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講座5 北海道の果樹を学び、つくる

第1回 北海道の果樹

2012/07/19

 7月14日(土) 講座5「北海道の果樹を学び・つくる」の第1回『北海道の果樹』が北コミセンで行われました。講師は村松祐司氏 (元北海道立総合研究機構 中央農業試験場 作物開発部主査)です。受講者は30人でした。

  司会者から今回の講座は第1回目の北海道の稲作、2回目の北海道の畑作、今回の北海道の果樹と続いている講座で、講師の先生方も長年農作物の研究に携わってきた方々であり、皆さんに大変人気のある講座であると話されたあと、講師を紹介されました。

  講座は始めに
北海道の果樹の始まりについて話され
①享保年間に市渡村(現.北斗市)に梨の栽培記録がある
②明治の初め、ドイツ人ガルトネルが七重村(現、七飯町)に母国からりんご、梨、ブドウ等導入した。
③開拓史が1871年(明治4年)からアメリカより大量の果樹類を導入した。
開拓使が導入した品種数
りんご・・・75          もも・・・12
なし・・・53           カーランツ ・・・10
ぶどう・・・30          グースベリ― ・・・8
さくらんぼ・・・25        ブラックベリ― ・・・5
すもも・・・14          あんず・・・4
ラズベリ―・・・13
開拓使によって色々な果樹の品種が導入されたことが解かる。この中から後世に残った品種も多く今も北海道で生産されているものも多いと話されていました。
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  しかし果樹は戦時下では不要、不急作物となり北海道のさくらんぼの栽培面積をみると
1942年(昭和17年)には160haあったものが1949年(昭和24年)には34haに激減している。

  北海道内の栽培面積の推移を見るとりんごは1975年頃は5000ha程であったが2010年には680haまで落ち込んでいる。現在全国7位まで落ち込んでいる。要因はそれまでの酸味の強い国光、紅玉にかわり甘い系統のふじに消費が変ったが、ふじは凍害に弱く、晩生種で北海道にはあまり向いていない品種であった。ぶどうについては1960年代よりあまり変化がなく1200ha程度で推移している。35%は醸造用である。
さくらんぼについては680ha程あり山形についで2位の生産量をもつ。1970年以降現在は完全自由化になっているが、日本産の白肉種とアメリカ産の赤肉種とは生食用と加工用とで上手く住み分けが出来ていると話されていました。

  北海道で多く栽培されている果樹として
1ぶどう1180ha 2りんご680ha 3おうとう600ha 4プルーン122haつづいてハスカップ、西洋梨が100haほど栽培されている。

 生食用ぶどうの主要品種として
北海道
1キャンベルアーリー(33%)  2ナイヤガラ(28%)  3ポートランド(14%)
全国
1巨峰(35%)         2デラウエア(21%)  3ピオーネ(14%)
巨峰は寒さに弱く手間がかかるためあまり北海道では生産されていない。
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 醸造用ぶどうの主要品種
北海道
1セーベル13063(19%)  2ケルナー(14%)   3ツバイゲルトレーぺ(12%)
セーベルは赤ワイン用、ケルナーは白ワイン用、ツバイゲルトレーぺは赤ワイン用である。醸造用ぶどうは北海道で1番作られているそうです。

 りんごの主要品種
北海道
1つがる(25%)    2ふじ(16%)    3バックナイン(7%)
ふじは甘系で保存性がある。バックナインはジュース用である。北海道りんご栽培の特徴としては色々な品種を作っていることである。
全国
1ふじ(52%)    2つがる(14%)    3王林(9%)
ふじは日本の生産量1位であるが世界1位でもあるそうです。

 さくらんぼの主要品種
北海道
1佐藤錦(38%)   2北光(37%)   3南陽(14%)
全国
1佐藤錦(66%)   2ナポレオン(7%) 3紅秀峰(7%)
ナポレオンは缶詰用として栽培されている

 北海道りんごは酸味系品種の宝庫である。
「あかね」国内シェア59%、「あさひ」国内シェア100%、「ひめかみ」国内シェア79%
「バックナイン」国内シェア66%(ジュース用)と酸味系りんごは北海道で作られる。

 北海道りんごは色、堅さ、酸味は他府県に負けない品質を持っている。
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 北海道果樹についていえること
・低温を求める果樹に適している気候である。   花芽形成,萌芽に低音が必須である
(りんご、さくらんぼは7度以下が1500h必要である)
・低温が有利である    着色の向上、品質の向上
・越冬のための耐寒性が必須    バナナ、みかんは冬を越えられない
・収穫期が他府県と差がある
など、低温、寒冷が北海道果樹の特色をだしている。

 最後に果実に多く含まれる栄養素について話されました。
・万病の元といわれる活性酸素を不活化する抗酸化物質がある
・発ガン物質の発生を抑制するビタミンCなどの微量栄養素を含む
・血圧を上昇させるナトリウムの排泄を促進するカリウムを含む
・コレステロールや脂質の吸収を阻害し腸内を清掃する食物繊維が多く含まれる。
特にりんごは健康果樹の代表であると話されていました。
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 講義が終わり残りの時間を利用して受講者からの質問を受けました。
・果樹などの品種の保存はどのようにしているのか
・長野県などでは温暖化により果樹栽培が困難になってきているというのは本当か。
・栃の実がならないのだがどうしたらよいか
・りんごのアレルギーがあると最近聞くが
など難しい質問が出され講師の村松先生も専門外の質問にも一生懸命応えられていました。

 第2回目は「果樹品種の作り方~家庭での楽しい果樹つくり」を8月18日(土)北コミセンで行います。ご期待下さい。







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