11月12日(水)、まちの先生企画講座3「おいしい珈琲教室」の第2回「基本知識②~同じ産地品飲み比べ」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は徳光康宏(徳光珈琲)さん。受講者は21名でした。
先生はまず「前回飲み比べたものを覚えていますか」と、お話を始めました。
今回は、最初に収穫後の精製方法の違いを学び、次に同じ産地品でも処理の仕方の違う2種類を飲み比べ、味わいの違いを確かめます。
以下にその概要を紹介します。
◇精製方法について
〇収穫後の処理の方法の多様化が様々な風味を実現
・3つの方法について現地で取材したときの写真や動画で紹介しながら説明
1.ナチュラル~果肉をつけたまま乾燥
基本的には赤く完熟しているものが良質の甘みや酸味や風味を生んでくれるので、未熟豆や異物を取り除く。
〇収穫しているステーションによっても違う
・いろいろなもの(緑色・黄色・白いもの)が混ざっている所
・完熟で真っ赤なものばかりのステーションもある
・ナチュラルは一番シンプルで、収穫したまま乾燥させる。異物混入、熟度の違い、乾燥ムラ、かびることもある→少し重い、土っぽい味わい。
2.ウォッシュト~果肉を取って発酵槽で滑りを取って乾燥
・エチオピアでは、機械を使って水で流しながら果肉を取っていく。発酵槽に入れて滑りを取っていく
・東ティモールでは、手作業でまわしながら水で流し取っていく
国によって、場所によって方法が異なる。水を多く使うので、干ばつによる水不足が深刻。
3.セミウォッシュト~機械で滑りの取り具合を調整
・アクアパルパー
強制的に圧力をかけて滑りを取っていく→コスタリカ・中米が対応
・圧力を調整して、滑りを少し残す
滑りは、果汁を伴う糖質を含んでいるので、果実味があるフルーティーなコーヒーになる→滑りの残し具合も多様化して差別化を図る
・天日乾燥
色の違いは、滑りの残し具合で白っぽかったり、濃かったりする。
〇果汁を伴う滑り成分を上手く利用
~個性的なフルーティーな味わいに意図的に仕上げる
最初にコスタリカに行った2006年には、このような情報がなかった。現在は、滑りの残し具合を何段階にも分けて差別化を図っている。
・乾燥場
よく見ると色が違う。滑りが残っているほど黒っぽい。味わいを変える。
〇ハニープロセス
・ナチュラル
・フルウォッシュト
↓ 滑りの残し具合で名称を変えている(下に行くほど残量多)
・ホワイトハニー
・イエローハニー
・レッドハニー
・ブラックハニー
*適切に行わないと発酵しきった香味になる
◇今回抽出する珈琲はエチオピアです‼
~イルガチェフェ村のコーヒーが精製方法でどう違うのか!?
〇いよいよ抽出を行います
「その後皆さん家で淹れてみましたか、変わりましたか」「変わったなと思っていただくだけでも、第1歩になります」
・微妙なコントロール
お湯をどんな勢いで、どんな太さで淹れるかを、復習を兼ねて淹れる。
〇1回目フルウォシュト、果肉と滑りを取って乾燥させてもの
・今日入れる2種類の豆の違いを確かめる
写真左がウォッシュトで、真ん中に白っぽいところがみえる。右がナチュラル。精製方法によって色合いも見栄えも違う。
・先生がお手本を示す
前回と同じ手順に従って説明しながら淹れる。
・注意点
フィルターに入れた粉を振って均一にする
お湯の太さとポットの先の高さ
白い泡のふくらみ
回転のスピード、 慣れないと早く回したがる
最後は、定量になったらお湯が出ている状態で外す
・先生の淹れたものを試飲
先生は「果実味、味わいがきれい、甘みを感じる・・・」と、納得?
〇自分たちで抽出する
・ドリッパーにフィルターをセットして粉を入れる
・粉の香りを嗅いでみよう
・淹れる
・自分たちで淹れたものを試飲
互いに飲み比べ、淹れ方によって味わいが違うことを理解した様子
・淹れ方がどうだったかを先生が評価
〇今度はナチュラル、滑りを残したものを淹れる
・先生が再度手本を示し復習をする
・自分たちで抽出
・飲み比べ
果実味をおびたきれいな味わい、甘い、酸味があるなど様々な感想を語りながらにぎやかに。
・先生による評価
〇まとめ
今日は、同じ国(エチオピア)の同じ農場で採れた同じ品種で、精製方法の違う2種類を味わった。
・ウォッシュトの方は、味わいがクリーンで少しコクがあって完熟した果実の甘みが感じられる
・ナチュラルの方は、もう少しベリー系(ブルーベリー・イチゴジャム)で、少し甘みをおびた酸味が感じられる
同じナチュラルでもステーションによって異なる→できるだけ品質の良いものを仕入れて提供できるように努力している。
〇次回の予告
3種類の焙煎の違うものをどのように淹れ分けるかを学びます。
以上で2回目の講座は終了しました。徳光さんの丁寧な指導のもと受講生も楽しい雰囲気の中で珈琲の淹れ方、味わい方をしっかり学び上達したように感じられる講座でした。
最後に、受講者からの感想を一部紹介します。
「コーヒーを淹れる行為そのものが心を落ち着かせてくれます。だけれど味は今一つ。講座を受けて、お湯の注ぎ方が早すぎるのだなと気がつきました。頭で考えているだけではダメです。家に帰ってもう一度淹れてみます。まだまだ違いの分からない主婦です」「同じ量のコーヒー豆でお湯の量、スピードで味が変わっているのがよくわかる。また豆の煎り具合で液体の色も変わって本当に楽しいものでした。差し入れのお菓子で口直しするとコーヒーもより味の違いが分かりやすいと思いました」「抽出の違いをしっかり感じられる講座で、学びが多かったです。自分の意外な好みに気がつきました」「現在の職場で、一度徳光さんに来ていただいたそうです。ウチではカフェパウリスタの森のコーヒーを取っていますが、今度ゆっくりお店に伺い、ゆっくり美味しいコーヒーを楽しみたいと思います。最近は農薬や遺伝子組換え作物がアレルギーや発達障害などを引き起こしている研究が増えていますが、無農薬に力を入れてほしいと思います」「水量の調整が難しい、ポットを買おうかな、徳光さん割安で!フルウォッシュの方が好きかな?」「コロンビアのナチュラルはあきない風味で美味しかった。注ぎ方練習が必要かと」「コーヒーの淹れ方訓練して上手に淹れる様にしたい。奥が深いので楽しくなりました」「今回も楽しかったです。飲み比べて違いがハッキリわかり驚きました」