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主催講座13 「石狩の漁業~今、石狩でどんな魚介類が獲れるの?種類と漁獲量の移り変わり~」

第2回 「石狩市の漁業」

2016/11/18

11月15日(火)、主催講座13「石狩の漁業~今、石狩でどんな魚介類が獲れるの?種類と漁獲量の移り変わり~」の第2回「石狩市の漁業」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、石狩振興局 石狩地区水産技術普及指導所・所長 菊池 肇さん、受講者は43名でした。

菊池さんは、サケ増殖やホタテ増殖などの説明パネルを何枚も持ち込まれて会場に展示されたので、受講者は講座が始まる前にも学ぶことができました。
 
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以下はお話の概要です。

1.北海道の水産業改良普及事業について
北海道の水産改良普及事業は昭和28(1953)年に発足。漁業者との信頼関係を基に、漁業技術・知識等の現地普及指導を行い、現地の課題解決に向けた実践的な取り組みを通じて自主的に漁業経営改善に取り組む漁業者育成を目指している。
 
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2.漁場の概要
石狩市は南北に沿って約75㎞の長い海岸線を有する。石狩湾奥部の石狩湾新港付近は砂浜域で厚田から浜益にかけては主に岩礁域。湾奥部から水深40mくらいまでは遠浅だが、北部は急深になり海底形状が起伏に富む。また、湾奥部は石狩川の河口域で河川水の影響を受けた漁場が形成されている。

3.石狩湾漁協の概要
1)漁業権
漁業を営むには、北海道知事免許の漁業権が必要。
共同漁業権―10年、カレイ刺し網
区画漁業権―10年、ホタテ養殖
定置漁業権―5年、鮭定置
2)主な業種の操業時期
さけ―9月~11月、盛期9月中~10月
にしん―1月初~3月、盛期1月初~3月初
ホタテ―1月~12月盛期3月中~5月初と11月~12月
たこ―1月~12月、盛期4月~8月
なまこ―6月中~8月、盛期同じ
3)漁業の紹介
サケ定置、刺網(カレイ、ニシン、ヒラメ、ハタハタ、シャコ)、ホタテ養殖、たこ桁網、ホッキ、ナマコ、コンブ、ウニなど。
4)漁業者数
平成16年に石狩、厚田、浜益漁協が合併して石狩湾漁協に。合併当初の組合員159人は現在114人と減少。60歳以上の構成は44%(全道35%)で高齢化。
5)生産高
H27年は、数量4,276トン、金額2,106(百万)円で過去10年平均と比べて、それぞれ1,07と1,24となる。
石狩振興局内の農業と比べると
水産―就業者181人、65歳以上33%、生産額21億円
農業―就業者5,586人、65歳以上43%、生産額490億円
6)平成27年度の生産高
数量―サケ、ホタテ、ニシンで82% 金額―サケ、ニシン、ホタテで69%
※回遊性魚種への依存度が高い

4.石狩で漁獲される主な魚介類
魚類44種、カレイ類10種、貝類9種、頭足類4種など合計78種。

◇平成27年トピックス
1/26古潭 ニシン群来、3/16~11月ダウリアチョウザメ8尾漁獲、5月ワカサギ大漁、6月ジンドウイカ漁良好、11/17ハタハタ大漁等々。
 
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5.栽培漁業
1)サケ定置網漁業
①生産高
石狩から浜益まで定置は15カ統。S52年頃まではほとんど獲れなかったが、ふ化放流により獲れるようになった。H27年度は、1500トン、7億円弱の生産高。
②増殖事業128年の歴史
・M19年~20年 伊藤一隆が米国でふ化技術研修
・M21年 千歳中央ふか場開設
・稚魚に餌を与えず直接放流
・S25年 GHQ指摘 天然稚魚の生態研究
・S45年 給餌飼育 稚魚の体重1g
 水温5~13℃放流
・全道で100億尾放流 回帰率4~5%
③サケの生活史
秋に産卵しふ化した稚魚は3~6月に降海、1年半~6年半後に母川へ。ベーリング海には90億尾のサケ・ます類が生息。昼間は底層、夜間は表層。接餌は小型魚類(ハダカイワシ、オキアミ、クラゲ)
2)ニシン
①漁獲量―M30(1897)年の漁獲高97万トン(北海道サハリン系群)、S27年990トン(石狩湾系群)
②系群―資源変動などを考える際の単位となる群。産卵場、分布回遊等を異にする独立性の高い地域集団
③種苗生産―日本海ニシン増大対策事業(H8~19年)
④種苗放流―日本海北部(積丹以北~宗谷)18地区から200万尾(全長6㎝)放流。石狩湾漁協は、浜益幌漁港、厚田古潭漁港、石狩新港西埠頭から合計73万尾放流。
⑤生態―石狩湾系群の産卵場は留萌管内増毛から積丹半島の一部。分布は、宗谷から積丹半島北部。厚田沿岸は産卵場としての環境条件が整っている。
⑥資源管理―網目制限(石狩では2寸以上)や漁期設定(1月10日~3月20日)
3)ホタテガイ養殖
①出荷
稚貝(3.5㎝)オホーツク海、半成貝(7㎝)宮城・岩手・韓国、成貝(10㎝)朝市・市場・加工場
②生態
・分布は、能登半島、房総半島以北
・オス(白)メス(赤)に分かれる。目・口・胃・心臓・肛門などの器官がある
・無色透明の血液、目は30~50個(光を感じる程度)
・餌は植物プランクトン
・1年で5㎝、2年で10㎝、3年で12㎝ほどに成長。3年目に1億個の卵を産卵
4)その他の増殖漁業
ヒラメ、エゾバフンウニ、ハタハタ

6.資源管理
資源を持続的に利用するための資源管理は、漁場調査に基づいて漁業調整(着業者数、漁期、漁具、漁獲サイズ、漁獲量)が行われる。
 
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7.魚食活動
石狩・後志管内漁業士会が中心になり、魚食普及と地元の魚をPRするための教室を開催。毎年1月下旬に花川北コミュニティセンターで市民向けにホタテやニシンの漁場紹介や調理実習を行っている。

以上が本日のお話の概要ですが、石狩で獲れる魚介類の事はもちろん、もともと漁獲量の変動が激しい漁業はそれを補うための増殖事業と資源管理に支えられて営まれている事が良く分かるお話でした。

受講者からも多くのコメントが寄せられましたので、その一部をご紹介します。
「ホタテの養殖とサケ、マスは以前からやられていることを知っていたが、ニシン、ハタハタの増養殖は知らなかった。大変有意義であった!さらに技術向上を図って安価なものが我々の食卓にもっとのぼるようになってくれればと思いました。『お母さんの水産教室』には是非家内を参加させたい」
「改めて石狩の魚介類の種類と漁獲量を知ることが出来ました。第一次産業の発展を心から願っております」
「石狩の水産物、漁業について初めて詳細な現状を認識できました。地球温暖化による海水温の上昇の影響で今後どんな漁獲量の変化が予測できるかも知りたかった」
「毎日の食生活に直接関係のある(影響大)漁業について専門家のお話を聞くことができ、学べて良かった。漁業(労)方法についても知らないことばかり、獲り方、網、魚・貝の特性などなど興味を持てました。平成27年トピックスも面白かった!もっと報道されると良いです」
「スーパーで国内産を求めるが外国物が9割以上を占めているようだ。特に道内産のサケはどこへいってしまったのか?養殖の魚が多種あるのは知りませんでした」




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