10月29日(水)まちの先生企画講座3「おいしい珈琲教室」の第1回「基本知識①~基本産地2品種飲み比べ」を花川北コミュニティセンターで行いました。先生は徳光康宏(徳光珈琲)さん。受講者は24名でした。
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徳光さんは、「日常色々なコーヒーを飲んでいると思いますが、コーヒーはどのように作られ、お手元に届いているか知らないまま飲まれていることが多いと思います。コーヒーってどういうものなのかを3回に分けてお話をしながら、皆さんに抽出をしていただきます。どうやればいいのか、どうやってはいけないのかを知るだけでも変わってくるかと思います。今日は2種類を淹れていただこうと思います」と話され、本題に入りました。以下、概略を紹介します。
コーヒーは樹になる実で、通常赤く完熟している。焙煎されて初めて香りだったりコーヒー色(茶色)だったりになる。
◇コーヒーはどこで栽培されているのか?
〇コーヒーベルトとは?
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コーヒーは世界中でつくられている。
多くつくられている地域は赤道を挟んで南北緯度25度の間を言う。
〇徳光さんが行ってきたところ
・南米→ブラジル・コロンビア・ペルー
・中米→パナマ・コスタリカ・エルサルバドル・グァテマラ
・アフリカ→ケニア・エチオピア・タンザニア・マラウイ・ルワンダ
個性的なコーヒーが多い
・アジア→インドネシアのスマトラ(マンデリン)・東ティモール
・日本では、沖縄・小笠原諸島、九州の離島でも作られつつある
〇世界の産地14か国を巡ると見えてくる世界
・コーヒーにも旬がある
国により、場所により、人により、様々な個性のあるコーヒーたちが作られている→個性的な味わいのあるコーヒー
・学生時代(20数年前) プレミアムコーヒー・グルメコーヒー
・15年前 スペシャルティーコーヒー 〈変化〉
〇高品質品種のアラビカ種は標高1000~2000mで栽培
・標高によっても違う
[今日は、1100mでとれたものと、1900mでとれたものを飲み比べてみます]
・産地でも標高によって収穫方法が異なる
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・コロンビア 山の斜面 腰にかごをつけて手で収穫する
・ブラジル プランテーション 機械で揺さぶって収穫する
基本的には完熟したものがよいコーヒー
〇コーヒーの原材料は果肉の中の種!!
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・果肉の現物を見る
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・果肉の皮をむいてみる
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皮をむいてみると、白い種の周りにぬめりがついている。地中に埋めると発芽する。乾燥すると発芽しない。
これが焙煎されて初めて珈琲色になり香りもする。
〇収穫後の処理の方法が多様化
どのように多様化しているかは次回にお話しする
◇コーヒーを抽出してみましょう
今日は、ブラジルとグァテマラの2種類を淹れます
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・使う道具と抽出について図で説明
テーブル上に、ドリッパー・ポット・サーバー・コーヒーカップ
・今日使うドリッパー(プラスチック製)は→円錐形タイプ(コーノ)
カリタ→溝が上まである 穴が3つ
コーノ→穴が1つ、溝が途中までで紙が密着する
・抽出の仕方
中心の層が厚いところから入れて、百円玉の大きさの円柱のところ
×高いところから入れると勢いがついて押しつぶされ層が薄くなり物足りない味になる。
近づけて、細目にやさしく、ゆっくり、また真ん中に戻す。繰り返す
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〇抽出の実習を行う(2人一組で交代しながら)
〇はじめに先生が抽出のお手本を示す
・一杯分18g。スプーンはメーカーによって異なるので測ってみる
・水の量は1杯150㎖だが、吸収されるので多めに用意する
・お湯の温度は、95℃~90℃が適温。沸騰したお湯をサーバーに入れ替えると丁度よくなる。熱すぎると雑味が出る
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ドリッパーとポットにお湯をかけて温める
専用ペーパーのミシン目を折る、広げてつぶす、ミシン目はハンドルの逆の方に入れる。
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フィルターに入れた挽き豆を左右に振ってフラットにする。
・淹れる
中心の層の厚いところから1投目を少しずつ注いで浸透させ、フックラしたら止める(1投目が重要)。
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水を含んでふくらみが出る。
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真ん中から円を描きながら百円玉ほどの大きさまでゆっくり
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泡がふくらんだら止める
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2投目、泡がフラットになったら落ち切らないうちに、出ていく分だけ淹れる
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定量になったら出ている状態で止めて、フィルターを外す
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抽出し終わった状態を後で見てみると、うまくできたかどうかわかる。
・先生の淹れたコーヒーを試飲
先生は「ブラジルは、非常に酸味が穏やかで甘みが感じられるはず」とおっしゃる。受講生は「よい香り!」と感嘆しながら味わっていた。
〇いよいよ抽出に挑戦
・ポットとフィルターにお湯を注ぎ、カップに移してあたためる。
・ペーパーを折ってフィルターにセット
・豆は挽いたばかりのブラジル。香りをかいで、次のコロンビアとの違いを確認する
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中心に落とすことや円形に均一に入れることが難しいよう
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・味わってみよう
淹れ方による味の違いや出来栄えはどうか。とにかく自分たちで淹れたコーヒーを互いに評価しながら味わいました。
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〇今度は、グァテマラを淹れる
・もう一度先生がお手本を示す
受講生はしっかり復習して、先生の淹れたコーヒーを試飲。先ほどのブラジルとの違いが分ったでしょうか?
・2回目の抽出に挑戦
今度は手つきもよく、スムースに抽出ができたよう。
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抽出の仕方が上手なのはどれでしょう?
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産地の違う2種類のコーヒーの抽出と試飲がおわりました。
先生は、「いかがでしたか、2種類を飲み比べて、何となく違いが分かったかと思いますが、どちらが好きですか」「ブラジルは酸味と甘みがあり、グァテマラはフローラルなきれいな酸味があるのが特徴です」「コーヒーは酸味と鮮度が大事です。1週間か2週間分ずつ購入するのがよいですよ」とアドバイス。
〇次回の予告
精製方法とり(処理の仕方)について説明して、同じ生産国で同じ所で採れたもので、処理の仕方が違う2種類を飲み比べていただきます。
〇おわりに
・1杯とりの場合は量が少なく厚みが少ないので一番難しい
・2杯分の場合は、プラス10gでよい(25g~28g)
〇質問への回答
・飲み方→好みに応じていろんな飲み方を楽しむことができる
・保存方法→温度・湿度・酸素・光を遮断したい。挽いたものは、劣化が早いので冷凍保存。豆は、2週間ぐらいであれば冷暗所(風通しの良いところ)で、1か月以上の場合は冷凍保存で。
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以上で第1回目の講座は終了しました。受講者は非常に楽しそうに、また真剣に取組んでいました。
最後に、受講者からの感想の一部を紹介します。
「美味しいコーヒーを楽しめると思い参加しました。奥深いコーヒーの淹れ方等とっても勉強になりました。ブラジルとグァテマラの味の違いが判って感動です」「とても難しいと思いました。同じ条件でも淹れる人によりまた変わりますね。少しずつ上手になれたらと思います」「ペーパーの折り方等の細かい箇所から丁寧に教えて頂けてとても参考になりました。日常の中で実践できる、とても学びやすい内容でした」「本格的なコーヒーの淹れ方を教えてもらい有意義でした」「長いこと落としてきましたが、知らないことばかりでした」
「楽しく学べました。飲み比べはよかった」「一人分のコーヒーの淹れ方は難しい」