6月15日(土)、講座3村山耀一さんと歩く「石狩歴史散歩~石碑が語る先人の足跡」の第1回「石狩市の原点『本町・八幡地区』の碑と歴史の痕跡をを訪ねて」を行いました。講師は、石狩市郷土研究会会長の村山耀一さん、受講者は37人でした。受講者は、石狩市公民館に集合しバスで巡回しました。
講師の村山さんは、石狩場所請負人村山家の10代目であり、石狩市の歴史に造詣が深くこれまでも石狩市民カレッジの講座で「石狩歴史散歩」の講師を続けてこられた方です。
石狩には、多くの先人達が生きた証しとして後世の人々に伝えるべく多くの碑(いしぶみ)が建てられています。今回の講座では、その石碑を村山さんの案内で見学し解説していただき、郷土の開拓と発展の歴史を学ぶものです。
◎八幡地区
最初に訪問したのは八幡墓地でした。ここでは、来札の地で暮らし亡くなっていった樺太アイヌことを碑に刻んだ「樺太アイヌ碑」と当時石狩役所関係の家族の墓と思われる「榎本氏乙女女子之墓」(1860年建立)を見学しました。
次に訪問した若生は、石狩河口橋を渡った所にある地区です。石狩川沿いに多くの痕跡のあるところです。古くは、続縄文時代末期の墳墓「八幡遺跡ワッカオイ地点」で紅葉山遺跡に次ぐ古いものとのことでした。港もあったとのことで、「八幡稲荷神社」(創立 江戸期)は、北海道神宮よりも古いとのことです。その中心は、安政二年に設置された「石狩役所」で持ち場は積丹から増毛まででサッポロもその支配下であったとのことです。残念ながらその痕跡は残っておらず、村山さんが示してくれた草原だけでした。碑くらいあってもよいのにとは受講者の声。
「石狩東小学校の碑」も見学しました。この碑は、同校が八幡小学校へ統合されるときに建立されたもので、昭和65年3月31日の日付が刻印されていました。
この後バスは、石狩河口橋を渡り本町地区へ向かいました。この橋の長さは1412mと、北海道で一番長い橋とのことです。この橋を通る国道231号線は、それまでは石狩渡船が担っていたとのことです。「石狩渡船」は、昭和47年(1972)に石狩河口橋が出来るまで親船町と八幡町の間を結んでおり、この渡船の上が国道231号であったとのことです。
◎本町地区
本町地区では、最初に親船町にある「上手稲養鮭場記念碑」、「殉国軍馬霊碑」、「馬頭観世音」を見学し、旧石狩町役場庁舎跡地へ向かいました。
旧石狩町役場庁舎跡地には、現在石狩観光協会の建物が建っています。ここには、「石狩警察署碑」、「讃石狩郷の碑」、「開拓使石狩罐詰所説明板」の碑がありました。警察署の碑は、親船町の警察官派出所跡から見つかったものだそうです。
旧石狩町役場庁舎跡地の向えには番屋の湯があり、その横に石狩中学校「開校三十三周年」の碑がありました。それまでの石狩中、高岡中、生振中学校が統合移転したがそのときの記念碑とのことです。
旧長野商店は、弁天町にある商家で石蔵も備えています。石蔵には、隣家との境につける防火壁(卯建 うだち:写真)がついていました。卯建は、裕福な家でなければこれをつけられなかったことから、出世できない、地位が上がらないなどの境遇をいわゆる「卯建つが上がらない」とされたとのことです。
午前の最後は、同じ弁天町にある古い曹洞宗の寺である曹源寺へ。ここの境内には、明治の初め頃荒物業を営んだ「中嶋家の墓」があります。墓は、昭和20年アメリカ軍による石狩空襲の際、爆弾の破片で右上部が破損したとのことで、今でもその箇所を見ることができました。
弁天会館で昼食をとった後、「法性寺」を見学し「運上屋」へ向かいました。運上屋とは、場所請負人の交易所のことです。ここの横には、レリーフ「先人達の碑」が設置されています。ここから村山さんの案内で、「井上伝蔵句碑」、「高浜年尾句碑」、「有馬郎人句碑」を見学しました。
次の見学箇所は、「石狩弁天社」です。元禄七年(1694)の建立で、代々石狩場所請負人である村山家が管理してきたとのことです。この神社は、石狩川の主と伝えられる「蝶鮫」を神格化した「妙亀法鮫大明神」が祀られているとのことです。
この後の本町地区は、バスの中から「石狩海浜ホテル跡地」、「石狩画廊跡地」、「無辜の民像」を観察し、「石狩灯台」、「石狩八幡神社」、「渡船場跡地」、「村山家墓地」を見学し、帰路につきました。
今回の本町・八幡地区の巡回では、特に八幡地区は普段なかなか訪れることのないところであり、その歴史と痕跡には受講者一同驚くばかりでした。加えて講師村山さんの詳しい配付資料と車中での閲覧資料、そして解説に感心するばかりでした。受講者からもその感想が寄せられていました。その幾つかを紹介します。
・「狭い地域にお寺、神社の多いのがただただおどろき、そのうえ歴史の古いものばかりになおのおどろき。先生の教えの良さに感謝です。」
・「何気なく通過していた所が、歴史を留めている所とは。大変有意義な講義をありがとうございました。」
・「午前は雨、午後は蚊とイジメラレましたが、それを越すような収穫をありがとうございました。」
・「説明の一つ一つがとても興味深く楽しい研修でした。」
・「石狩市の歴史がある事認識。伝統の継承は難しいものがある事了解しました。」