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講座14 「雪で鍛える~北国ならではの健康法」

第2回「冬を乗り切るための体力づくり」

2011/12/01

 11月30日(水)講座14「雪で鍛える~雪国ならではの健康法」の第2回「冬を乗り切るための体力づくり」を花川南コミュニティセンターで行いました、講師は北海道医療大学看護福祉学部・教授の森田勲さん、受講者は30人でした。

 森田さんは、「学生なら20分もすれば寝てしまうのに、前回は、皆さん最後まで熱心にお聴きになって、感心しました」とまず受講生を持ちあげ,人間には寒くても元気なイヌ型と閉じこもってしまうネコ型のふたつがありますが、あなたはどちらでしょうか?タイトルにあるとおり、雪で鍛えるのは大変良いことなのです、と話し始められました。

 最初は前回の復習で、身体活動には"ねばり強さ・持久力"と力強さ・筋力"が必要なこと、体力づくりには栄養も大切なこと、使わない部位は衰える(用不要の法則)こと、運動は少なすぎても多すぎても駄目でニコニコペースからややきつめくらいが良いことなどを話されました。

14-2-1.JPG さて本題ですが、除雪を自分で行っている高齢者にはactive life loss(活動的な生活からの離脱)が少ないそうですが、高齢者の人力除雪は切実な問題であるのに、健康状態及び体力レベルの実態を明らかにした研究はほとんどないのだそうです。

積雪・寒冷地の問題
・死亡率上昇には、寒冷要因だけではなく積雪も関わっている。
・冬期間の死亡率の増加に加え、身体不活動による体力低下も大きな問題である。
・身体的負担度の増加(雪上の歩行、除雪作業など)身体不活動(運動量や外出頻度の減少)日照時間の減少などの原因で重大な健康障害を起こしやすい(転倒、心疾患、脳血管障害、腰背部や膝の障害、死亡率の増加)

積雪寒冷地のハンディキャップを地域個性として捉える。
・雪による負担をトレーニング負荷と考える。
・雪かきは運動と生活活動の概念を併せ持った活動であり、教育的、経済的な面で社会貢献への可能性が高い。
・除雪は、相互扶助(ボランティア除雪)経済効果(除雪費削減)身体教育等の面から超高齢化社会に対する突破口となりうる。

除雪作業の体力的特徴
・心筋の酸素消費量が増加する。
・筋血流量の減少が静脈環流量の減少をもたらす。
・呼吸を止めて力むことにより、腹腔内圧、胸腔内圧が上昇し心臓の負担を増大させる・
・腰背部など特定の部位に疲労が集中しやすい。

作業時の姿勢の使い分け
・そんきょの姿勢を取ると腰痛予防には良いがエネルギーを多く使い効率が悪い。
・腰曲げ姿勢は、効率は良いが腰に負担がかかる。
このふたつの姿勢を時に応じて使い分けると良い。

2011-12-01.jpg要領と経験
若者と高齢者との雪かき作業における運動データの比較から、雪かき作業では要領や経験の影響が大きい。

自重による筋力トレーニングの効用
・筋力トレーニングにより、除雪能力は改善させる。
・豪雪地の高齢者にとって脚伸展パワーが重要な身体機能のひとつである。

からだの教育への提言
・豪雪地帯では高齢化と過疎により福祉や医療および運動環境などの不利を共有していて、その解消のための様々なサポートが必要であり、除雪が切実な問題となっている。
・高齢者にみられる経験や知恵などの恩恵を若い世代に継承することで社会的生産性や相互扶助によって超高齢化社会を乗り切るための突破口となり、除雪はそのための身体教育の教材として重要な役割を果たす。

14-2-4.JPG最後に、除雪作業時の留意点(体にやさしい雪かき)についてのお話がありました。

除雪作業時の留意点(1)
・先ず、準備運動をすること。
・防寒対策をしっかり行うこと。
・呼吸をできるだけ止めないように注意すること。
・お腹に力を入れて腰の負担を減らすこと。
・水分補強を忘れないこと。

14-2-3.JPG除雪作業時の留意点(2)
・上半身だけではなく、下半身(膝の曲げ伸ばし)を意識すること。
・ショベルなどの道具はできるだけ身体の近くで操作すること。
・あわてたり、あせって作業を行わず、仕事などのイライラ(ストレス)が重ならないようにすること。
・整理運動も大切(疲れた体をいたわる)

森田さんの、積雪寒冷地の負担を負荷と捉えて積極的に利用しようとするお話は、冬期の過ごし方について大変参考になりました。

受講者からも

「猫型にならないように散歩や体操を多くするように心がけたいと思います」

「健康増進について、科学的な説には大変理解と納得感があります。"治療"と違う観点もよろしかったです」

「具体的でより良い雪かき、投雪方法、姿勢などを教えて頂きたかった、今後の研究に期待します」

「森田教授の講義は大変参考になりました。今後も機会があれば是非開催してください。筋力トレーニングは年間を通じて継続することにします」

等などのコメントが寄せられました。


 




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