主催講座9「私たちの生活用水」の第1回「上下水道の話」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、石狩市建設水道部水道施設課上水道整備担当主査の武藤信彦さんと石狩市建設水道部下水道課建設・管理担当主査の櫻井正登さん、受講者は30名でした。
1.上水道の話
最初に15分ほどのDVDを見て、水源の水が水道水となるまでについて学んだ後、石狩市の上水道についてのお話を聴きました。
◇事業概要
給水人口は58,510人(平成29年3月末現在、石狩地区55,627人、厚田区1,556人、浜益区1,327人)で行政区域面積は、約720K㎡。
【石狩地区(旧石狩市)】
供用開始:昭和48年 水源:当別ダム(当別川) 最大配水量:16,259㎥/日 水道普及率:99%(H28)
【厚田区(旧厚田村)】
供用開始:昭和37年 水源:河川水(幌内川) 最大配水量:1,322㎥/日 水道普及率:98%(H28)
【浜益区(旧浜益村)】
供用開始:昭和40年 水源:河川水(群別川など) 最大配水量:869㎥/日 水道普及率:98%(H28)
◇給水人口の推移
H17年6万人の人口がH20年頃から減少傾向になるとともに、給水人口も減少傾向。
◇水道普及率の推移
H9年頃まで上昇、H10年頃水道未普及地の生振、高岡地区が給水区域となったため急減したがその後は再び上昇し、現在は99%以上となっている。
◇年間給水量(総配水量)の推移
総配水量とは、市民が使用した水量と維持管理に使用した水量を合わせたもので漏水量も含む。H11年まで増加、その後は横ばいとなっている。
◇有効率の推移
総給水量に対する漏水量や不明水量を除いた有効に利用された水量の割合で、石狩市全体では90%以上となっていて比較的健全な給水状況と云える。
◇有収率の推移
総給水量に対する水道料金の対象となった水道水の量の割合で80%半ばとなっている。全道平均は約87%なので石狩市は全道平均並みとなっている。
※近年は、人口の減少、料金値上げに対する節水意識の高まりなどにより水道水の使用料は減少傾向となっている。
◇石狩地区の給水区域
花川北配水場、新港中央配水場、生振配水場、八幡配水場、高岡配水場の5つの配水場から各地域に配水されている。なお、高岡地区は標高が高いためにポンプで加圧して配水されている。
◇石狩地区の施設
1)石狩西部広域水道企業団からの用水は、花川北配水場で受水し、その後新港中央配水場でも受水している。
2)その他の施設
新港中央配水場からは、生振配水場、八幡配水場、高岡配水場の3か所に配水されている。
◇石狩地区の水源・当別ダム
・当別町の当別川に設置
・平成24年度の完成、北海道が管理している
◇当別浄水場
・当別ダムの水を浄水処理
・石狩西部広域水道企業団が管理し、平成25年度から運転開始している
◇石狩西部広域水道企業団
◇ダムからの送水管
◇当別浄水場の水質など
・カルシウム、マグネシウム等(硬度)
これまでの地下水と比べると値が低くなり、河川水を水源とする札幌市の水道水に近い水質となった。
・蒸発残留物
水廻りや鍋、やかん等にミネラル分など白い付着物がつきにくくなった。
・活性炭による高度浄水処理
当別浄水場の特徴のひとつで、色やにおいの成分を取り除く。
・水温
これまでの地下水は18℃前後、季節によらず一定だったが、ダム水は4~9℃で季節変動する。また、当別浄水場から石狩市まで届く間に5~17℃まで上昇する。
・色
太陽光の可視光線の反射などから容器に入った水の色は、人間の目には青く見えることがあるが、特にアイボリ―系の浴槽でこの現象が見られる。
◇厚田区の水源や施設
取水施設:1か所 浄水場:1か所 送配水場:7か所
◇浜益区の水源や施設
取水施設:3か所 浄水場:3か所 配水場:1か所
◇第三者委託の実施
平成14年の水道法改正により制度化
・浄水場の運転管理や水質管理などの技術上の管理業務を技術的に信頼できる第三者へ委託
・委託業務の水道法上の責任を第三者委託の受託者が負う
・受託者は水道の管理に関する技術上の業務を担当する受託水道技術管理者を設置
◇第三者委託の評価
市の第三者委託業務評価のねらい
・安全、安定した水道水の供給が維持されているかを検証
・市民に第三者委託業務の状況を理解してもらう
・受託者の業務内容の向上、意欲向上の動機となる
※評価結果は、毎年度市ホームページで公表
2.下水道の話
下水処理についてのDVDを見てから、お話を聴きました。
1)下水道について
①下水道の役割
・街をきれいにする(汚れた水をとどめず、害虫や悪臭の発生を防ぐ)
・トイレの水洗化と生活排水の処理(水洗化で家の中の嫌な臭いが無くなり、快適な生活がおくれる)
・浸水から守る(降った雨を素早く排除して浸水から街をまもる)
・きれいな水辺をつくる(下水道整備により汚れた川がきれいになり本来の生態系が復活)
②下水道のしくみ
・送水方法、排除方式など
送水方法:自然流加方式と圧送方式があり、石狩市ではこの二つを組み合わせて送水している
排除方式:汚水と雨水を同一の管渠で排除する合流式と別々の管渠で排除する分流式があるが、石狩市は分流式を採用
下水道施設:下水道管、ポンプ場、終末処理場で構成される
・排水設備
・処理場
・個別配水処理(下水道計画域外地)
合併処理浄化漕の設置事業を行っている。毎年4月から1ヵ月間設置希望者を募集、希望者には工事費の1割を負担してもらい、市が設置と維持管理を行っている。
③水の汚れの程度
※BODとは、生物化学的酸素要求量のことで、水中の汚濁物質が微生物によって分解されるとき必要となる酸素量のことで、数値が大きいほど水が汚れている。
④生活排水について
※汚れの量40グラム/人・日なので、一日の排水量200リットルで割ると、0.200グラム(200mg/L)となる。
⑤下水道の普及率(平成27年度末)
・都道府県別
下水道処理人口普及率:全国77.8、北海道90.7(全国で6位) 汚水処理人口普及率:全国89.9、北海道95.0
・道内人口3万人以上の市
下水道処理人口普及率:札幌市99.8、石狩市91.6 汚水処理人口普及率:札幌市98.7、石狩市94.1
2)石狩市の下水道計画
①全市下水道計画
旧石狩市:公共下水道事業を行い、手稲処理区、茨戸処理区、八幡処理区がある。
厚田、望来:特定環境保全公共下水道事業を行い、厚田処理区、望来処理区がある。
その他:合併処理浄化槽を使った個別配水処理施設整備事業を行う。
②旧石狩市下水道計画
手稲処理区(花川南、一部花川北)⇒手稲水再生プラザで処理される
茨戸処理区(花川北、花畔、花川東、緑苑台、樽川、本町地区)⇒茨戸水再生プラザで処理される
八幡処理区(八幡町)⇒八幡処理場で処理
石狩処理区(石狩湾新港)⇒北海道が施行、管理
3)石狩市下水道事業の沿革
4)石狩市下水道事業の概要
①汚水管渠の整備状況(平成28年度末)
整備面積:1,157.4ha
整備延長:277.0km
面積整備率:90.7%
②雨水管渠の整備状況(平成28年度末)
整備面積:745.5ha
整備延長:179.6km
面積整備率:64.9%
※現在も整備を進めている
③処理場の整備状況(平成28年度末)
手稲処理区(手稲水再生プラザ):処理方式は標準活性汚泥法
茨戸処理区(茨戸水再生プラザ):ステップ流入式硝化脱窒法
八幡処理区(八幡処理場):オキシデーションディッチ法
厚田処理場、望来処理場:嫌気好気ろ床法
④下水道の普及状況(平成28年度末)
行政人口:58,831人(区域外1,381人)
処理区域内人口:53,997人
普及率:91.8%(H27年全国77.8%)
水洗化人口:53,679人
水洗化率:99.4%
⑤下水道工事(花川南地区)
⑥下水道工事(製管工法)
5)石狩市下水道事業の現状と課題
・現状
管渠:約457㎞(汚水管約277㎞、雨水管約180㎞)
ポンプ場:4か所(花川北、花川南、樽川、本町)
終末処理場:3か所(八幡、厚田、望来)
※施設の老朽化が進行
⇒敷設後30年以上経過した管渠(全延長の3割超)
⇒昭和51年から稼働している花川北汚水中継ポンプ場 外3施設)
⇒平成15年から稼働している厚田浄化センター 外2施設)
・課題
今後既存施設の老朽化対策に迫られる。
改築、更新に多額の費用がかかることが予想される。
人口減少傾向による、使用料収入の減少が見込まれる。
※このような課題について、平成29年度に下水道ストックマネジメント計画策定予定。下水道施設全体の管理を最適化し、効果的な改築・更新の平準化を図り、計画を効果的に進める予定。
以上が本日のお話ですが、上水道と下水道の現状と課題が良く分かりました。
受講者からも多くのコメントが寄せられましたので、その一部をご紹介します。
「このような機会でなければ知りえない内容で聞いておきたい、知っておきたいと思い参加しました。ライフライン、大事な上下水道のこと、これからも関心を持って生活していきたいと思います」
「DVDによる上水道処理工程が理解できた。水質階級とBOD値が生息魚有無で理解できた。機会があれば、新港中央配水場の見学を希望したい」
「生活用水の講座について、ビデオ、DVD、パワーポイント等を使い詳しくお話がありとても立派な資料も配布して頂き素晴らしい講座でありました」
「毎日あまり考えず使っている水の事を色々と話されたので大変大切に思いました」
「詳細な説明、ありがとうございました」