり骨粗鬆症の原因となる。
我が国の高齢者の転倒率は年間10~20%でそのうち10%が骨折(転倒への恐怖心→不活動→要介護)に至るが、転倒の危険因子としては筋力低下が最大。筋肉と骨は一体化している。

しっかり歩くコツは
ふだんより少し早めに、背筋を伸ばし、腕を大きく振り、膝を伸ばして踵から着地(冬場は危険)して大股で歩くと良い。

14-1-13.JPG冬場はストックを使うのも有効、雪道を歩く(9.9メッツ)のは北国ならではの健康法。

・呼吸循環系と体力
呼吸循環系は、基本的な生命維持メカニズムであり多くの器官系を正常に保つ源となるので、日頃からの規則的な有酸素運動(エアロビクス)が最も効果的。

・運動と筋肉
すべての動作や運動を引き起こすのは筋収縮が原動力となる→筋肉はエンジンである。
筋収縮のパターンを知ることでより合理的な動きや効果の高いトレーニングが可能となる。
筋線維組成を知ることで、自分の特性に適った運動を選択できる。
加齢変化を知ることで、鍛える場所、時期の認識が深まる。

上腕三頭筋、腹直筋、大腿四頭筋の三つは、加齢による減少度が大きいので、主として鍛える必要がある(有効運動スクワット、カールアップ、プッシュアップ)

・レジスタンストレーニング(パワーをつける運動)
特定の筋群に一定水準の負荷(抵抗)を与え、筋力およびパワーに代表される筋活動の向上に主眼を置くトレーニング(ウエイトトレーニング、筋力トレーニング、ストレングストレーニングなど)
筋力トレーニングは、超高齢者(86~96歳)でも効果があるというデータがある。

・ニコニコペースの運動
「楽である」~「ややきつい」と感じるペースでニコニコしながら会話を楽しめるくらいの運動は負担が少なく持続性が保たれて有効であるが、「ややきつい」と感じる運動も大事。

・介護予防としての運動の効果
運動が認知証予防にも役立つが、ここでも時に「ややきつめ」の運動が必要。

 このように、今日のお話では、体力づくりについて、運動と併せて栄養の取り方も大事であること、適度な運動(時にはややきつめ)は有効だが過度な運動は良くない事、ねばり強さ(有酸素能力)と力強さ(パワー)の両方が必要なこと、主に鍛えるべき筋肉部位(上腕三頭筋、腹直筋、大腿四頭筋)と鍛える方法(スクワット、カールアップ、プッシュアップ)などを学びました。また、除雪や雪上歩きが効果の高い雪国ならではの運動法であることも分かりました。

 最後に、森田さんの指導で、スクワットとカールアップ(腹筋運動)、プッシュアップを全員で行って第1回目の講座は終了しました。

14-1-23.JPGのサムネール画像14-1-27.JPGのサムネール画像14-1-37.JPGのサムネール画像 

 

 




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