主催講座15 「『超高齢社会』~あなたはどう生きますか~」
2015/12/01
11月28日(土)、講座15「『超高齢社会』~あなたはどう生きますか~」の第3回「お葬式、お墓など『終活』を考える」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、北海道新聞社編集局生活部の福田淳一氏。受講者は23名でした。
福田さんは、はじめに前回出された質問の回答をお話になられ、その後本題に入られました。以下、その概要を紹介します。
Q:現在、100歳以上の人たちはどの位いて、自立している人の割合はどの位か。
A:今年9月の記事で、全国で61,568人 道内は2,830人
自立している人は18%という説もあります。
○終活ってなんだ
・終活とは、人生の終末期に関する活動ということである
・終活という言葉がはやり始めたのはいつごろか
○「北海道 終活がわかる本」を出版、その本の考え方
・100人いれば100通りの終活がある
・正しい情報をわかりやすく
・特定の考え方を押し付けない
・北海道の情報を満載する
・どこから読んでも大丈夫
◇本を出版してわかったこと
・若い世代にも関心を持ってもらった。
・団塊ジュニア世代が毎年200万人誕生している
・若い世代の心配事は、親のこと、自分のこと、子供の教育のこと
介護離職、子供の教育費、経済的負担
・書き漏らしたこと~すべてをする必要はない
・書いている人は少ない:まだ早い、
・遺書:死を覚悟した人が死の間際に家族に想いを残すためのもの
・遺言書2種類
①自筆証書遺言:自筆、期日、押印。家庭裁判所で検認が必要
⓶公正証書遺言:公証役場で専門家が書式にのっとり書いたもの
・法的に不備がない。公証役場に原本が保管される
◇エンディングノートは、自分の希望、自分史など、何を書いてもよい
・法的拘束力はないと言われている。
・書いて残すことで故人の意思がわかる。判断は残された関係者が決めること
・子供と話し合っておくことが大事
・子供が親に聞いて書いたらどうかという考え方もある
・ぜひ記録を残しておくべきこと:連絡先、お寺、略歴
・市販のノートでもよい、簡単なことから書き始める
○生前整理
・自宅に使っていないものが沢山あるのではないか
物がありすぎると、夏は熱中症、冬は火事が心配
物に躓いて転倒し骨折→寝たきりの引き金
・不要なもので捨てられないものもある
・高価なものも無価値になる⇒平素から使った方がよい
○お葬式
◇家族葬:家族、親族だけで弔う。会葬者は数人~数十人。
・知人、友人が入る場合もある。定義や決まりはない。増加している。
◇直葬:通夜、告別式なし。火葬だけでシンプルに弔う。
・東京23区で20%~30%。札幌でも目立ち始めた。
◇家族葬や直葬がなぜ広まってきたか
・少子高齢化
・一人暮らしの高齢者が増加
・長寿でリタイア後が長い。兄弟姉妹も高齢化
・会葬者の多い葬送の反動
・プライバシーを大事にする人の増加
○お墓の問題
◇増える自治体の合同墓
・小樽市 市営合同墓 ・札幌(民間)滝野霊園
◇樹木葬墓地:一関市の知勝院 樹木葬墓地
・遺骨を埋葬し、墓石の代わりに樹木を植えるというやり方。
里山の利用:自然保護と管理
・法律(墓地、埋葬等に関する法律)に則って行われている。
埋葬は墓地以外で行ってはいけない。
◇散骨:法律に規定されていない。国は節度をもって行うのは認める
・長沼町では条例で陸上散骨を禁止している。
○終活の意味と注目される背景
・戦後日本人にとって、死は遠くなったといわれている中で、死を語ることがタブーでなくなってきた。
◇死亡と出生数の逆転
◇家族の変化
・高齢者の住まい方の都道府県別比較
北海道 単独世帯数④22・4% 夫婦のみ ③44.2%
・孤立死の実情
○終活のはやるもう一つの理由
・中高年の合い言葉「子供に迷惑をかけたくない」
・この言葉は本当に正しいでしょうか?
・人間の一生を考える。生まれる時と死ぬ時は手がかかる
三大介護: 食事 お風呂 排泄
◇日本人は他人に迷惑をかけてはいけないという躾を受けるのでそういう心理にもなるが、過度に考ない方がよい。
・親子の対話の重要性
・弔うことの大切さ
○最後に
人生90年時代は長い。不安を抱えていては充実した人生を送りづらい。元気なうちに問題を解決して次の人生へのステップ、というのが終活の効用であると言われている。最後は自分だけで完結できるものではない。何かの時に誰かにお願いする、誰かの手を借りることは恥ずべきことではなくあたり前なことである。
終活というものを、縁をというものを再確認する機会にしていくのもいいのではないでしょうか。ご清聴ありがとうございました。
○受講者からの感想(概要)
生死に関する話を分かりやすく親しみをもって聞くことができ参加して良かった。第1回~第3回の講座はいずれも特徴があってよかった。生前整理には、大変心配しています。「もったいない」気持ちが優先して難しい問題です。受講者の年齢構成から、終活は身近なテーマとして興味深く聞いた。葬儀も多様化しているので詳しく聞きたい。終活は必要だと思うし、不要な物を処分する事が大変な事も実感している。直葬は一寸可愛そう。
元気なうちに終活を考える良い機会になった。終活と健康寿命の大切さを学びました。広範な知識を得られた。ありがとうございました。