9月15日(金)、主催講座9「私たちの生活用水」の第2回「当別ダム、当別浄水場、下水道科学館、創成川水再生プラザ施設見学」を行い、8時20分に公民館を出発、バス巡回で午前は上水道施設を午後は下水道施設を見学しました。受講者は35名。
本日の講座の紹介をする前に、前回の講座の質問に対して、武藤信彦、櫻井正登両講師から懇切丁寧な回答があり、受講者に大変喜ばれたことをご報告致します。
以下は、本日の見学内容の概要です。
◇上水道施設
1)当別ダム
①経過
昭和45年予備調査開始、平成4年建設事業採択、平成24年10月完成。
②ダムの目的(多目的)
・洪水調節
・流水の正常な機能維持
・かんがい用水
・水道用水(当別町、小樽市、石狩市に一日最大85,500㎥の水道水を供給)
ダムには、水道用水の外にも様々な目的があることを学びました。
③規模
堤の高さ52.0m、総貯水量74,500,000㎥、有効貯水容量66,500,000㎥
④ダム形式
台形CSG形式(堤を台形とし、セメントで固めた砂礫を材料とする)
基礎掘削で発生する河床砂礫をそのまま堤材料に使用できる、大規模な仮設備が不要、施工の簡略化で急速施工が可能、ダムの配置が最短距離で設定可能、などのメリットがある。
※当別ダムは、対費用効果も考えながら作られていることが分かりました。
2)当別浄水場
①事業概要
札幌市、小樽市(石狩湾新港地域)、石狩市、当別町に一日最大77,800㎥(平成47年度目標)の水道用水を供給。第1期創設事業は平成24年度で終了、小樽市、石狩市、当別町に水道用水を供給、平成32年度から36年度の第2期(予定)で札幌市を含む3市1町へ供給予定。
②事業運営主体
石狩西部広域水道企業団
平成4年3月に北海道、札幌市、小樽市、石狩市及び当別町の構成で設立され、同年4月に水道用水供給事業の認可を得て創設事業に着手。
③ダムから取水した水の処理の流れ
・着水井
苛性ソーダを注入してPHを調整。
・混和池
原水中の濁りや色などを大きなかたまり(フロック)にし、沈でん池で除去しやすくするためにPAC(凝集剤)を注入する。
・フロック形成池
3基のフロート式横型緩速攪拌装置(フロキュレータ)により、薬剤混和池でPACが急速攪拌された水を徐々に緩やかに攪拌し、良質なフロックを形成する。
・沈でん池
フロックの沈降を促進させる。
・活性炭ろ過池
原水中の自然由来有機物、特にフミン質等を取り除くため粒状活性炭による高度浄水処理を行う。活性炭が汚れた時は水と空気を併用した逆流洗浄を行う。
・中間塩素混和池
急速ろ過池の前に塩素を注入。
・急速ろ過池
沈でん池や活性炭ろ過池で除去できなかった微細なフロックや原水に含まれるマンガンを除去する。
・後塩素注入⇒浄水池
この後、送水管で分水施設へ送られる。
④場内見学
2班に分かれて見学しました。最初に浄水場の概略をビデオで学び、管理室へ移動。
・管理室
浄水場から当別ダム取水施設や分水施設などの場外施設までの運転管理を24時間体制で行っている。
・水質試験室
各プロセス水の濁度、色度、PH、残留塩素、マンガン等を定時間毎に測定。
ヤマメを使った原水毒物監視(バイオアッセイ)も行われていました。
処理後の水の試飲も行いました。
・フロック形成実験
苛性ソーダとPACを入れた汚れた水をかき混ぜると汚れはロックとなって沈でんし、上澄み水がきれいになる実験を行いました。
・浄水施設
浄水施設の各工程を案内してもらいました。
※浄水場は、食品工場と同じかあるいはそれ以上に気を配った管理が必要だ、と云う職員さんの言葉が強く印象に残りました。
当別ダムと当別浄水場を見学した後、車中で昼食を取りながら札幌市創成川水再生プラザに向かいました。
◇下水道施設
1)札幌市創成川水再生プラザ(下水処理場)
①施設の概要
・昭和42年運転開始
・処理面積は、2,064ha。処理人口は、223,000人。
・汚水処理能力は、144,000㎥/日
②汚水処理工程
・沈砂池
ごみや大きな砂を取り除く。
・最初沈でん池
下水をしずかに流して汚れを沈める。
・反応タンク
100種類ほどの微生物に汚れを食べさせて水をきれいにする。
・最終沈でん池
しずかに流して微生物のかたまりを沈め、きれいな水をとりだす。
・消毒タンク
きれいになった水を消毒して川へ放流する。
③見学
最初に全員で概要紹介のビデオを見た後、2班に分かれて場内を見学しました。
・処理場施設見学
処理場の各工程を案内して頂きました。
また、再生プラザでは、川のせせらぎの回復、融雪、雨水の貯留なども行っているそうです。
2)下水道科学館
下水道処理について、子どもから大人まで学べる体験型展示施設。「サブマリンアクアツアー」や「サブマリンドライブゲーム」などで楽しみながら下水道について学べるようになっている。
・「サブマリンアクアツアー」
汚れた水がきれいになり、川に戻っていく過程を3D映像で体験できる。
・館内展示
下水処理のしくみが模型で展示されている。
こうして本日の見学予定はすべて終了、バスで公民館に向かいましたが、日頃意識もせずに使用している上下水が多くの処理工程を経てはじめて利用できるようになることをよく学ぶことができました。日常使っている水をもっと大切にしなければ、と感じさせられた一日でした。
受講者からは、多くのコメントが寄せられましたので、その一部をご紹介します。
「個人では来れないと思っていた浄水場見学ができて良かった。丁寧なパソコンを使っての説明がわかりやすかった。当別⇒花川まで2日もかかって水が来るとは思っていませんでした。初めての場所ばかりで良かったです。水再生プラザでの説明、ユーモアがあり楽しかった」
「当別浄水場(ダム)・・私たちはただ漠然と水を飲んでいるが、水道水が出来るまでの色々なご苦労が今日の見学で良く理解できた。沢山の機器、人の手を通っての飲料水、感謝です。創成川水再生処理を見て驚く。地下4,5階に相当するところに大工場があること、何にでも目を瞠ったこと、本当に勉強になりました」
「今回の講座は、私たちの生活用水と題して全2回に分けて講演と施設の見学、浄水場、下水道科学館、創成川水再生プラザと大変内容の多い素晴らしい講座でした。大満足です」
「日常、何気なく使用している水の源を見学し、すごくありがたいと思いました。普通見られない施設を見ることが出来て、また、水を大切に思いました」
「大変勉強になりました。このような機会でなければ知り得なかったと感謝しています。大切な水、下水、生命の水がこのようにつくられ、処理されていると、一日かけてじっくり学ぶことが出来ました。めったにないこと、じっくり見て聞いて教えて頂きました。上下水道の専門的な学習は、小学生~大人まで必要と思いました。浄水場は食品工場だと云う言葉は、まさにその通りと実感しました」
「上下水道の施設を沢山見学する事が出来て、大変楽しく好奇心を満たす事が出来、嬉しかった」
「上水、下水とも良く理解出来ました。生活に大事な水、家庭でも使い方、処理の方法に注意しなければと改めて思いました」