3月12日(木)開校6年・受講者1万人記念特別講座「人間らしく生きるために」～映画「親鸞 白い道」の主役を演じて思ったこと～を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、真宗大谷派 大満寺 法務員で三国連太郎監督／映画「親鸞 白い道」に主演された森山 潤久さん、受講者は59人でした。
「市民カレッジさんからお話があった時、簡単に引き受けてしまったのですが、これまでの講座一覧を見ると錚々たる講師ばかりなので、これは私には無理だ、と思いました。しかし『人間らしく生きるために』と云うタイトルを示されて、今までそんなことを考えたことがなかったので良い機会だと思いお引き受けしました」森山さんはこう言ってお話を始められました。
「私は若い時から、自分は一体何者なのか、と悩んできました。自分の中に色々な人間が居て果たしてどれが本当の自分なのか分かりませんでした」
「俳優になって色々な人物を演じてみれば分かるのではないか、と思いましたが分かりませんでした。たまたま三国連太郎監督の映画『親鸞 白い道』の主役に選ばれ賞も貰いましたが、これは運が良かっただけです。その後、お坊さんになりましたが、お経を読んでもやはり自分が何者なのか分かりませんでした」
「ところが最近ようやく、無償で何かやることが自分を知るカギになるのではないかと思い始めました。このお話を引き受けたのは、そんな背景もありました」
「人間らしさ、とはなんなのでしょうか？」
この様に書くと、非常に深刻なお話のように聞こえますが、森山さんはひょうひょうとユーモアたっぷりに話されたので、会場には笑いが絶えませんでした。
「人間らしさは、時代や場所、人によってそれぞれ違うのではないかと思います」
「私はと云えば、これまで思い違いばかりして人生を歩んできました」
「おしゃかさまは、道は自分で歩くもの、と言われましたが、足を地に付けて自分で歩くことが大切なのではないでしょうか。知識だけあっても、人生を実際に歩いてみなければ生きているとは言えません」
「人生最大の障害は、将来に期待し過ぎることです。あてにならない物に依存して、現在をおろそかにすべきではないと思います」
ここで森山さんは「人間は同じことを続けていると飽きがきます。ここでちょっと違うお話をしましょう」と言って、三途の川やおしゃかさまの話を挿まれました。
本題に戻って「実は、人間らしさとは何か、は誰でも分かっていると思います。分かってはいるがそれが本当なのか不安で確かめたい。分かってはいるが出来ないのです」
「探しているものは、自分が持っている荷物の中にある、すでに持っているのです。仏教で云う"西方浄土"は彼方にあるのではない、"西方浄土"へ行きたいと願っているプロセスの中にあるのです」
「さて我が身を振り返ると、自分の中には嫌な自分がいる。料理をする時にアクを取るように、自分の中のアクを取りたい、きれいになりたい、と思い続けてきました」
「しかし、気づいたのです。アクが取れる時は死ぬ時なんだと」
「生きている間はアクが出続ける。だからアクを嫌悪してはいけない、アクを良く調べることがこれからの私の課題だと」
「もうひとつ思うのは、見返りを求めないと云うことです」
以上が本日のお話の概要ですが、森山さんは「取りとめのないお話で、みなさんは、なんだかよくわからない話だったと思われるでしょうが、私にとっては有意義な1時間半でした。ありがとうございました」と結ばれました。
人間らしさ、とは何か。森山さんの本音のお話は、私たちに素直に自分と向き合うことの大切さを教えてくれました。
この講座をもって、いしかり市民カレッジの平成26年度の講座はすべて終了しました。平成26年度は、主催講座を16講座36回、まちの先生企画講座を4講座12回開催しましたが、おかげさまで延2,000人を超えるみなさまに受講して頂きました。
ここに改めて感謝申し上げるとともに、平成27年度も変わらずご支援頂きますようお願い申し上げます。
ありがとうございました！
