7月27日(火)、まちの先生企画講座2「ダッチオーブンで作る野外料理」の第2回「焼く(焼いも)」をアウトドアカフェ「野菜香房」で開催しました。講師は、野菜香房の新津賢二さん、受講者は16名でした。
「みなさん、おはようございます!先週は、ダッチオーブンとは一体どんなものか、ダッチオーブンはどんな機能を持っているのか等お話して、燻製玉子を作りましたが、今日は焼くと云う機能を使って焼いもを作ります」と新津さん。
「焼いもを作るには約1時間ほどかかりますので、その間、さつまいもや焼いもの事などを色々お話し、質問を受ける形で進めていこうと思います」ここで、本日の資料が配られました。
「先ず簡単に焼いもの事を説明した後、実際に作りましょう」
「お配りした資料の1枚目は、ダッチオーブンについてのおさらいです。2枚目は、さつまいもの3つの種類とそれぞれの品種について、3枚目は焼いもがどうして甘いのか、最後の頁は、栄養士オススメの食べ方について書かれています」
「それでは、焼いも作りに取り掛かりましょう!今日は、ダッチオーブンを3台用意していますので、3組に分かれて作業してください」
「それでは、先ずさつまいもをきれいに洗ってダッチオーブンに入れましょう!」
「ダッチオーブンの中には、もう石を入れてありますので、石の上にさつまいもをすき間を開けて並べ、オーブンの中心をガスの中心に合わせて、火を点けて下さい。火はマックスにし、水蒸気が出てきたら弱火にします。風などで火が消えることがありますので、時々火が点いているか確認してください」
ここまで作業したら、あとは待つだけ。待っている間に、色々教えてもらいました。
「出来上がりを待つ間にお話していきたいと思いますが、前回経験された中でダッチオーブンについて聞いてみたいことはありませんか?」との新津さんの問いかけに、安全装置のついたガスレンジを使う場合はどうしたら良いか、殻つきのまま卵を燻製にする方法を教えて欲しい、等の質問がありました。
安全装置付きのレンジは変えようがないので別の卓上コンロなどを使うこと、卵にはご極小の穴が開いていて、塩水も煙も沁み込むので時間をかければ燻製に出来ない事もない。またソミュール液に漬け込んだものを燻すという手もあるとのことでした。
その後資料の説明を受けました。
◇さつまいも3種類とその品種
さつまいもには、しっとり系、ほくほく系、ねっとり系の3種類がある。
・しっとり系
程よい甘味でのどごし滑らか。紅まさり、シルクスィートなど。
・ほくほく系
昔ながらの焼いもの味。上品な甘さ、水分少なく、サラサラした紛質の舌触り。パープルスィート、紅こがね、紅こまちなど。
・ねっとり系
クリーミーな口当たりでスイーツ感覚、濃厚な甘味。安納芋、紅天使など。
◇さつまいもの効果
高血圧・むくみ防止、ガン予防、免疫力強化、美肌効果、ダイエット効果、血糖値上昇抑制など。
◇保存方法
・冷凍~保存期間1カ月
・冷蔵~2か月
・常温~1か月
さつまいもの保存は、基本的に常温がおすすめ。
焼いもは冷蔵で3~4日保つが、冷凍しておいて食べる前に常温に置くと1~2時間で戻り美味しく食べられる。
◇焼いもが甘い理由
①ベータ・アミラーゼ
加熱することにより、もともとさつまいもに含まれていたベータ・アミラーゼが活性化し、主成分のデンプンを糖化させる。
②加熱温度
ベータ・アミラーゼが活発に働くのは40~70℃なので、甘味を最大に引き出すには55℃程度の低温でじっくり焼き上げる必要がある。温度が高すぎると、ベータ・アミラーゼの活動が止まるので甘くならない。電子レンジで暖めたさつまいもが美味しくないのは、この理由による。
ちなみにお店で焼いもを作る時は、100℃で60分、200℃で30分、合計90分かけて焼いているとのこと。
ここで、「そろそろ火を弱くしても良さそうですね。中火くらいにして下さい」との新津さんの指示で、火を弱めました。
「ところで、ダッチオーブンは、ご飯を炊いても美味しいんですよ」
石についての説明もありました。
「どうして石を入れるのかと云うと遠赤外線を発生させるためです。今、オーブンに入れているのは那智石です。堅い石でないと、割れて爆発する恐れもあります。買ってき石にはワックスが付いていますので、きれいに洗い落として下さい」「石をさつまいもの上にも乗せる方法もあります」
③加熱時間
ベータ・アミラーゼによるデンプンの糖化は、10分ほどで進まなくなる。しかし、糖化は進まないが加熱することにより水分が飛び、同じ糖度でも水分が少なく(濃く)なって甘く感じる。
◇栄養士オススメの食べ方
焼いもは、冷やすと「便秘」解消や「ダイエット」効果がある!
低カロリー、低GI値(※GI値とは、食後血糖値の上昇度を示す指標)の食品であるさつまいもは、加熱して食物繊維を増やし、その後冷やしてレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)を発生させるとダイエットと便秘解消効果がある。ほくほくの焼いもは美味しいが、冷やして食べる方が美容に良い。
「ちなみに、今日使っている品種は、紅はるか、です」
「それでは大分時間も経ちましたので、覗いてみましょうか」
フタを開けて竹串を刺してみましたが・・
「あら、まだ堅い!」
もう少し、時間が必要なようです。
「ところで、前回の燻製玉子の味は如何でしたか?卵だけでなく、ウインナーなども燻製にするとお弁当も一味違うと思います」
次回作る「アイスバイン」についての説明もありました。
ここで、お店で作った冷やしいもを試食させてもらいました。う~ん、なかなかうまい~!これで美容にも良いとなれば、最高!
「それでは時間も迫ってきましたので、取り出してみましょう!」
そこで、取り出してみると・・
3つのオーブンのうち、出来上がった物もありもう少しの物もありました。
さてどうしよう・・
困りましたが、受講者のみなさんにお願いして、時間の無い方には出来上がったものを持って帰ってもらい、時間に余裕のある方は出来上がるまでもう少し待って頂くことにしました。
最後は少し予定が狂って肝を冷やしましたが、みなさん、楽しく過ごしたとのコメントを残して帰られたので一安心しました。
そのコメントをいくつかご紹介します。
「大きなやきいもができたので感動です。色々とお話も聞くことが出来てよかった。次回も楽しみです」
「おいも以外のいろいろな使い方を知り、楽しかったです。おいもの出来が遅かったのが残念!!ご馳走になったら、とてもおいしいおいもでした」
「解説が分かりやすく、焼きいもの奥深さに驚きました」
「だんだん西部劇のカーボーイに近づいた感じ。荒野で一人炊事している姿を夢みている」
「勉強になりました!ありがとうございました。ゆっくり、のんびり、ゆったりした時間でした。スタッフの方々ありがとうございました。お世話になりました」
「石焼いもの初体験、新知識を得て、実践意欲がわいてきました。手軽に出来る事が何よりです」