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開校3周年記念講座 『石狩魅力再発見』

第1回「神様のお尻~古潭から眺めた石狩の風景」

2012/02/19

 2月16日(木)いしかり市民カレッジ開校3周年記念講座『石狩魅力再発見』の第1回「神様のお尻~古潭から眺めた石狩の風景」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、藤女子大学教授で建築史がご専門の三宅 理一さん、受講者は40名でした。

 三宅さんはまずこんな言葉でお話を始められました。
「私は建築史が専門で、古い物を研究してそれを現代にどう活用していくか、ということをやってきまして、長年修道院の修復という仕事に携わってきました。藤女子大学に来てからまだ2年足らずですが、石狩については、厚田の方面を歩いてみると、古いにおいがして、大変面白そうに思えます」

3syu1-1.JPG1.厚田
・厚田は、北海道の中でも特に古い歴史を持っている(1706年に"厚田場所"が開設される)
※場所とは:知行主から民間資本(請負人)に漁業地の漁業権と交易権が譲渡されて行われる地域経営形態。
・古潭(アイヌの居住地であった)
アイヌ語で「コタンベツ」(河のある集落)隣が「オショロコツ」(神様のお尻)→押琴

2.古潭の歴史を知るには
・地図を読む
蝦夷地から樺太にかけては、世界で一番遅くまで地理的に空白だった地域。その中でひとり松前藩のみが利権を得ていたが、その松前藩も進出したのは海辺部のみで内陸には無関心或いは不干渉で、アイヌの自立した生活圏となっていた。
松浦武四郎の時代になってようやく蝦夷地全体の地理認識が定着した。
・地形を読む
石狩から厚田、浜益にかけては海岸段丘地となっていて、小河川の河口は泊地の適地となっている。
3syu1-3.JPG・集落を読む
河川ごとに集落が形成されている。
「厚田郡全漁場圖面」明治4年(1871年)―厚田一帯の最初の地籍図
atuta.jpg・人口
番人13名(寛政5年=1793)出稼ぎ70名(嘉永元年=1848)、130名(嘉永4年=1851)、120名(安政元年=1854)アイヌ10人程度

3.運上屋の実態
・場所経営の拠点:商館機能と宿泊所機能(取引、宿泊、管理)夏期の間だけの集団労務が行われた。
3syu1-17.JPG・請負人
厚田:浜屋与三右衛門(松前)運上金350両(文政年間)、190両(安政年間)、2353両(明治2年)
浜益:伊達屋庄兵衛(松前) 運上金260両(文政年間)、267両(安政年間、伊達屋林右衛門)、1597両(明治2年、中川屋勇助)
石狩:阿部屋伝兵衛 運上金678両(文政年間)、1339両(安政年間)
下余市:竹屋長左衛門(松前) 運上金343両(文政年間)、510両(安政年間)、2869両(明治2年)
下余市の運上屋は規模的には厚田と同程度
・漁業の形態
大網と図合船(100石積み以下の船)を使い、20~30名(主としてアイヌ)を使役した大型漁業
・運上屋の立地
明治に入って和人漁民の移住定住が促進された。
土地利用区分:運上屋と和人漁民(海岸部―浜)とアイヌ(河川に沿った土地に旧来の集落をつくり海岸部にも「自分稼ぎ」の場所)がそれぞれ区分されていた。後に町場が形成される。

4.建築から見た古潭の生活
・運上屋
下余市の運上屋(唯一の遺構)桁行18.5間×梁間8間
交易、宿泊、管理等の空間を一体化した総合的な「商館」他に蔵、弁天者、稲荷を伴う。
simo.jpg港はなく、泊地としてのオショロコツ(湾)
明治になってインフラ(港湾ならびに道路)整備→厚田に移動
厚田(オショロコツ)の運上屋の復元は可能か?
・漁民
当初は運上屋に集団宿泊、幕末から明治にかけて集落形成
・アイヌ
河川沿いに集落形成
自分稼ぎ(自身の食糧など)を目的として河川の漁業権は認められていた。
余剰物は運上屋で買い上げした。
漁労の被使役者であった。

 

 以上が、お話の概要ですが、地形、地図、建築物平面図などから往時の人々の生活を読み解いていくという大変興味深いものでした。

 そして三宅さんは最後に、「現在運上屋の跡は下余市のものしか残っていませんが、厚田の神様のお尻を掘ればきっと色々面白い物が見つかると思います。ぜひ、石狩市さんにその気になって頂きたいと思うのです、今日はこの事が一番言いたかったのです」と結ばれました。

トピックス
・日本の建築会社は世界で一番古く、一番古いもので6世紀から続いている。
・日本の建物は、決まりきった様式があるので、平面図を見ると屋根の形まで判別できる。(平面図しか存在しない)
・遺構を調べると、商人の建物が一番立派でお役所は粗末な作りになっている。


 




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