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主催講座4「国際データ通信網と北海道」

第1回「北極圏光海底ケーブル敷設計画とは」

2022/06/17

 6月14日(火)主催講座4「国際データ通信網と北海道」の第1回「北極圏光海底ケーブル敷設計画とは」を石狩市花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、北海道大学北極域研究センター助教のユハ・サウナワーラさん、受講者は27名でした。
 ユハ・サウナワーラさんは、フィンランド北部のロヴァニエミ生まれ。2003年から1年間北海道大学に留学、2009年に北海道大学客員研究者となり2017年から北海道大学北極域研究センターの助教を勤めていらっしゃいます。日本史と現代社会、フィンランドと日本の関係、北極域通信インフラと国際関係、観光との関連など多岐な分野について勉強されているそうです。
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 以下は、お話の概要です。
◇インターネットはどこにある?
インターネットは、雲の中にあるものでも衛星を介してデータが送られるものでもない。世界は、ワイヤレスで繋がっているものではない。
インターネットのバックボーンは、データセンターと光ファイバーネットワーク。
◇通信インフラ
主流は、固定通信ネットワーク(光海底ケーブル)
他に、固定ワイヤレス・固定無線ブロードバンドやモバイルワイヤレスなど。
さらに
・静止衛星、長楕円軌道衛星や現在および将来のトレンドとして、低軌道衛星など世界中あらゆる場所で接続できる高速サービスの提供が計画されているが、莫大な費用がかかり、それを誰が出すか?
◇現在の光海底ケーブル敷設状況
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◇課題
重要インフラの過集中、過密状態。
現在の状況では、自然災害リスクも高い。
光海底ケーブルと人災
・故意でない損害
底引き網やアンカーなど。
・故意の損害
難しいが盗聴も不可能ではない。サボタージュはより簡単に実行できる。ケーブル着陸ステーションは簡単なターゲットになる。
◇北極海への敷設メリット
・新たな経路で敷設することでケーブル網の多様性を高める事が出来る。
・北極海は、東アジア、ヨーロッパ、北米間のデータ通信の遅延を減少させるショートカットになる得る。
・新しい容量の必要性がある。
◇アクターが既存のケーブル経路を利用したがるのはなぜ?
・既存のルートを利用すれば、海底の地形や堆積物の種類、自然災害発生の可能性やインフラへの影響の記録など環境的条件のデータがすでに揃っている。
・ある企業が、自社または他社がすでに陸揚げしている場所で陸揚げした場合、停泊禁止ゾーンやその他漁業関連の問題は既に解決している可能性が高く、また海岸線における環境的影響についても議論が蓄積されている。
・未実証のルートを使う場合は、管理にかかるコストが高くなることがある。
・ケーブルシステムが損傷した場合、それを修復できるケーブル敷設船の数はごくわずかで、新しいルートを使う場合、敷設船からケーブルまでの距離が遠くなる可能性もある。
・新たな接続ポイントを設ける際は、市場の需要が見込めるかどうか不確実である。
◇北極ルート敷設の現状や計画
①ROTACSプロジェクト
・北東航路経由で欧州と東アジアを繋ぐ構想は、ロシア北極横断光海底ケーブルシステム(ROTACS)プロジェクトを立ち上げた2000年代初頭までさかのぼる。
・プロジェクトは、ロシア当局から承認を受け、通信担当省から補助金を得たものの実現しなかった。
・2018年春と2019年春に国防省は、セヴェロモルスクとウラジオストク間に北極横断光ファイバーケーブルの敷設計画を発表したが、実現しなかった。
②ARCTIC FIBREとQuintillion
・アラスカを拠点とする企業(Quintillion社)は、カナダのArcticFibre社と合併し、アラスカで海底および地上光ケーブルを含む局地的ケーブルシステムをすでに構築している。
Quintillionは、北西航路を経由して日本、アラスカ、カナダ北部、グリーンランド、ロンドンを接続する北極横断海底ケーブルを計画している。
③Arctic Connectプロジェクト
ノルウェーのキルケネスから日本に及ぶ光海底ケーブルシステムの敷設が計画されている。
2020年後半に経路計画案の一環として、調査船による沖合調査が実施された。
9月末にはCiniaアライアンスに日本、ノルウェー、フィンランドから新しいパートナーが加入。
2021年1月:Nordunetとの了解覚書(MOU)。
2021年5月:Megafon社は突然プロジェクトを停止。
④Polar Expressプロジェクト
・2021年4月、運輸担当次官がテリベルカからウラジオストクへの6本の光ファイバーペアの敷設とロシア北極域および極東域における複数の陸揚げを許可したと発表。
・単一企業体のMorsviazsputnik社が北極横断ケーブルの管理者に指名された。
・MegaFon社がArctic Connectプロジェクトを凍結させたのは、国家主導のPolar Expressとの競合を避けるためと云う見方もある。
・ケーブル設置が開始されたが、2025/26年のみサービスの準備が整う。
◇北海道ニュートピアデータセンター研究会(HNDC)の提言書
「北海道をデータセンターのパラダイスに」
 北海道には北米やアジアへ直接接続する国際光海底ケーブルがない。日本の主要な対外接続先は北米で、北海道が北米の主要拠点と新規に光海底ケーブルシステムで結ばれれば既存の国際光海底ケーブル網に参加でき、北海道の強みである再生可能エネルギーの提供や大規模データセンタ―建設への道が開ける。
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 以上が本日のお話しの概要です。イメージとしては、インターネットは無線で繋がっていると考えがちですが、実際は光海底ケーブルと云う有線で繋がっていたとは驚きでした。お話を聞くと現在の光ケーブル体制では限界もありそうなので、北極域ルートの拡張が望まれます。また、北海道にも早く光ケーブルが敷設されて欲しいものです。
  
 最後に受講者のコメントをご紹介します。
「今日の講座は全く知識がなく参加しました。衛星だけでなく世界中が多くのケーブルで繋がっていることに驚きました。ノルウェーと日本に及ぶケーブルがロシアを素通りする計画もあることに複雑な思いで聞いていました」
「興味のあるテーメでお話しいただけて良かった。海底ケーブルの現状の問題点等が良く分かりました。次回の講座を楽しみにしています」
「現代生活の中で避けて通れない通信システムについて学ぶ機会が持てた事を大変良かったと思いました。ほぼ分かっていない事ばかり。難しい話題ではありましたが認識を深める第一歩になった気がします。講師の先生への関心もあり2回、3回と楽しみにしています」
「海底ケーブルがなぜ必要かが良く分かりました。国々が協力し合って少しでも早い敷設を!今後データ量が多くなると思いますので石狩にデータセンターを」
「ロシアが関与するケーブル敷設は困難と云うことが感じた。北海道ユートピア計画は是非推進して欲しい。フィンランドと石狩を友好都市にする架け橋にユハさんになって欲しい」








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