1月22日(金)、まちの先生企画講座4「プロが教える人生の棚卸~『知って始める』終活連続講座~」の第2回「『知って考える』お墓の種類と選び方」を石狩市花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、石材店を経営する傍ら行政書士、ファイナンシャルプランナー、家族信託専門士でもある松尾拓也さん、受講者は22名でした。
本題の前にどうしてお墓についてのセミナーが必要なのか説明がありました。
◇どうして今、お墓セミナーが必要なのか
それは、「お墓」も「家族」も「考え」も多様化して選択肢が増えているのに、恐らく一生に一度しか選ばない「お墓」については、知識がないから。
◇本日の話で分かることは
1)「お墓」ってなんだろう(お墓はなんのために建てるのか)
2)いろいろな「お墓」
3)「お墓」の選び方
4)「お墓じまい」の基礎知識
1)「お墓」ってなんだろう
①人は、なぜお墓を作るのか
・死者を葬るため(死者を埋葬するため)・・これは死者のため
・死者を弔うため(死者を供養するため)・・これは生者のため
つまり、お墓とは、死者と生者の「交流」の場所である。
②「お墓」と人の歴史
・ネアンデルタール人も死者を悼み、花を遺体に手向けて埋葬していたとされるが、「死者を悼み、弔う」のは、人の本質的行動の一つ
・埋葬の方法は、国や文化により異なる(例えばチベットの鳥葬)
・日本では、「お墓」が普及
③「お墓」と日本人の歴史
・古代⇒古墳
・中世⇒やぐら(横穴式墳墓)
・近世⇒寺請制度が確立⇒誰もが檀家寺を持たなければならなくなった
・近代⇒旧民法で家制度が確立⇒家単位の「お墓」が普及した
そして、現代へ。
2)いろいろな「お墓」(供養方法)
※墓地、埋葬等に関する法律
埋葬または焼骨の埋葬は、墓地以外の区域で行ってはならない。
①一般の「お墓」
「お墓」(墳墓)は、死体または焼骨を埋葬する施設。
「墓地」の種類
・公営墓地・・自治体が管理運営。
・寺院墓地・・宗教法人が運営。
・民間墓地・・宗教法人や公益法人の運営。
使用料、申し込みの条件、石材店の選択巾などにそれぞれ違いがある。
②納骨堂
「墳墓」とは違い、施設に収蔵する。
③樹木葬
樹木や花のもとに埋葬。
④散骨
「墓地、埋葬等に関する法律」には規定がないが、法務省によると「葬送のための祭祀のひとつとして節度を持って行われる限り、違法ではない」としている。
⑤永代供養墓
一般的な「お墓」で起きる「承継者問題」が不問となる。合葬墓型と個別墓型がある。
⑥手元供養
手元(自宅等)で供養(お骨をお祀り)するもの。法的には、いつまでに納骨しなければならないと云う決まりはない。
⑦いろいろな「お墓」(供養方法)のまとめと注意点
・墓地や納骨堂は、買うものではなく、使用権を借りるもの
・「継承」は可だが、「転売」や「譲渡」は出来ない
・「入る人」と「お参りする人」の双方を意識すること
・墓地の場合、建てるお墓のイメージも含めて検討すること
・管理体制の確認
・トータルコストを意識すること
・現地に足を運ぶこと
3)「お墓」の選び方
価格、石の種類、デザイン、文字など様々
※最近のお墓事情
・一族のお墓から家族のお墓へ
・家族のお墓からさまざまなタイプのお墓へ
・家族のあり方に合わせて、それぞれが決める時代となる
4)「お墓じまい」の基礎知識
・費用、手続きがダブルでかかる
・お骨の引っ越し先を決める必要がある
・親族間のトラブルになる場合がある
・「承継者」が見つかる場合がある
・これまでの墓石を移転(移築)できる場合があり、再加工して使うこともできる
・通常の建墓より、腰を据えて取り組む必要がある
以上が本日のお話の概要ですが、松尾さんは最後に「あなたとあなたのご家族に合ったお墓を選ぶには、ご家族での話し合いがなにより大切ではないかと思います」と結ばれました。
「お墓」について大変参考になるお話で、お話の後、多くの実務的な質問がありました。