講座10『進化する石狩湾新港~いま、IT(情報通信)産業の現場では~』
2012/01/27
1月24日(火)講座10『進化する石狩湾新港~いま、IT(情報通信)産業の現場では~』の第1回「光ファイバ通信技術の今と今後」を石狩市民図書館・視聴覚室で行いました。講師は、元北海道大学教授(大学院情報科学研究科)の三島瑛人さん、受講者は、40名でした。
三島さんは、先ずITに関する基本的な単位の話しから始められました。
単位の話し(1)
基本単位は、長さがm(メートル、メーター)時間がs(秒)質量がg(グラム)などであるが、接頭辞として、103―k(キロ)、106―M(メガ)、109―G(ギガ)、1012―T(テラ)、1015―P(ペタ) 10-3―m(ミリ)、10-6―μ(マイクロ)、10-9―n(ナノ)、10-12―p(ピコ)、 10-15―a(アット)がある。
単位の話し(2)情報の単位
・bit(ビット)「白」か「黒」か、「1」か「0」か、など2進数の一桁のこと
・B(バイト、8ビットのこと、英数字は1文字を8bitで表現している)
・K(ケー、大文字、210=1024倍、1000倍のキロはkと小文字で表す)
そして本題に入りました。
○ITとは
・Infomation Technology(情報技術)の略語
コンピュータや通信技術の発達により情報が物質やエネルギーと同等以上に重要視されて来ているが、それらに関する技術のこと
・ICT(Infomation and Communication Technology、情報通信技術)もほぼ同様の意味で使われるが、通信を強く意識している
○光化(光ファイバ化)
・昔は電線か電波が使われていた情報通信手段は、最近は光(近赤外線)が多用されている
・遠距離(数十㎞以上)はほとんど光ファイバ通信(海には海底ケーブル、陸上は道路脇の溝や道路下の専用トンネル)
・FTTH(Fiber To The Home 家まで光ファイバで)になると、電話の音声も光ファイバの中を送られてくる光パルス(ディジタル)で通信する。家庭内で光のディジタル信号を電気のアナログ信号に変換する
○ITの歴史
・情報通信の例としては、のろしや腕木信号機(ナポレオンは数㎞おきに腕木信号機を設置して情報を伝えて戦争に勝った)、手旗信号などいろいろなものがある
・最近では電気を使う情報通信が一般的で、電信→電話→ラジオ→テレビ→インターネットと発展してきた
・さらに、この数十年はコンピュータの発達によりディジタル化が進んでいる
・そのうえ、通信の世界では光(ファイバ)化が進んでいる
○光ファイバ通信とは
・音声などの電気信号をディジタル信号化
・レーザダイオードで光パルス化して光ファイバへ入射
・光ファイバからの光パルスをフォトダイオードで電気信号へ変換
・ディジタル信号をアナログ信号へ変換
※入口と出口の一部にのみ電気信号が使われている
○光ファイバ通信で使われる技術
(1)アナログ信号からディジタル信号への変換
連続したアナログ信号の強さを一定間隔で読み取り、その値をつなげていく
(2)ディジタル信号の圧縮
ディジタル信号はデータの量を圧縮できる
(3)ディジタル信号の誤り訂正
元データに一定の割合でパリティビットと云う誤り訂正符号を入れておき、その照合により誤りを検出する
○光ファイバ通信(光化)
・光ファイバの利点
①細い②軽い③曲げやすい(曲率半径数㎝まで曲げられる)④入った光が減衰しないで伝わる(15㎞伝わって半分程度の減衰)
⑤単位時間に送ることができる情報量が莫大
○光ファイバ
・光を伝える通路。直径30mm×長さ50㎝のものを作り(プリフォーム)熱して引き延ばして直径0.125㎜にする
・軸にほぼ平行に進む光はほとんど損失なしで伝わる
○光ファイバ通信の今後
・現時点では光ファイバ通信は、低減衰特性を活かして長距離通信に用いられている
・しかし、短距離(電話局と各家庭間など)でも光ファイバ通信化しつつある。さらに軽量特性を活かして飛行機内や自動車内の電気配線も光ファイバに置き換えられるようになってきた。
・今後は、その大容量(高速性)を活かしてもっと短距離の通信(コンピュータの機器配線など)に用いることが検討されている
光ファイバに関するお話は、このようなものでしたが、さらに情報通信に関わるいくつかの話しを聞くことが出来ました。
○通信速度の単位
bps(ビーピーエス、1秒間に1ビット)
例えば、10Mbps(10メガビーピーエス)の通信速度は、1秒間に10×106bit=8×1250000bit、即ち1秒間に125万文字(英数字)送ること
○電子メールの傍受
電子メールを送る場合、相手との間に複数のプロバイダーが介在することもあるので、電子メールは傍受されるのが前提の通信手段と考えなくてはいけない
○CDのしくみやICの回路図チェックについてもお話がありました
○データセンターについて
・データセンタにはサーバ、記憶装置、ルータなどがまとめて設置される
・コンピュータを冷やすために大がかりな空調設備が必要
・停電対策(一瞬たりともコンピュータが止まらないような体制)
・セキュリティ対策(情報漏洩や書き換えの防御)
・地震対策
○携帯電話の仕組み
携帯電話の仕組みは、数㎞の範囲をカバーする基地局をたくさん設置、携帯電話と基地局は電波(無線)で通信し、基地局と電話局は光ファイバ(有線)で結ばれている。従って、ほとんどの所は有線(光ファイバ)である。また、携帯電話は電源を切らない限り、絶えず電波をだしていて基地局に認知されている。
IT関係のお話と云うと兎角難しいように思われますが、三島さんの説明は大変分かりやすくしかも親しみやすいお話し振りだったので、、光ファイバ通信技術とはどんなもので、どんな仕組みになっているのかということばかりでなくパソコンなどに関連して耳にする単位なども良く理解することが出来て"なるほど納得"の講座でした。