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主催講座2 「北海道の活火山~火山と共生する~」

第1回 「北海道の地震(活断層)と火山」

2016/05/13

 5月11日(水)主催講座2「北海道の活火山~火山と共生する~」の第1回「北海道の地震(活断層)と火山」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、北海道総合研究機構 地質研究所の廣瀬 亘さん、受講者は62名でした。
 
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 この第1回のテーマは本来「北海道の成り立ちと火山」でしたが、熊本の震災があったばかりなので、急遽地震についてのお話を追加して頂くことになりました。
 
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 以下はそのお話の概要です。

1)北海道の成り立ち
・地球上には多数のプレート(大陸などを造る巨大な岩盤)が分布していて、日本周辺は、いくつものプレート(太平洋プレート、フィリピン海プレート、北米プレート、ユーラシアプレート)がぶつかりあう場所となっている。
・北海道は、プレートの境目にあり、8000年前にはバラバラだったものが、次第に大陸東端に集まり、断層でぶつかり合う寄木細工のような地形となっている。今の形になったのは、数十万年前。実は、今この瞬間も北海道は変形し続けている。
・大地が休むことなく動き続けていることで北海道は地震や火山が多い土地となっている。

2)地震の話し
1.地震が起きるしくみ
岩盤に大きな力がかかる⇒力に負けて地盤が壊れ始める⇒地盤が壊れ、震動が発生(地震)⇒地盤がずれたり曲ったりする(断層)
2.プレート境界型地震(海から陸へ震源が深くなる)
・日本の近海では、繰り返し大地震が起きている。2003年十勝沖地震、2011年東北地方太平洋沖地震
・北海道では、この200年間だけでも何度も大きな被害を出していて、おおむね数十年おきにM7~8以上の大地震が起きている
◇プレート境界型地震の特徴
・数十年おきに日本のどこかでM7~8級の地震が起きている
・数百年おきにM9クラスの巨大地震が起きることもある(2011年東北地方太平洋沖地震、1611年慶長三陸地震)
・巨大な津波を発生させる場合がある
・陸域では地震発生から揺れはじめるまで数秒~数分の猶予があるので、緊急地震速報などで揺れに備える事が出来る場合もある
3.内陸で起きる地震(活断層に関連する地震)
北海道では、M5~M6級の地震が各地で発生していて、規模は小さいながらもけが人や家屋損傷は目立っている(ただ、これは本来の姿ではない)
◇活断層について
北海道は、逆断層(断層面を境に上盤側がのしあがる)が多いのが特徴。他に断層の種類として、正断層(上盤側が下がる)横ずれ断層(水平方向へずれ動く)がある。
◇内陸地震の特徴
・平均周期が長い。北海道では数千~数万年間隔の断層が多く、M7以上、震度6以上の地震は最近100~200年間に発生していない
・国内では、1995年の兵庫県南部地震(M7.3、最大深度7)、2000年の鳥取県西部地震(M7.3)、2014年の長野県北部地震(M6.7、最大深度6弱)などたびたび発生している
・震源が人間の生活圏に近いので、規模の小さい地震でも大きな被害がでやすい
・伏在しているために場所のわからない断層や短い断層もある
・地震発生から揺れはじめまでほとんど時間がない~緊急地震速報が間に合わない場合が多い
※地震に対して備えることがより難しい
4.熊本大地震
・九州中部、布田川・日奈久断層帯、別府万年山断層帯の一部に関連する地震活動で、最大深度7
・歴史的に数百年に一度は大きな地震が起きていたが、最近はやや静穏だった
・都市部直下の浅い地震で大きな被害
・余震回数の多さ、震源がいくつもの断層にわたる
・旧耐震基準(1981年以前の基準)で造られた建築物が多く倒壊(新基準の建築物も被害は受けているがその差は歴然)
・火山灰と溶岩が積み重なった地盤による斜面崩壊の多発
・布田川断層帯での震度予測については、断層の北西部に強震域が出ることなど、予測と実際の被害はよく似た傾向を示している
◇熊本地震から得られる教訓
・事前に行われていた調査から推定されていたシュミレーションと実際の被害は大局的には合っている。地震被害想定を反映した地震対策を着実に進める必要がある
・震度6強~7が立て続けに発生することも考慮する必要がある
・旧耐震基準(それすら満たしていない)建物には大きな被害が出ている。自治体の補助制度を利用した耐震化をはかる必要がある
・怪我の発生には、家具を固定していたか、していなかったかがかなり影響しているようだ
・救援体制が整う2~3日を乗り切れるだけの備蓄が必要
※復興期を乗り切るために、地震保険加入が必要
※北海道では、冬期間に地震が発生する可能性も考慮する必要がある
5.石狩の地震リスク
・石狩湾上に断層がある
・当別断層の存在(長さ20㎞。11000年~2200年前に活動。M7.0程度の地震。今後30年以内の地震発生確立はほぼ0~2%)
・札幌の伏在断層(石狩市にも確実に影響が及ぶ。地下深く伏在するので活動履歴などは不明)
・1834年の石狩地震
詳しいことは分からないが、「イシカリ場所」で建物倒壊、液状化も起きたらしい、津波があったとされる?札幌市内で19世紀の液状化跡がいくつも見つかっていることから、石狩湾というよりは札幌~石狩付近のどこかで地震があったのではないかと思われる。
・防災科学技術研究所作成の確率論的地震動予測では、石狩市付近は1~6%程度の確率となっている(0%ではない)
6.予測しにくい活断層の地震に対して(熊本の経験も踏まえて)個人・家族レベルでできること
・最低限(数日)の備蓄をする(冬期の寒さ、停電も考慮)
・個人住宅の耐震診断、耐震化
築後数十年の建物は加速度的に倒壊可能性が高まる。資金が足りない場合、住宅の一部のみを補強する方法もある。家具などの補強、固定。
・地震保険への加入
・ハザードマップの確認、家族レベルでの避難計画、避難行動の確認
・避難訓練への積極的参加
・子供の意見に耳を傾ける~日本の災害教育は世界トップレベル
 
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3)火山の話し
1.火山とは
・火山~地下にあったマグマが火口から噴出し、それが火口のまわりにたまって盛り上がったもの。噴火する山、マグマが地下深くから上がってくる場所
・他の山~地層がズレたり(断層)、波状の曲ったり(褶曲)して盛り上がったもの
2.マグマとは
沈み込むプレートから「水」が吐き出されて、マントルに入り、普通なら溶けない岩石が水により溶けやすくなってマグマになる
3.火山噴火
噴火で起きる現象を止めることはできないが、現象を正しく知ることで、ある程度被害を避けることができる。
4.北海道の火山
・樽前山
1904年、近年も小噴火をくりかえす。流れにくい溶岩が山頂に溶岩ドームを形成。過去には千島列島にまで火山灰が降下した巨大噴火も発生。
・有珠山
1977~1978年、2000年に噴火。山頂や山腹から大量の軽石や岩塊、火山灰を噴出。火砕流が発生したこともある。
・十勝岳
1988~1989年、2004年にも小噴火。山頂や山腹から溶岩や岩塊、火山灰を噴出。1989年には火砕流が発生。
5.噴火の頻度
小さな噴火ほど起きやすい。
6.噴火の情報
火山活動に変化が見つかれば、気象庁から情報が出る。ただし、小噴火は不意打ちで来ることもある。山の変化に最新の注意を払うことが必要。
7.火山とのつきあい
・日本ではどこに住んでいても火山とは無縁でいられない
・火山のある国での人生を楽しむこと
・火山とのつきあい方を身につけて、素敵な火山ライフを!
・火山とつきあうことで得られた経験は、地球とつきあう中で必ず生きてくる
 
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 以上が本日のお話の概要ですが、熊本地震で地震被害想定と被害がほぼ合っていたことから、地震被害想定に基づいた対策を進める事が必要なこと、個人レベルでは、少なくとも数日分の備蓄が必要なこと、地震保険加入が望ましいこと、北海道では冬期の災害の想定が必要なこと、耐震化された建物とそうでない物とはかなり差があること、家具の固定化が必要なこと、子供の話を尊重する事が必要なこと、日本では火山とのつきあい方を身につける必要があることなど、大変参考になることばかりでした。






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