6月27日(火)主催講座4「躍進する石狩湾新港~北電LNG火力発電所の建設現場を訪ねて~」を行いました。
47名の受講者が石狩市公民館に集合してバスで石狩湾新港発電所の建設現場に向かい、到着後に北電さんの会議室で発電所の概要についてビデオも見ながら説明を受けました。
◇北海道電力石狩湾新港発電所の概要
石狩湾新港発電所は、既設の火力発電所の経年化に対応するとともに、発電効率が高く、環境特性に優れたLNG(液化天然ガス)を燃料とするコンバインドサイクル発電方式の火力発電所として、燃料種の多様化と電源の分散化を図る目的で作られている。1号機は、2015年8月に建設着工、2018年度下期の試運転を経て、2019年2月の営業運転開始を目指している。1号~3号の3つの発電機が運転(2030年12月予定)すると170.82万kWの出力能力がある。
1)石狩湾新港発電所の必要性
・既設火力発電設備の経年化への対応
石狩湾新港発電所1号機の営業運転開始予定の2019年までに、運転年数が40年を超える北電火力発電設備(10万kW以上)は13機中6機あるので、代替電源の確保などの対応が必要。
・燃料種の多様化による供給安定性
現在の原子力、水力、石油、石炭などに新たにLNGが加わることで燃料の種類の多様化を図ることが出来る。なお、現在の天然ガスの埋蔵量は可採年数53年だが、シェールガス採掘技術の革新により今後可採量の増大が期待される。また、天然ガスは、石油に比べて世界各地に広く存在し供給安定性に優れる。
・電源の分散化
自然災害などによる設備トラブルの影響を減らすためには、大型電源を分散させることが、電力の安定供給確保につながる。
2)発電のしくみと特徴
石狩湾新港発電所は、発電効率が高く、環境特性・運用性に優れた「コンバインドサイクル発電方式」を採用している。
・コンバインドサイクル発電方式とは
「ガスタービン」と「蒸気タービン」を組み合わせた発電方式。
燃料の天然ガスを燃焼させた時に生じるガスの体積膨張の力で「ガスタービン」を回し、ガスタービンから出た高温の排ガスの熱を利用して作った高温・高圧の蒸気で「蒸気タービン」を回す。
・LNGコンバインドサイクル発電の利点
①高い発電効率
従来の蒸気タービンによる発電方式と比べ、発電効率が高く、エネルギ―の有効利用が図れる。
②優れた環境特性
燃料のLNGは、気体の天然ガスを長距離運搬しやすくするため約-160℃に冷やして液体状態にしている。この「液化」する過程で、ガス中に含まれる硫黄や塵などが除去され、燃焼時に硫黄酸化物(SOX)や、ばい塵が発生しない。また、天然ガスは、石炭や石油に比べて二酸化炭素(CO2)の発生量が少ない。
③優れた運用性
石炭・石油火力発電所に比べて発電機の起動時間が短く、発電出力の調整速度が速いため、時々刻々と変化する電力需要への即応力がある。
発電所の概要についての説明を受けた後、バスで建設中の1号機タービン建屋と煙突の近くまで行き、実際に建屋や煙突を観察しながら説明を受けました。
タービン建屋は現在1号機が建設中ですが、その横に2号機、3号機が建つそうです。また、放水設備(海域)についても説明を受けました。
タービン建屋と煙突の建設現場を観察したあと、中央水路を挟んで反対側にある石狩LNG基地まで行き、説明を受けました。
◇石狩LNG基地のNo.3タンク及びNo.4タンク
北海道ガスが運営する石狩LNG基地において、北電は、No.3タンク及びNo.4タンクなど石狩湾新港発電所用の燃料設備を設置し、北電が調達するLNGの受け入れ、貯蔵及び発電所への燃料ガスの供給を行うが、実際の運転、保守、保安管理は基地全体の運営主体である北海道ガスが行う。現在建設中のNo.3タンク(2014年8月着工、2018年8月完成予定)とNo.4タンク(2016年6月着工、2020年10月完成予定)は、高さ約60m、直径約90mで、貯蔵容量23万kl。
LNG外航船で運ばれてきたLNG(液化天然ガス)は、気化して、地下に敷設したガス導管を経由して発電所へ供給される。
石狩LNG基地の説明を受けた後は、ガス導管製作現場を車中から観察しながら最初の会議室に戻りました。
会議室に戻って、受講者からの発電方法やメンテナンスなどについての質問に答えて頂いた後、本日の見学スケジュールを終了、再びバスに乗って公民館へ戻りました。
今回のLNG火力発電所見学では、北海道電力の3名の社員さんから懇切丁寧な説明を受け、石狩湾新港発電所のことが大変良く理解できました。改めて、感謝したいと思います。
受講者からもたくさんのコメントが寄せられましたので、その一部をご紹介します。
「北電発電所170万kwの現場を見て、将来を見越した電力確保に努力している姿に感動しました。工事の大きさにびっくりした。色々細かな事を勉強しました」
「新しく北電が建設したLNGを一度見てみたい思っていた。解説の方も大変分かりやすく説明して下さり、概ね満足しました。完成後には、もう一度見て(訪ねて)みたいと思いました」
「すばらしい見学会、ありがとうございました。インフラの発展で良い生活が整うことは嬉しく思いました」
「百聞は一見に如かず。見学でき、説明を聞くことが出来て本当に良かったと感謝しています。確かに難しい内容でしたが、この度の講座で新港の建物にも興味がわき、これからの日常生活で関心を持って過ごしたいと思いました」
「丁寧な説明、とても参考になりました。安全な発電所を作るため多くの人々の力が寄せられている事を知りました」
「世の中、どんどん便利になるのは嬉しいこと。でも便利と危険は隣り合わせ。現在、工事に関わるたくさんの会社、大勢の方々、どうぞ事故、けがにあわれませんよう、お祈りいたします。分かりやすい説明、ありがとうございました」
「LNG発電の仕組みがよく分かった。特にコンバインドサイクルについては、より効率的な発電を目指して技術が進歩しているのが分かった」
「LNG使用の発電所建設現場を見学する機会を得て大変勉強になりました」
「非常に興味深いテーマでした。今、ロシアとの間でガスのパイプラインの話が出ています。石狩活性化に良い話でした。日本海側に火発を建設することはメリットが大きいです」
「石狩湾新港の最先端技術を見学でき、大感動でした」
「地元でこんな大きなプロジェクトが建設されているとは思いませんでした。小樽を跨いでいますが、誇りです。やはり見るのが一番です」