10月3日(木)、主催講座9「地震予測研究と石狩市の防災の現状」の第3回「石狩市の防災の現状について」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、石狩市総務部総務課危機管理担当主査 伊藤道人さん、受講者は44人でした。
伊藤さんは、前2回にわたる高橋教授のお話から得たものを今後の防災計画に活かし、市民に働きかけたいとしたうえで本題に入りました。 以下、その概要を紹介します。
〇本日の内容
1.災害の種類と想定
2.石狩市地区防災ガイド
3.最近の防災への取組み
1.災害の種類と想定
石狩市ではどのような災害の危険があるのか
○地震について
・平成30年に北海道が公表した、地震被害の対象となる活断層等のモデル
・赤丸のところ(西札幌背斜に関する断層)は、札幌市西区付近から石狩湾新港付近に伸びている断層で、旧石狩地域に最も影響のある断層
○地域による地震被害想定について
・旧石狩 西札幌背斜に関連する断層 震度6.6(震度7)
・厚田区 当別断層 震度6.4(震度6強)
・浜益区 増毛山地東縁断層帯 震度6.4(震度6強)
○西札幌背斜に関する断層の地震が発生した場合
・旧石狩で最も影響が大きい地震の想定
最大震度:旧石狩市域6.6 / 厚田区5.7 / 浜益区4.8
・最も被害が大きくなる季節・時間帯は 冬の夕方
死者16人 重傷者41人 軽傷者404人 全壊946棟
避難者14,611人(在宅避難者含)⇒人口のおよそ25%
○北海道胆振東部地震(2019・9・6)時の石狩市の状況
・生振地区の畑の一部や八幡地区の畑(ビニールハウス内で)液状化
・茨戸川放水路法面のくずれ
・市公民館の階段内壁にひび割れ
・市庁舎の停電による非常灯のみの状況:自家発電で対応
市役所の停電回復:夜9:23頃
・携帯電話の充電サービス:市内他10か所で実施
・花川南コミュニティセンター(自主避難所):発電機3台持ち込む
○津波について
平成29年9月、北海道が公表した津波浸水想定地域図
・石狩市への影響が大きいと考えられる津波は、赤丸で囲んだ留萌沖の断層
・数百年から千年に一度の津波が起った場合の想定個所
・日本海側の断層の中で石狩に一番影響が大きいと考えられる留萌沖の断層
○津波のシミュレーションから
・M7と想定、石狩市で第1波到達時間は浜益区幌で、約24分
・石狩湾新港地区は、約46分
・石狩川河口の遡上高は、6.71m、石狩湾新港の遡上高は5.91m
・花川地区の浸水想定
・花川地区に最も近い新港地区の浸水想定
・新港への津波最大遡上高は5.91m、色がついている部分は新港の埠頭や沿岸だけで、新港の中及び市街地には浸水想定はついていない
・陸地部分の標高が6mあるので、最大規模の津波が来ても浸水は起きない想定
・ただし、日本海側で津波発生の場合第1波到達時間が短いことも考えられるので、大きな地震を感知したらテレビ・ラジオ等で正しい情報収集によって行動することが大切
○水害・洪水について
・石狩川洪水浸水想定図(平成29年3月、国公表)
・色の濃さで浸水の深さを表す
・一番濃いピンクの所:3m~5m
・薄い所:50cm~3m
・薄いピンクの所:50cm未満
・建物の2階以上は3m以上あると考えているので、浸水は避けられる
○新川洪水浸水想定区域図(平成30年3月、北海道公表)
・新川では、10か所堤防が破堤し、水が越えてくることを想定
・花川地区・樽川地区・緑苑台地区の大部分に水が付くと想定
・「地区防災ガイド」にもこのことが反映されている
○どんな雨を想定しているのか?
・想定最大規模の大雨は発生確率1/1000
⇒「長い期間を平均した場合に1000年に1回起こりうる大雨」
石狩川 3日間 計358ミリ 新川 1日間 計473ミリ
○昭和56年水害の様子
・上は本町地区
・下は花川南地区の畑と市街地
・3日間で301mm 台風による豪雨
○土砂災害について
・両地区ともに警戒区域が点在している
・厚田区支所、浜益区支所ともに警戒区域には入っていない
・石狩市の土砂災害指定個所の状況
・今年の6月7日までの指定個所の状況
・地すべり箇所及び警戒区域も若干増えている
・土砂警戒区域のハザードマップ
・平成29年の浜益大雨の時に国道沿いで土砂崩れが発生している
2.地区防災石狩市ガイド
○作成の意図
災害から命を守る行動をするための参考とすべく作成している
・平成30年5月に5年ぶりに改訂し、7月全戸配布
・作成にあたり意識した点
情報アクセシビリティへの配慮
手話表現・バーコード(動画視聴可能) 点字・音訳CD
○内容1
1P~12P 各地区の鳥観図
危険な場所と避難場先等を一目でわかるように掲載
・ポケット織り込み⇒ 地区別防災マップと防災心得・使い方
それぞれの住まいの地区毎に入れ込んで配布
地震・津波、土砂崩れからの避難ルートを色と矢印で表示
避難所、緊急避難場所等の表示
○内容2
13P~21P 災害から身を守るための知識行動について
・正しい情報を得よう
災害時の情報の取得について⇒市から6つの方法でお知らせ
市からの避難情報について 避難勧告と避難指示(緊急)
・避難の仕方を知ろう
災害の種類による避難方法
・日頃から備えておこう
日常備蓄(ローリングストック)
・地震を学ぼう
・津波を学ぼう
・風水害を学ぼう
・土砂災害を学ぼう
・みんなで支えよう
要支援者に対する配慮について⇒地域での助け合い
3.最近の防災への取組み
○指定避難所運営マニュアルの改訂と初動運営訓練の実施
・今年4月に避難所運営マニュアルを改訂し町内会長に配布
・避難所での初動の動きを確認するための訓練を実施
・市内6か所の小中学校で7月から順次訓練を開始
・参加対象は避難所運営の中心的な役割を担う町内会役員
⇒今年は19の町内会・自治会で参加を予定
・来年度以降は住民参加の体制で出来ればと考えている
○避難行動要支援者の支援についての検討
(町内会と市の協働事業)
・要支援者名簿の活用について、平時からのアプローチが難しい
・町内会の街歩き等を通じて平常時からの関りを検討したい
・それぞれの方への支援の「個別計画」の策定について検討する
・モデルケースになることを目標とし、2か年での事業を予定
・対象者は、要支援者名簿に記載されている方、町内会で把握している75歳以上のうち取組に同意を得た方 ⇒今後につなげたい
○停電対策事業について
・災害発生時の現地対策本部を厚田・浜益支所に置く
厚田支所には自家発電設備がなかったので、今年工事発注をして年度内には整う
・指定避難所となる学校・コミュニティセンター等12か所を対象に、停電時に断水にならずに建物の一部は水が使えるようにする水道のバイパス管工事を行っている(年度内に対策できる)
○水害、土砂災害における避難情報の警報レベル表示について
・防災情報の伝え方について下記のように変わります
・テレビなどでも「レベル」をつけた情報が出ていきている
ので、意識して情報を取得していただきたい
おわりに、伊藤さんは次のようにまとめられました
・「災害は忘れた頃にやってくる」 今は「必ずやってくる」に
・「石狩市地区防災ガイド」 入用者は市役所3階危機管理担当へ
・日常の防災対策意識、啓発が重要
・気象情報取得等は一般の人も多くの情報を得ることが可能
・日常の備蓄ローリングストックなど可能な範囲で備えを
⇒最低3日分、出来れば1週間分の備蓄をご自分で
・市として備えの重要性を今後も講習会等で伝えたい
ご清聴ありがとうございました。
最後に、受講者の感想ご意見を幾つか紹介します。
「市の危機管理担当者からこのような話を聞く機会を持っていなかったので(避難訓練は数回受けていますが)有意義でした。防災ガイド配布されましたが、切実感が持てなかった。地域によって防災意識の違いが大きいためと思います。前回2回の講座を受けて更に意識を高めていく必要があると思いました」「地区防災ガイドは各家庭で見ているのは少ないと思います。町内会レベルでこのような説明会を多く行う必要があると感じます。大変良い講座でした」「本日の説明、項目毎に、万一に備えた場合の具体策が作られ、心強いと受け止めました。この種の会議に参加していない人達の周知どうするのか知りたいです。私の地区ではマップが配られたのみ。昨年の地震の教訓など全くない実態です」「地区防災ガイドをもう一度家族と見て話し合おうと思いました。備蓄も忘れている事があるので、もう一度考えようと思いました」「災害時に自分の身から守ることを第一に考える。叉、余裕が出来たときに近くの人と助け合う事が大事なことと思いました。防災ガイドの使い方が分かりましたので新しい取り組みにちょうせんして見ます」「他市からの参加ですが、防災ガイドは分かりやすく使いやすい」「防災に対する意識を更に強める事が出来、今後に役立てていく事とする。ありがとうございました」「日程が合わず、町内会の避難訓練に参加していません。以前と避難場所が変わり、防災ガイドを見てもはっきりしませんでしたが、質問させていただき解決しました。ありがとうございました」