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まちの先生企画講座3「家庭菜園の土の健康診断をしてみよう」

第4回「家庭菜園の土を良い土にするための対策」

2021/11/03

 10月29日(金)、まちの先生企画講座3「家庭菜園の土の健康診断をしてみよう」の第4回「家庭菜園の土を良い土にするための対策」を石狩市公民館で行いました。講師は、酪農学園大学名誉教授の松中照夫さん、受講者は19名でした。

 最初にこれまで学んだことを復習しました。
◇良い土であるための4条件
1.土壌の物理的性質に関わる条件
その1)土の「厚み」と「やわらかさ」―これは土を掘って確かめる
①「厚み」の目安は、表層土(作土層)が20~30㎝
根が広がることの出来る厚み(有効土層)として50㎝以上。
②「やわらかさ」の目安は、スコップで楽に掘ることが出来るくらい
親指を土の断面に押し付けて、指の第一関節くらいまで入る~爪が入るくらいまでの硬さ。
その2)適度な水分の保持と排水
中粒質の土が理想。手触りと土壌断面観察。
①水分保持=指で「こより」をつくると、マッチ棒くらいの太さと長さになること
②排水=「鉄サビ色の斑紋」や「青灰色の土層(グライ層)」が土の断面に存在しないこと
2.土壌の化学的性質に関わる条件
その3)適度な酸度(pH)は、5.5~6.5の範囲
分析しなければ分からない(簡易診断でもOK)。
酸性改良は適量の炭酸カルシウム(炭カル)を与える(アレニウス氏表に基づいて与えるか、実際に炭カルを与えてpHを測定してみる)。
その4)適度な養分―土壌診断基準値
分析しなければならない(簡易診断でもOK)。
土壌診断に基づく施肥対応は、養分が不足の場合は増肥、養分が過剰の場合は減肥。

◇具体的な対策を立てる時のヒント
1)4つの条件に「優先順位」をつける(どの条件から改良していくか)
⇒どの条件が作物の生育を最も阻害しているのかを見つける=目標値と「結果」のズレが大きい要因ほど阻害程度が大きい
2)優先順位の高い要因から改良する=「土づくり」
3)その要因を改良するための具体的な対策を考える
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 次に、前回の宿題だった自分の菜園の土の状態とその対策をそれぞれ発表し、第2回に提出した土壌の画像と合わせて松中さんから今後の土の管理についてアドバイスを頂きました。
その例をいくつかをご紹介します。
Aさん(画像では下層に少し斑紋が見られるが、土に特に大きな問題はない)
pH 6.35(適正) EC 0.06(低い)
やった事の結果がそのまま出ていて、土は正直だと感じた。従来、作物の植穴のみ施肥。今後は、前面に施肥したい。腐葉土を入れたい。
「施肥する場合、作物の必要量を面積計算して成分量で適性量を施すこと。施肥は、一度にやらず、少しずつ作物の様子を見ながら施すと良い。腐葉土など有機物を入れることは良い」
Bさん(土の画像では斑紋がありやや排水に難がある)
pH 7.1(高い) EC 0.1(低い)
炭酸カルシウムは有機石灰を作物を植える所だけに施した。多すぎるとは思わなかったが、数値が高くなった。水をやると土の表面が硬くなって困った。高畝にしている。
「炭酸カルシウムは部分的に施されているので、今回のpH数値が高かったのは、炭酸カルシウムが濃い部分を測ったのかもしれない。もう一度計ってみた方が良い。なお、炭酸カルシウムは有機でなくても良い。上から散水するとどうしても膜が出来て土が硬くなりがちなので、加減が難しい。高畝にするのは、排水を良くするので良い」
Cさん(土の状態は良い)
pH 7.18 EC 0.20
炭酸カルシウムは前は毎年入れていたが、この2年くらいはやっていない。菜園の土は、50~60㎝くらい客土したもの。今回pHを測った土は、牛ふん堆肥を入れた後の土だった。腐葉土などを入れた方が良いか?
「計測した土はpHが高い部分だったかもしれないので、もう一度計ってみると良い。市販の腐葉土はpH値が高い物もあるので、菜園の土のpHを測りながら適量を計って少しずつ入れること」
Dさん(土の低層部が白く排水に難あり)
表層土は30㎝くらいだが、その下に白い層がある。
土は、こよりにしようとしてもマッチ棒状にならない。
南側 pH 6.18 EC 1.70  
作物の出来はまずまず。肥料を控えめにしたい。
コンポストを置いて、堆肥を作っている。
北側 pH 7.5 EC 0.13
作物の出来がよくない。硫酸系の肥料をやりたい。大豆はまあまあだが、ミョウガやルバーブは良くない。ピートモスをやろうかと思っている。コンポストで作った堆肥は主に北側にやりたい。
「白い層があっても、表層土が30㎝あるので、家庭菜園では大きな問題とはならない。ピートモスは、酸性調整済みの物と無調整の物があり、無調整の物はかなり酸性度が強いので、北側に施すと良い。調整済みの物はどこにやっても良い。3ℓ/1㎡くらい、毎年少しずつ施すと良い」
Eさん(土は問題なし)
pH 6.54 EC 0.1
肥料は鶏糞をやるほかはやっていない。どういう堆肥がよいか?
「肥料をもう少しやると良いと思う。堆肥は、完熟タイプの牛ふん堆肥を3ℓ(2∼3㎏)/1㎡くらいやると良い。バーク堆肥と云う物もあるが、肥料を補いたい時は不適」
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Fさん(今回参加者の中で唯一粘土地、排水に難あり)
pH 5.93 EC 0.03
まだ新地でこれから畑にする。どんな肥料をどのくらいやれば良いか?
「堆肥が重要。牛ふん堆肥を3ℓ(2~3㎏)/1㎡施し、スコップで15㎝くらいに混ぜる。春には、少なめに施肥し、作物の成長を観察して色が薄い場合は、化成肥料を窒素成分量で3~4g/1㎡施すと良い。種の大きな大豆やトウモロコシは作りやすいかもしれない」
Gさん(土に大きな問題はないが、隣との境界にコンクリートの土留めがある)
pH 6.92 EC 0.11
ルバーブを作っている(日当たりが悪い所)が適地か?ホウレンソウ、大豆をつくりたい。古い肥料(硫安など)が残っているが使えるか?
「ルバーブは強いので、大丈夫。大きくなり過ぎたら株分けする。トマトやキュウリは多肥を好み大豆は逆なので、良く計算して施肥すること。肥料に期限はないので、固まっていたらスコップなどでほぐして使うと良いが、施す時はよく成分計算をすること」
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 その他の方も大変熱心に発表され、松中さんはそれぞれの課題について丁寧に答えられました。

 最後にこれからさらに勉強したい人のために、松中さんの著書「土は土である」を紹介され、質問のある方は前に知らせたメールアドレスに問い合わせして下さいと言って、4回のお話を終えられました。
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 この4回の講座は、松中さんが一方的に話す形ではなく、それぞれ宿題をこなしながら自分で考え、疑問点をたずねる、と云う形で行われたので、受講者の皆さんはどなたもしっかり身に付いた学びが出来たのではないでしょうか。
松中さん、4回のお話、大変ありがとうございました。

 最後に受講者のコメントをいくつかご紹介します。
「本格的な詳しい講座で、大変勉強になりました。これからも今回の講座のように学ぶと良いと思います」
「この講座で、自分の畑の土の性質を確認できた点がとても良かった。資料も科学に基づき論理的で大変良かった」
「来年の野菜作りが待ち遠しい・・本当に改めてボケていられない・・講話を思い出し乍ら最高の品を作ってみますね」
「個々の事例に対する回答アドバイスがよかった。多くの事例がとても参考になりました」
「4回の講座にて少しは理解できました。来年は、良い土でたくさんおいしい野菜の出来るのが楽しみです。今後は、畑で直接実施を受けたい」
「野菜の栄養状態や土に対する思いもわき、来年の畑の楽しみが出来た」
「pHとEC測定する事で化学的なアプローチが出来るようになった。ありがとうございました」
「土づくりの具体的対策を知ることができて非常に参考になりました。ありがとうございました」





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