いしかり市民カレッジ

トピックス

トップページ トピックス 講座7 『地質・地震学から学ぶ北海道の災害史』


トピックス

講座7 『地質・地震学から学ぶ北海道の災害史』

第2回 「地質巡検―豊平川から石狩平野の生い立ちを探る―」

2013/09/25

9月21日(土)主催講座7「地質・地震学から学ぶ北海道の災害史」の第2回・野外講座「地質巡検―豊平川から石狩平野の生い立ちを探る―」が行われました。
講師は元北海道立地質研究所・地域地質部長で、現在アースサイエンス株式会社常務の岡 孝雄さんです。受講者は31名でした。
9:00にバスで公民館を出発、車中今日の巡検コースとスケジュールの説明がありました。
バスSTOPの説明場所が5か所、移動車中での説明など行い、9:00から16:00までの長時間かけて手稲山などの周辺を巡る地質巡検講座となります。
25,7,4.JPG
バスSTOP1
前田森林公園東側パークゴルフ場駐車場(手稲山山体崩壊地展望)
最初にバスを下車したのは前田森林公園パークゴルフ場の駐車場です。小高い丘に登り手稲山の山体崩壊地を展望し説明を受けました。
25,7,5.JPG25,7,7.JPG
手稲山は今から370万年前頃形成された火山ですが、平坦な山頂から東~南東へ緩い斜面を構成する溶岩が火山である名残を残しているそうです。
山頂から北~北東側は巨大地すべりによる急崖と暖傾斜地が分布しています。
手稲山溶岩の下位の地層は鮮新世西野層とよばれ、この地層は浅海域での火山活動を示していて、鮮新世の後半になって次第に陸上火山が形成されたのが、手稲火山と考えられています。そして300万年余りを経て、標高1000m余りの火山性山地となり、侵食が進み今から6~7万年前の最終氷河期初期に侵食による不安定性が増した状態のなかで、何らかの原因(大地震、巨大豪雨等)をきっかけとして巨大岩屑なだれが発生し、現在の姿になったと想定されています。

手稲山山体崩壊説明の後バスに乗り込み、宮の沢付近の泥炭地⇒手稲山西壁⇒藻岩山火山⇒藻岩下~石山の地形等について車内説明を受けました。藻岩山は標高536m、地形的には山頂から南東方向に伸びる溶岩流地形とその間の浅い谷地形で構成され藻岩山が火山であることを裏付けている。藻岩溶岩は放射年代測定によると250万年前の年代が報告されており、これは札幌市街背後の山地での最後の火山活動になっているそうです。

バスSTOP2
藻南公園豊平川河床(西野層の火山活動―500~300万年前頃)
ここの河床の岩盤は西野層基底部の水中火砕岩(400~500万年前の火山活動の産物)がみられます。水中火砕岩は海底の溶岩が破砕されて出来たものです。
25,7,15.JPG25,7,16.JPG
対岸には高さ数10mの崖があるが堆積模様が認められるところは火山活動が休止してできた2次的な堆積物で火山性砂礫岩となっています。

バスSTOP3
石山緑地公園(支笏大火砕流―溶結凝灰岩と石舞台)
約4万年前に噴火し支笏カルデラをもたらした支笏火砕流堆積物は石山~川沿地域から東側の札幌東南部に広く分布している。この付近では豊平川の東~南岸の"札幌軟石"(溶結凝灰岩)と北岸の"札幌硬石"の採掘が最近まで盛んに行われていました。
この公園は石切り場跡を利用した彫刻などがあちこちに存在している。特に石舞台(野外ステージ)がシンボルになっていて市民に利用されている。
25,7,22.JPG
ここでは火砕流の下部が堆積後の高温の余熱で焼締められて硬くなり、溶結凝灰岩(軟石)となっている様が見られる。また上部は放熱により焼き締めが生じていない状況もみられる。
25,7,20 (2).JPG25,7,21.JPG
ここで午前中の野外講座が終わり石舞台の観覧席に座りながら昼食となりました。

昼食後石山緑地公園からバスSTOP4の小金湯温泉下流に移動のバス中からは火山活動に由来する4か所の岩峰地形を見ることができる。その典型なのがノコギリ状の形が印象的な八剣山岩体です。
650~450万年前頃の火山活動の産物で地下の「マグマだまり」や「マグマ通路」が冷え固まったものと考えられています。特に藤野の背後には4つの山体が環状に配置していて、カルデラ構造の名残ではないかという考えもあるそうです。

バスSTOP4
小金湯温泉下流の豊平川河床(半深海堆積物と札幌カイギュウ化石―800万年前頃)
バス降車後川筋をしばらく歩き札幌カイギュウ化石が発見された観察地に到着する。まず小金湯付近の地質について説明を受けました。
25,7,24 (2).JPG25,7,26.JPG
この付近の堆積岩類積み重なりは約500mの厚さになっています。放射年代測定、超微化石解析よると年代は900~700万年前頃で半深海の堆積物となっています。また札幌カイギュウの第一標本産出年代は約800万年前であることがわかりました。当時札幌付近は定山渓島の周囲にある半深海の環境でした。ではなぜ浅瀬に住むカイギュウが半深海の堆積物から発見されたのか疑問が残るが、当時は定山渓島の周辺は浅瀬から急に深くなっている環境で遺体がそのままの形で沖合に運ばれ埋もれたと考えられています。この様な環境は渡島半島と西側の奥尻海盆があります。
25,7,27.JPG
バスSTOP5
定山渓ダムサッポロ湖駐車場(定山渓温泉付近の地質―1000~1500万年頃―:石英斑岩体とハイアロクラスタタイト、基盤の薄別層、定山渓温泉)
定山渓ダムの駐車場で下車し定山渓付近の地質について説明を受けました。
25,7,28 (2).JPG25,7,30.JPG
この付近の地質は定山渓石英斑岩体が占めています。これは1000万年前頃の大規模火山活動による地下深部のマグマだまりが冷え固まったものです。周辺に分布するハイアロクラスタイト層(海底火山活動でできた火山角礫岩)とも密接な関係があると考えられています。石英斑岩体は定山渓温泉街では豊平川河床を占めている。また朝日岳や夕日岳にも分布されています。
ハイアロクラスタ層は百松沢、神居沢、豊平峡ダムサイトとその下流で観察できるそうです。
特に豊平峡ダムサイト付近は河床から300mあまりの崖全体がハイアロクラスタ層で構成されている。また定山渓層群の下部の堆積岩・火砕岩は薄別川と豊平川の二又部に分布している。薄別橋下流では基盤岩である薄別層の小分布がみられる。薄別層は1億年前より古い海成堆積物の付加体で海陸プレートの潜り込みにより生じたものです。

今日の野外講座はこれで終わりました。帰りは朝里ダムで休憩し16:00頃公民館に到着しました。受講者の皆さんの感想は、野外で専門家の話を聞けて大変勉強になった。毎日眺めている手稲連山が海底火山やマグマだまりで形成されていたなど何百万年の時の流れを感じる。今日の講座で手稲山の不思議、石山の不思議がわかり山々を見る目が変わった。等皆さん大変有意義な1日だったようです。
今日1日講師の岡さんありがとうございました。またスタッフの皆さんお疲れ様でした。




CONTENTS コンテンツ

カレッジ生募集中

ボランティアスタッフ募集中 詳細はこちらから

いしかり市民カレッジ事務局

〒061-3217
石狩市花川北7条1丁目26
石狩市民図書館内社会教育課
Tel/Fax
0133-74-2249
E-mail
manabee@city.ishikari.hokkaido.jp

ページの先頭へ

ご意見・お問い合わせプライバシーポリシーサイトマップ