1月30日(火)、主催講座15「日本への異文化の伝来を学ぶ」の第2回「茶の伝来」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、歴史探訪倶楽部・シルクロードの会主宰の粥見 隆雄さん、受講者は48名でした。
講座の始まる前には、東大寺のビデオが流されて、早めに訪れた受講者の興味を惹きました。
粥見さんは、最初に前回の質問に答えることから始められました。
質問1.仏教の各宗派の違いは?
終戦の4年前、仏教の宗派は一つにまとめられ、昭和21年に再び各宗派に分かれた。各宗派の違いは、長い歴史もあり情報も公開されていないので、詳しく説明するのは難しい。
質問2.日本では家庭に神棚と仏壇が混在するが、外国にもこのような例はあるか?
外国では、形式的には二つの宗教の混在はないようだが、家族それぞれの心の中ではあり得る。
以下は本日のお話の概要です。
◇茶
緑茶も紅茶も烏龍茶も、すべて同じ「チャ」と云う植物からつくられる。「チャ」はツバキ科ツバキ属の常緑樹で中国種とアッサム種に分かれる。
中国種は、葉が小さく、比較的寒さに強く、緑茶向き。アッサム種は、葉が大きく寒さに弱く、主に紅茶に使われる。
◇茶の世界的伝播
・アメリカ独立戦争とアヘン戦争は、もともと紅茶が原因で起きた。
・18世紀~19世紀にかけて、急増する紅茶需要に対して、ティークリッパーと呼ばれる大型帆船が中国からイギリスまで競って茶を運び、短時間で運ぶほど茶には高値がついた。ティークリッパーの競争は、スエズ運河が開通し、蒸気船が主体の新しい航路に切り替わって終末を迎えたが、一部はウールを運ぶウールクリッパーとなった。
有名なクリッパーとして、「カティーサーク号」があるが、進水する直前にスエズ運河が開通したため、ほとんど活躍することはなかった。
・紅茶業者のリプトンは、「紅茶園から直接ティーポットへ」と云う名コピーで世界の紅茶王となった。
◇茶の分類
烏龍茶は、発酵茶のうちの酵素発酵に分類され半発酵のもの。高価な武夷岩茶もこれにあたる。
紅茶は、発酵茶のうちの酵素発酵で強発酵のもの。
日本茶は、不発酵茶のうちの蒸煮茶で蒸製のもの。
◇茶の原産地
中国雲南省辺りと云われる。
◇茶の機能性(三次機能)成分の特性一覧
◇茶の歴史年表
◇中国茶の紹介資料
紅茶、花茶、青茶、黒茶、白茶、黄茶、緑茶(日本茶のルーツ)
◇日本茶
日本茶の代表・緑茶は、生葉をすぐに加熱して発酵を止める製法が特徴。
◇日本茶の産地
◇茶の主要生産国と主要輸出国
茶の生産が多いのは、中国、インド、ケニア、スリランカ。
茶の輸出が多いのは、ケニア、スリランカ、中国、インド。
以上が本日のお話の概要ですが、緑茶も烏龍茶も紅茶も同じ「チャ」の木から生産されることや茶の種類、生産から消費のこと、かって中国からイギリスへ茶を運ぶ競争が加熱したことなど茶の事がすべてわかるお話でした。お話しぶりもユーモアを交えた気さくなものだったので、会場には絶えず笑い声が満ちていました。
最後に受講者のコメントをいくつかご紹介します。
「世界の歴史がお茶で左右されていたこともあった、と云う、とても興味深く聞かせて頂きました」
「お茶の飲みたくなる講義でした。先生のお勧め、九州のくまもと茶、埼玉の狭山茶を記憶しておきたいと思います」
「世界中のお茶のお話がとても興味深く、これから飲むお茶を味わって飲める事がとても楽しみになりました」
「演題と実際のお話の内容が合っていないのでは?(お茶の四方山話?)。色々な資料は面白かった。各資料の出典をまとめてあれば、もっと良かったです」
「博識でユーモアと知性あふれる講師粥見さん、魅力あるお話、いつまでも聞いていたいほどでした。世界各地を廻られ、勉強し、調べてこられた、流れるように語られる粥見さんのお話、次回も楽しみにしています。(歴史探訪倶楽部、興味がわきます!)資料(写真、本等)がすばらしいですね」
「あまり取り上げられることのないテーマで、その由来が勉強できて良かった」
「毎日飲んでいる煎茶、番茶、紅茶、すべてお茶から加工されたものであること、歴史など色々学ぶことが出来ました」