9月26日(月)まちの先生企画講座3「家庭に役立つ電気の話し」の第3回「家庭の電気製品と最近の先端技術」を石狩市公民館で行いました。講師は、北海道科学大学名誉教授の佐藤孝さん、受講者は22名でした。
佐藤さんは「本日は、最初に電子レンジについて、その次に磁石に関連するお話しとしてIHヒーターとリニアモーターカーのお話しをしたいと思います。また、ちょっとした実験も行いたいと思い用意してきました」と言って本日の講座を始められました。
◇電子レンジのしくみ
①水分子は電界のない所では何も作用しないが、電界のある場では、正電荷は電界の向きに負電荷は逆の向きに偏る(分極)
②電子レンジは電磁波(マイクロ波)を飲食物に含まれる水分子に当て、振動する水分子の摩擦熱により加熱するもの
③電子レンジで使用される電磁波は、マグネトロンと云う発振器で発生させるが、1秒間に24億5千万回電極変化を繰り返す
④飲食物に含まれる水分子は、マイナスイオンの酸素とプラスイオンの水素を持つため、電磁波の極性が変わるごとに振動する。24億5千万回/秒も極性が変わるマイクロ波を当てられた水分子はその回数だけ激しく振動して、その摩擦により発熱する
◇磁石の話し
磁石は、同じ極どうしは反発し、違う極は引き付けあう。
◇実験
①電流を流すと磁石ができる
②導体のそばに変化する磁場をつくるとその変化を妨げるような形で起電力が発生し、その回路が閉じていれば電流が流れる(電磁誘導)
◇電磁調理器(IHヒーター)のしくみ
電磁誘導の法則を応用したもの。
①加熱コイルに電流を流すと、磁界が発生する
②磁界の電磁誘導作用で、鍋の底に渦電流が発生する
③渦電流が流れると、鍋の底の電気抵抗でジュール熱(電流によって導体内に発生する熱)が発生し加熱される
◇リニアモーターカーのしくみ
3つのコイルに3相交流を流すと、1周期で1回転する回転磁界が生じる。この中に磁石を置くと磁界の回転に応じて磁石も回る。これがリニアモーターカ―の原理。但し、リニアモーターカ―の場合は、コイルを直線にのばして、移動磁界として利用する。
また、リニアモーターカーには、超電導体を用いた電磁石が使われる(超電導体は温度を超低温にして電気抵抗を0にしたもの)
①車両側に取り付けられた超電導電磁石と、走行路となるガイドウェイ内部の推進コイルが、反発・吸引して車両を進行させる。
ここで佐藤さんから受講者へ質問
「リニアモーターカ―の原理はお分かりになったと思いますが、それでは、その速度を変えるにはどうしたらよいでしょうか?」
2~3の答えが出ましたがなかなか正解が出ません。ようやく最後に、周波数を変える、と云う声があがり正解にたどり着きました。
②車両側に取り付けられた超電導磁石と、ガイドウェイ内部の推進コイルをおおうように設置された浮上・案内コイルが反発・吸引して車体を浮上させる。
◇実験
リニアモーターカーならぬリニアモーターボートを浮かべて動かす実験。見事ボートが動くと、拍手喝さい!
この後、風力発電の紹介があり、最後にまとめのお話になりました。
◇まとめ
地球温暖化を防ぐためには
1.化石燃料を減らして再生可能エネルギーを活用する必要がある
2.省エネルギー化を進める必要がある(LED化など)―夜間照明は、現在使っているほど必要なのだろうか?
3.電力の地産地消が必要(発電所を都市の近くに設置する)
4.燃料電池(炭酸ガスが発生しない)が普及すれば自給自足が可能に?
そのためには、太陽電池の価格の低下、適度な風力発電、大容量で低価格な電池の開発、燃料電池の普及、余剰電力を水素に変えて、水素をエネルギーとして利用する、などの事が必要となる。
以上で本日のお話しは終了しましたが、これからの電気のありかたなどについて示唆に富むお話しでした。また、実験も見せてもらい、電気や磁石について実感することができました。
最後に受講者から寄せられたコメントをご紹介します。
「電磁石の話は、実験も交えて分かりやすかった。電磁調理器や電子レンジの原理を改めて勉強できて良かった」
「家庭に役立つ電気の講座と云うことで参加しましたが、内容的には難しくついていくのがやっとだった。ただ、今使用している調理器等について勉強になりました」
「電子レンジ、IHヒータ―の原理や電気製品のしくみが少しわかったような気がしました。リニアモーターカーの原理も移動磁界に沿って走り、周波数を上げて速度を出す未来の乗り物(だと分かった)。省エネルギー化を目指していきます」
「電磁波について実験を通して実際に見せてもらい非常に理解できた。電子れんじ、IHヒーターの原理も理解できた」