令和3年1月15日(金)、まちの先生企画講座4「プロが教える人生の棚卸~『知って始める』終活連続講座~」の第1回「『知って備える』相続リスクと対処方法」を石狩市花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、若葉小学校、花川北中、石狩南高に通学され、長じては石材店経営の傍ら行政書士であり、相続診断士、家族信託専門士、身元保証相談士、終活カウンセラーなど様々な資格を持ち、さらに昨年宅建士にも合格されたと云う松尾拓也さん、受講者は24名でした。
自己紹介の後早速お話に入りましたが、本日学ぶのは、
1)相続の基本知識
2)相続の潜在的なリスク
3)リスクへの対処法
4)まとめ
の3つのテーマで、以下はその概要です。
1)相続の基本知識
①法定相続人(民法で定められた相続人のこと)
※相続財産を遺して亡くなった方を被相続人と云う
・配偶者は、常に相続人で相続の権利は1/2
・第1順位―直系卑属(子や孫)
・第2順位―直系尊属(両親、祖父母)
・第3順位―兄弟姉妹
被相続人と相続人の関係について、サザエさんの磯野家家系図を使って様々な例を具体的に学びました。一例として、相続人が配偶者と子ども(3人)の場合は、配偶者1/2、子供3人が1/6ずつ。また、相続人が直系卑属(子ども3人)だけの場合は、それぞれ1/3ずつ。
②相続の流れ
遺言書がある場合⇒基本的には、遺言書の通りに遺産を相続
遺言書が無い場合⇒相続人の調査と遺産分割協議が必要
③相続税の基礎控除
3,000万円+600万円×法定相続人の人数
その他、生命保険や退職金にも非課税限度額がある。さらに祭祀財産(お墓、仏壇、祭具など)などの控除制度もある。
④相続財産の評価
預貯金はそのままだが、有価証券、不動産、非上場株式など評価が複雑な財産もある。
2)相続の潜在的なリスク
・「争族」と云われるように揉める場合もある
・遺留分⇒一部の相続人が最低限の遺産を受け取れる権利
・相続関連の裁判所相談件数は、平成22年で14.8%(10年で2倍に)
・リスクを抱える相続
離婚や再婚、子どもがいない、相続人が兄弟のみ、不動産と金融資産のバランスが悪い、事業の継承が不安、相続人同士仲が悪い、財産を多く残したい子どもがいる、生前贈与した子どもがいる、相続税が心配、相続人がいない、障害のある子どもがいる、ペットがいる等々の場合、相続のリスクが高く、対策が必要か。
3)リスクへの対策
①遺言書の作成
遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言がある。
自筆証書遺言は、書き間違え、内容が曖昧などで無効になりやすく、検認手続きが要り、保管場所に注意が要る。公正証書遺言は、「公証人役場」で作成、費用はかかるが、公証人が規定通りに作成してくれ、確実に執行出来る、秘密証書遺言は、作成は「公証人役場」で、誰にも知られない利点はあるものの、内容チェックが出来ず、持ち帰りの為保管にも問題がある。
②遺言でカバー出来ないリスク
・「長生き」リスク
お金、体、頭(判断能力、認知機能低下)
※これらについては、第3回でお話する。
4)まとめ
・基本的な相続の仕組みを押さえること
・遺言のあるなしで相続の流れが変わる
・「争続」対策は、遺言の作成
・スムーズな手続きのためにも遺言は有効
・但し、遺言は中身が重要
お話は以上でしたが、簡潔、明快なお話で大変分かりやすいものでした。
最後に、受講者から寄せられたコメントをご紹介します。
「大体の事は理解している積りであったが、一度は確認しておきたいと思った」
「明快に説明され、良かったです。必ず、何らかの形で手続きする必要が出てくる問題なので、このような機会があって良かったと思っています。ありがとうございました」
「説明が分かりやすかったです」
「知っている事とはいえ、再認識が出来て良かった」