7月2日(水)、講座6『不思議いっぱい!石狩川河口~河口砂嘴の地形変化を考える~』の第3回「川と海との出会い/河口見学会」を行いました。講師は、「いしかりガイドボランティアの会」の石川治さん、受講者は41名でした。なお「いしかりガイドボランティアの会」の高瀬さんと桜井さんにもガイドのお手伝いをして頂きました。
この講座では、第1回と第2回で石狩川河口砂嘴の成り立ちと成長について学びましたが、第3回では実際に砂嘴を巡回して、砂嘴の様々な表情を実感します。
石狩市公民館からバスに乗り、石川さんから本日巡回する3.6㎞のコース説明や銭函から聚富までの石狩海岸は、平成元年「北海道自然環境保全指針」で、保全を図るべき「すぐれた自然地域」に選定されていることなどのお話を聞きながら河口へ向かいました。
途中車窓から、文化文政の頃は河口の先端だったと思われる位置にある八幡神社などを見学。
ヴィジターセンターでバスを降り、はまなすの丘公園を歩き始めました。
公園に入るとすぐに、石狩灯台がありますが、明治25(1892)年にこの灯台が建てられた時には、河口左岸の先端近くだったそうです。
ハマナスやエゾカワラマツバ、満開のハマヒルガオ、ちらほら咲き始めたハマボウフウの白い花などを見ながら木道を進みました。1800年頃には、このあたりは、石狩川の右岸の先の海の中だったと思われるとのことです。その後、昭和20(1945)年代まで砂嘴は伸びつづけ、現在では伸びるのをやめているが、その姿形は日々変わり続けているそうです。
木道の先は管理道路を進み、東屋で一旦止まって、説明を受けました。
かなりの高さがある東屋ですが、冬にはすっぽり雪に埋まってしまうそうです。
東屋から先は、湿地帯となっていて、ノハナショウブ等が見られます。どうして、砂地に湿地植物が生息しているかと云うと、篠津原野の大規模排水工事が行われた際、流出して石狩川で運ばれた泥炭がこの地に流れついたのではないか、と推測されているそうです。
東屋から少し歩いて管理道路から川岸に出た所で、石狩川についての説明を受けました。
目の前の川底は、明治30年代は、右岸だったと思われる。その証として、川底には幻の地番が振られているそうです。
対岸にある右岸の浸食を防ぐための中村水制工と来札水制工を観察、来札水制工の左方には導流堤が見えました。
ヨシが密生していかにも川辺の風景らしい光景も眺める事が出来ました。
今は、撤去されてしまったが、対岸には去年まで垂直軸小型風車があったそうです。
また、八幡町の堤防上は絶好の夕陽の撮影スポットとのことです。
その後は、川岸に沿って海側へ歩き、砂嘴先端の形状を観察しました。
見えてきたのは、島状に陸化した河口テラス。今年は陸から繋がっていないので、歩いて渡るのは困難とのことです。
さらに、ミニ砂嘴とも云うべき30mほどの突き出しもありました。
石川さんのお話だと、陸化した河口テラスやミニ砂嘴は、大雨などによる石狩川の増水などで流されてまもなく無くなってしまうだろう、とのことです。
砂嘴先端から浜を歩き、タールボールを発見したと思っていたら専門家にそれは泥炭かもしれないと否定されたこと、条件が整った日には小樽高島岬の先端に蜃気楼が見られること、冬の浸食で一気に後退することもある浜崖の変化など色々なお話を聞きました。
最後に東屋へ抜ける中道を通り、管理道路、木道を歩いて戻りました。
管理道路途中では、川の流れに浸食されてかなりえぐられている個所があり、石川さんは「護岸工事が行われるようだが、ここにはショウドウツバメの巣があり、今は繁殖中なので工事が子育てを妨げることがないと良いが」と心配されていました。
ヴィジターセンターで休憩の後、再びバスに乗って公民館へ戻りました。
本日は、実際に石狩川と日本海が出会う場所を観察しながら説明を受けたので、砂嘴の周りの環境や地形変化などを実感をもって理解する事が出来ました。
石川さん、3回にわたって大変興味深いお話を聞かせて頂き大変ありがとうございました。
受講生からもたくさんのコメントが寄せられましたので、その一部を紹介します。
「資料も良かったし、説明もさすがプロですね!」
「木道も砂嘴もはじめての歩き、川辺の砂の踏み味もしばらく振りのことで、大変よい時を過ごしました。海辺の花もなつかしく幼い頃を思い出しました。ありがとうございました」
「豊富な資料、知識豊かで分かりやすい説明、大変満足しています」
「ユーモアを交えての案内と砂州についてあらゆる角度から研究を重ねている講師に感動しました。追跡調査は今後も続けていかれると思うが、後継者の育成と教示を。体に気をつけ海浜植物保護にも尽力下さい」
「講義で聞いたことが、現地で見る事が出来て大変よかったです。石川先生の博学にも驚きました。ありがとうございました」
「石川講師の卓越した才覚(見識、着想、表現、努力、ユーモア)に感激しました。来年も(なんらかの)講座を担当して頂くようお願いします」