6月29日(木)主催講座5「坂と歴史の港町・小樽の歴史的建造物をたずねて」(浜益・厚田教室)を行いました。講師は小樽市総合博物館学芸員の管原 慶郎さん、受講者は24名でした。
この講座は、1回目は浜益区・厚田区の方を対象に、2回目は旧石狩市と近郊地域の方を対象として同じ内容で行います。
厚田から石狩市公民館を経由してバスで小樽市に向かい、小樽市総合博物館、手宮洞窟保存館、旧白鳥家番屋、旧日本郵船小樽支店、日本銀行旧小樽支店を巡回見学しました。
以下はその概要です。
◇小樽市総合博物館
平成19年に、旧小樽交通博物館、小樽市博物館、小樽市青少年科学技術館を統合して開館、手宮の本館と色内の運河館がある。
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館内には、蒸気機関車「しづか号」をはじめとする北海道を代表する50車両の鉄道車両が保存・展示されている。
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また、明治期・手宮駅構内のパノラマ模型や蒸気機関車のナンバープレート、時刻表、車両模型など様々な鉄道関連資料も展示されている。
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機関車庫(1号、3号)、転車台、貯水槽、危険車庫、擁壁など旧手宮鉄道施設は国指定の重要文化財となっている。
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・幌内鉄道
幌内の石炭を運ぶ目的で作られた鉄道。明治13(1880)年、手宮―札幌間が開通、明治15年手宮―幌内間全線開通。
この鉄道は、米国のジョセフ・ユーリー・クロフォードの指導によりアメリカ式で敷設された。
その後、生産が急増する石炭を効率的に船に積み込むため明治44(1911)年手宮高架桟橋が作られた。
館内を見学中、車庫から出て転車台で回転する機関車(アイアンホース号)を見学することが出来ましたが、残念ながら時間がなく試乗は出来ませんでした。
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◇手宮洞窟保存館
慶応2(1866)年、朝里地区のニシン番屋建設工事の石工により発見される。その後、イギリス人のジョン・ミルンにより初めて学術的観察と報告が行われた。大正10(1921)年、国指定史跡となる。洞窟に描かれている彫刻(陰刻)は、1600年前頃(続縄文時代中頃~後半)のもので、文字ではない。
風化、剥落の進んだ洞窟を昭和61年から保存修復し平成7年に「手宮洞窟保存館」が完成。
館内を見学しましたが、洞窟の陰刻があまり鮮明には見えなかったのが残念でした。
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◇小樽市指定歴史的建造物 第62号 旧白鳥家番屋
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主人と漁夫の住居部分が大屋根で一体となっている。主人の住まいは、床の間や欄間を設けた和風住宅の特徴を示し、漁夫の寝床は、吹き抜けとなっている。
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平成7(1995)年に建物を補修、小樽市指定歴史的建造物に指定された。翌年に、小樽市都市景観賞を受賞。料理屋として利用されていたが、現在は閉業。
この番屋は、今は閉鎖されているそうで、特にお願いして開けて頂きました。特別措置を取って頂いた関係者のみなさまに感謝申し上げます。
◇昼食
番屋の隣の青塚食堂でボリュウム満点のホッケのかば焼き丼(花魚丼)を食べました。
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◇旧日本郵船株式会社小樽支店
近世ヨーロッパ復興様式の2階建て建築で、明治37(1904)年着工、同39年落成。工費は約6万円。暖房は、地下にボイラ―室設けた蒸気暖房、窓はすべて二重ガラスとして北国の冬に備えている。設計は、工部大学校造家学科1期生の佐立七次郎。小樽には、佐立の同期生の設計による建築物が2つある(日銀旧小樽支店―辰野金吾、旧三井銀行小樽支店―曽禰達蔵)
完工間もない明治39年11月に、ポーツマス条約に基づく日露の樺太国境策定会議が2階会議室で開かれ、会議終了後、隣の貴賓室で祝杯が交わされた。
昭和30(1955)年に小樽市が日本郵船より譲り受け翌31年から博物館として利用。昭和44(1969)年、国の重要文化財に指定される。昭和59(1984)年修復工事を着工、62年6月に完工。
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ボランティアガイドさんのユーモアを交えた詳しい案内で、1階営業室、金庫室、支店長室、大階段てすり、2階会議室、2階貴賓室、渡り廊下で繋いだ瓦葺附属舎などを見学しました。
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◇日本銀行旧小樽支店金融資料室
日本銀行小樽支店は、明治45(1912)年に竣工。積み上げたレンガの上にモルタルを塗った造りで2階建てのルネッサンス様式。総工費40万円で、これは本店、大阪支店に次いで3番目の高額。建物の内外壁にフクロウの塑像が取り付けられている。平成15(2003)年に日本銀行の広報施設として再オープン。
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受講者は、2班に分かれて日本銀行の歴史や業務、金融の仕組みなどを学びました。
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その後は、小樽運河周辺を散策し、運河の成り立ち(運河は掘りこんだものではなく沖合を埋め立てた結果できたもの)や運河論争のこと、小樽の盛衰について学びました。
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こうして、本日のスケジュールを終了、再びバスに乗り帰路につきましたが、講師の管原さんには、小樽市総合博物館の案内ばかりでなく一日付き添って多くの事を教えて頂きました。大変ありがとうございました。
小樽の街の勃興と繁栄のことを学んだ一日でしたが、現在は沈滞し、最盛期(昭和39年)に20万人あった人口は今12万人となっているようです。
最後に、受講者から寄せられたコメントをご紹介します。
「浜益の白鳥番屋と小樽のは兄弟と云うことをはじめて知りました。小樽、浜益は昔から関係が深かったのですね。学芸員の管原さんの説明は分かりやすく良かった」
「本当に楽しく有意義な一日でした。企画、運営に当たったスタッフに感謝。来年も素敵な講座を企画してください」
「興味深いお話がたくさんあり、もっと時間があればと思うことしきりでした。昼食も満足でしたし、このような企画は何度参加しても学べますし楽しめます」
「小樽は何度も来ていて、今日廻った所もほとんど行ったことはあったが、詳しい説明を聞いたり歴史を勉強したことがなかった。今回、学芸員の方が最後まで付き合って頂き説明して頂いて随分勉強になった。今度は孫を連れて説明してやりたい」
「小樽には小学校の頃2年程住みました。親戚も多いので1年に何度か来ます。北一とかま栄くらいしか寄らないので今回歴史的建造物を訪ねることが出来、専門の方の詳しい説明も聞けて良い機会を得ました」
「説明して下さった方々が楽しくお話して下さってとても良かった。海開きにしか入れないと云う旧白鳥家番屋に入れて頂いたことにとても感激しました。先日行った浜益の旧白鳥番屋が兄弟だと教えて頂いてビックリしました」