いしかり市民カレッジ

トピックス

トップページ トピックス 講座1「いま、ロシア極東と北極海がおもしろい」


トピックス

講座1「いま、ロシア極東と北極海がおもしろい」

第2回「『北極海航路と玄関口北海道』~北海道は流通の拠点となり得るか~」

2015/04/25

 4月17日(金)講座1「いま、ロシア極東と北極海がおもしろい」の第2回「『北極海航路と玄関口北海道』~北海道は流通の拠点となり得るか~」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、公益社団法人 北海道国際交流・協力総合センター 調査研究部・北太平洋地域研究室 上席研究員・研究室長の高田喜博さん、受講者は52名でした。

 高田さんは「みなさんこんにちは!今日は北極海航路について、まず概要をお話し、それから東アジアの大きな経済変化の中で北極海航路によって北海道はどのように変わることができるのか、また変えていかなければならないのか、をお話します」と言って本日の講座を始められました。
27,1,2,1.JPG
以下はお話の概要です。

◇北極海の変化
 近年の気候変動で北極海の海氷面積減少など大きな変化が現れて、「環境や生態系」「先住民の生活」「政治や経済」などが激変。反面、これまで氷の下に眠っていた資源(石油、天然ガス)の開発、輸送が容易になり、北極海航路の活用が現実化してきた。

◇北極海航路の概要
・海氷面積の減少で夏期(6月後半~11月後半)の商業航行が現実化。
・「北極海航路」はスエズ運河経由の「南回り航路」より距離が40%短く海賊や地域紛争のリスクがない。
1)北極海航路の課題
・利用期間が限られ、期間内も海氷状態により不安定。安全航行の為の情報不足、避難港などインフラ整備も遅れる⇒世界の主流のコンテナ船のトランジット輸送には課題が多い。
・ロシアの対応への不安
「事前申請による許可」と「航行許可条件」が必要。
・船舶の耐氷能力が必要。
2)北極海航路の現状
・2013年11月までの航行数は236隻で大多数がロシア船。うちトランジット輸送は71隻。さらにロシア以外のトランジット輸送は2012年、2013年は18隻で横ばい、2014年には激減。これは原油(燃料費)安や中国経済の低迷(需要減)などが影響している。
3)北極海航路の展望
・ヤマル地域でのLNG開発は、輸出先としてアジア(日、中、韓)に期待。
・ロシアのエネルギー開発は西シベリアから東シベリア・極東、北極圏へシフト、エネルギー市場も欧州から北東アジアへシフトしているので北極海航路の需要は拡大するだろう。
・スエズ航路との競争にはコンテナ船によるトランジット輸送の実現が必要。
27,1,2,2.JPG
◇北海道の動向
 北極海航路に関する取り組みでは、国内では北海道が先行していると言ってよい。

◇北海道の北東アジア・ターミナル構想(既存の考え方)
<将来像>は
・北海道全体が北東アジアにおけるターミナル機能を果たすことを目指し、物流・人流の拡大を通して、北東アジアの成長力を積極的に取り込み、ともに発展する!
<発展の道筋>は
・地理的優位性、拠点機能の集積、広大な土地、冷涼な気候、産業の集積、国際的経済・人的交流の実績など北海道のポテンシャルを活用する(北海道は、北東アジアと北米・欧州を結ぶ海路・空路の線上に位置している)
<構想実現に向けた取り組み≪中長期目標≫>は
①世界とつながるネットワークをつくる⇒海上ネットワークの強化(北極海航路)
②国際輸送に対応したターミナルをつくる⇒国際拠点港湾の強化、高規格道路の整備
③国際競争力のある産業をつくる⇒道産品の輸出拡大
④世界との人流の拡大する⇒双方向の人流の活性化

◇北海道のこうした構想と現実のギャップ(現実は厳しい)
・多くの船舶が津軽海峡を通過して北米へ向かうが、そのほとんどが北海道を素通りしている。北極海航路の活用を含めた新しい取り組みが必要。

◇北海道の地理的優位性
・北に位置するほど距離短縮効果が大。スエズ航路ではアジアの中で一番遠い(奥)北海道が、北極海航路を利用すると一番欧州に近く(玄関口)なる。
一番遠かった北欧とは一番近い国同士になる。
・苫小牧港は、北東アジアのハブ港湾・釜山港より1,100㎞(約2日)ほど短い。
27,1,2,3.JPG
◇北海道の戦略(これまでの成果から)
・北海道の優位性を最大限に発揮する戦略とそれを実行する施策(戦術)が必要。
・当面は、バラク船による鉱物やエネルギーの輸送から開始し、冷凍品などへ拡大して実績をつくる。
・北海道を、北極圏研究・交流のアジア側の拠点とする⇒北極観測船の建造と母港化。研究機関の集積と国際的な共同プロジェクトの立ち上げ。
・まずはクルーの訓練基地、クルーチェンジ基地、将来的にはコンテナ中継基地を目指す。
・北欧との距離近接を利用して北欧と北海道の相互連携、相互経済交流の関係を構築。
・北極海航路で誰が、何を、どこへ輸送するかが大事⇒北海道の優位性を発揮して北海道から出すもの(荷)を創出。イノベーションを発揮して新しい産業を興す。

 以上が本日のお話のあらましですが、お話を聴いて北極海航路の事がよく分かるとともに、地理的に優位な北海道もその優位性を生かすには、世界経済の変化の中に北海道を置いて考え、厳しい現実に立ち向かっていかなければならないことも分かりました。

 受講者からもたくさんのコメントが寄せられたので、そのうちの3つほどご紹介します。
「わかりやすい説明で大変興味深く聴くことができました。TV、新聞など日常の情報が身近に感じられると思いました。一気に1時間半の講座を語り続けて下さった講師に感謝します」
「未来の北海道の役目が見えてきたような気がします。話しも分かりやすく良かったです」
「北極海航路について大変勉強になり興味も持てました。北海道の発展の為に中長期計画を是非検討して頂ければと思いました」







CONTENTS コンテンツ

カレッジ生募集中

ボランティアスタッフ募集中 詳細はこちらから

いしかり市民カレッジ事務局

〒061-3217
石狩市花川北7条1丁目26
石狩市民図書館内社会教育課
Tel/Fax
0133-74-2249
E-mail
manabee@city.ishikari.hokkaido.jp

ページの先頭へ

ご意見・お問い合わせプライバシーポリシーサイトマップ