5月20日(土)主催講座3「菅井貴子さんの気象学講座」の第2回「最近の気象と異常気象」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、気象予報士でUHBお天気キャスターの菅井 貴子さん、受講者は47名でした。
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皆さん、花粉症は大丈夫ですか?私は昨日から酷く、白樺花粉のピークは過ぎているようですが黄砂も少しまっているようです。身体は大丈夫なので進めていきます。
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昨日の番組で取上げた石狩の花は何か判りますか?
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杏の花です。浜益区善盛園にある142年前の原木です。石狩市役所、川田さんから色々な情報をいただき、また魅力的な方です。
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今日来る道中、西洋タンポポを見ました。これは札幌が発祥のものです。クラーク博士の弟子、ブルックス先生が野菜不足の食用として持ち込み北大で栽培しましたが、兎の食べ物だとして食べられなかった。さて、今日の天気は南に太平洋高気圧、北に低気圧、南高北低の天気図で南の高気圧から北の低気圧に向け暖かい空気が入るため7月下旬並みの暑さになっています。でも明日からは前線が張り出し予報としては晴マークが出るものの曇りとなり道南では雨が降るかもしれません。その後前線が無くなり来週は天気はよくなるでしょう。
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大陸から高気圧と低気圧が偏西風にのりやって来ますがそのスピードは凡そ時速40Kmで車より若干遅い位で1日およそ1000Kmで西から来るので道南から雨になる予想がたてやすくなります。
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予報をするのに東西の動きは予想し易いが、南北は前線などがあり難しく、外れることも多くなります。函館で雨が降ると約6時間で石狩が雨になる目安になります。5月は高気圧が続けて来たので晴天が続きました。ここで一雨降って塵や埃や花粉が無くなって欲しいところです。最近お天気が昔と比べて変わって来たなと思うことはありますか?の質問に受講生から「暑くなった」「雪が少なくなった」「花川の中でも南と北で天気が違う」「天気図に表われない石狩湾低気圧で急変する」との回答。石狩湾小低気圧は西高東低の気圧配置で発生6時間位前に"あれ?"と思っていると吹雪になる。冬型が少しゆるんで来た時に起き易く一冬に1~2回発生します。
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常気象は増えている?のか。温暖化、異常気象ネタは視聴率が良い。
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異常気象と観測史上一番の定義は。観測史は石狩で40年、札幌は100年で歴史の浅い地域ほど観測史上一番が出易く、函館は140年あり日本で一番出難い。
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天気予報も完全ではないので悩むんです。見逃しなのか、空振りなのか、空振りなんです。
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先輩から「天気予報は外れてもしょうがないけど、もし北海道で人が亡くなったら自分のせいだと思いなさい」と言われ12年、今でも思い出しています。
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今までに悔しかった3つの1つ目は、北海道で竜巻の被害が有りました。2006年の佐呂間町で起きた竜巻です。
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当時の竜巻の通り道です。30分位のアッという間のあいだです。
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2階建てのプレハブが60m飛ばされて中に居た方が亡くなられました。どこから飛んで来たか、車も横転しています。
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昼頃、気象レーダーに真っ赤な積乱雲が写り、竜巻が起きるかもと心配していたところ1時過ぎに起きニュース速報が流れましたが放送の関係で伝えることが出来ず悔しい思いをしました。石狩も「竜巻注意情報」は発表されます。発表されてから1時間後に再発表が無ければ解除です。精度としては5%くらいです。
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竜巻は札幌白石、日本海側、太平洋側の海水温の高い時に多く、白抜き部は人が住んでいない所が多く解らないのが実状です。石狩は海上では発生して陸地まで来てないので印が付いてません。
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発生時期は秋が多くなります。下に夏の暑い空気が溜まっている所へ上から冬の冷たい空気が入り積乱雲が出来、エネルギーが溜まり竜巻が発生し易くなります。11月の発生は温暖化の影響だろうとも言われています。
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2つ目は4年前の3月中標津、湧別、富良野などで起きた大雪です。2013年3月は北風でおそらく記録的な大雪になるだろうと予測出来ました。972 hPaで等圧線が6本でも吹雪ですがこの日は9本ありました。未明から吹雪だが昼間に一時小康状態になりその後また吹雪くと予報。しかし、昼間は吹雪が止み日照も有ったためか吹雪は終わった、予報が外れたと思ったから外出し帰りに吹雪に遭い帰れなくなった。予報は出来たのにきちんと伝え切れなかったことです。
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3つ目は昨年の台風です。怪しい気配は有ったんです、台風が1ケも発生してなかったんです、7月までは。発生してなかったのは良いんですが、発生してからが大変でした。7月下旬に1号が発生してからたくさんの発生が有りました。
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毎年1つ2つ来るか来ないかが北海道です。8月は北海道ばかりで後半の2週間に集中しました。特に台風10号で上陸はしてないが地盤が弛み、川も水位が下がってない所に大雨が降りました。
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例年、太平洋高気圧が帯状に延びそれに沿って西から北上しますが、去年の8月は太平洋高気圧が2つに別れその間を通過すると必然的に北海道を通るルートになってしまい、最悪の結果になりました。
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9月に入ると通常のルートに戻りました。
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測器が測定出来ない程で大変な被害が出ました。
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北大の先生から聞いた話で共感出来る言葉は、今まで無いことが起きるので過去の経験は役立たないと言うことです。
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また、人的な災害も重要です。
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命を守る原則も大切なことで、情報を理解し正しい知識を身に付けることです。
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気象台から出される注意報は?
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全部正しいですが①は沖縄県②は山梨県③は北海道で一番多いんです、設定されている注意報が全部出るんです。注意報が深刻になって来た時、出されるのが警報です。その中で選ばれし警報は暴風、大雨、洪水、大雪、暴風雪、波浪、高潮の7種になります。
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それよりもっと深刻になったら特別警報になります。
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冬に関しては本州の防災対策+αを考えなくてはならない。
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雨の話しになりますが、活発な雨雲は局地的だがどしゃ降りになる。降り方としては1時間50ミリが一つの目安になり、傘に高校生(50㎏)が乗った位の水圧になり、札幌では都市型災害レベルですが最近は増えています。
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大規模な低気圧も発生し易くなっています。温度差が大きくなるとバランスを保とうと暴れ出し、24 hPa以上低下すると爆弾低気圧になります。
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2年前に出された2081年から2100までの気象庁のレポートでは下記になります。
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北海道の冬も温暖化により寒くなり易くなります。
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温暖化で寒くなり易くなりますと言いましたが一番影響が出るのは、北極海で氷が融けていることで気圧配置が変わり寒気が入り易くなり厳しい寒さになります。実際にそうかなと思うことが有り調べてみると毎年北海道ではどこかで大雪になっています。記録的な大雪です。
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これから異常気象に備えるにはどうしたら良いのか、おそろしい現象とは何か考えてみました。私は大丈夫と言う考えが間違いなんです。
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怖いことは予測が出来ないからで予測が出来れば対処のしようが有ります。
本日は、いくつかの質問にも答えながら、花粉症の中、明るい笑顔で予報の裏話やエピソードを交えたお話をして頂き、楽しく講座を終えることができました。菅井さん、本当にありがとうございました。