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主催講座1「家庭菜園で美味しい野菜を作るこつ」第3回「家庭菜園のポイント『収穫と今後の管理について』」

2023/06/21

 6月16日(金)、主催講座1「家庭菜園で美味しい野菜を作るこつ」の第3回「家庭菜園のポイント『収穫と今後の管理について』」を石狩市花川北コミュニティセンターで開催しました。講師は、大道技術士事務所代表で元拓殖大学北海道短期大学教授の大道 雅之さん、受講者は25名でした。
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 大道さんは、受講者の質問への回答から始められました。
1.受講者の質問への回答
◇ササゲの発芽が良くないが?
 販売されている種は悪くても70~80%は発芽しますが、発芽には地温が大きな影響を与えます。何より地温が上がってから播くのが一番です。地温と発芽の関係を今年を例にとると、暖かい日と寒い日が交互に繰り返したので、発芽するまでに例年より時間がかかりました。
◇ネギ坊主ができたネギはどうしたら良いか?
 ネギの特性として、年を越すと花が咲きます。今年植えたネギに花が咲くのは6月の低温で不時抽苔したものです。いずれにしろ、早めに葉を摘んで食べて下さい。
ネギには、1年ネギ、2年ネギ(越年ネギ)、分けネギ(株分けで増やす)の3種類があります。
◇ポット苗のナンバンは2本植えになっているがどうしてなのか?
 ナンバンとししとうは苗の時にはほとんど判別できないので生産者が区別するためにナンバンは2本植え、ししとうは1本植えにしています。またナンバンは太くなりにくいので、植えこむ時は2本まま植えて差し支えありません。1本にしたいなら、丁寧に根をほぐして分けて下さい。
◇らっきょうやしょうがを育てるには?
 らっきょうは水はけの良い砂地が適します。しょうがは、温度が必要なので難しさがあります。また、どちらもウイルスにかかりやすいです。
◇肥料や水をやり過ぎた時はどうしたら良いか?
 やり過ぎた時の対処法はありません。肥料は基本的に少なめに施して足りない分を追肥するやり方が良いと思います。水については、一般的に野菜は干ばつには強いが冠水には弱いので、畑の水はけを良くし、少しでも高畝にすると良いと思います。
◇ナスの仕立て方は?
 一番花の下の側枝2本と主枝の3本仕立てとし、わき芽はすべてとります。露地での切り返しは難しいですが、お盆までくらいなら収穫した所の下の葉を3枚残して切り返し、収穫を続けることもできるでしょう。
◇有機栽培の野菜は栄養価が高く美味しいか?
 有機だから絶対美味しいと云う客観的な研究データは出ていません。そもそも野菜の品質は、味だけでありません。
※有機農産物の品質について、中野明正「有機農産物の品質」(2009年「タキイ最前線」秋号)が参考資料として添付されていました。
それによると、有機農産物は有用な化学成分含量が慣行農産物より多いと云う研究結果は得られていないが、食物のおいしさは主観に左右されること、また無機肥料成分(KやP)は有限なので、堆肥や生産残渣などの有機資源を活用して循環させる仕組みづくりが必要であると書かれていました。
また、大道さんによると、収量が少ない有機栽培だけでは世界の人口をまかなえないのではないかとのことでした。
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野菜の品質には、基本的特性と付加価値的特性の二つがあります。
①基本的特性
 安全性、栄養・機能性、嗜好性などがあります。
・安全性
 野菜は、安全でなくてはなりません。アレルギー物質はきちんとした表示が必要です。有害有機物(硝酸、シュウ酸―えぐみ)や残留農薬(抜き打ちチェックされている。北海道はクリーン農業を推進している)も安全性に関わる要素です。
・栄養、機能性
 ビタミン、ミネラル。炭水化物、たんぱく質、食物繊維。糖、有機酸、アミノ酸。生体調節機能(ポリフェノール、リコピン)
・嗜好性
 味(糖―甘さ)。香り。色(カラーの野菜は食欲を増進します)。食感(歯ごたえ、舌触り)。
※安全性、栄養・機能性は客観的な評価ができますが、嗜好性は主観的なものなので、客観的な評価は難しい。
②付加価値的特性
・用途性
 加工適性や簡便性(使いやすさ)など。
・保存性
 収穫後も野菜は生きて呼吸しています(糖類の消耗が起きる)、蒸散(水分の減少)、エチレンの発生(組織の老化)、低温障害(さつまいもは冷蔵庫に入れると低温障害を起こします)など。
 保存について―トマトはジップロックに入れて冷蔵庫で保存すると4週間は保ちます。ピーマンやレタスは2か月保ちます。
 アスパラやネギは寝せると立ち上がろうとして消耗するので、冷蔵庫では縦に置くと良いです。

2.今後の管理について
・収穫
家庭菜園では食べごろで行って下さい。
・水やり
作物は大きくなると水が必要。トマトは、1mくらいの大きさでは、毎日1株1ℓ以上できれば2ℓが必要です。ピーマン類はその半分。
・追肥(果菜類)
20日おきに1株5~10gやると秋まで収穫を続けられます。
・収穫後の処理(果菜類)
収穫が終わったら下葉を取ると良いです。
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 お話は以上ですが、質問への回答と有機農産物のお話でほとんど時間が尽きてしまったので、今後の管理についてのお話をもう少し聴きたかったところです。ただ、随所に家庭菜園での各作物の栽培のこつについてのお話があったので、受講者には参考になったようです。
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 最後に受講者から寄せられたコメントをご紹介します。
「大変興味深い講座で良かったです。自己流で毎年挑戦していますがなかなか上手になりません。でも主人と二人楽しんで土にふれることが大切だと思っています。講座を受けて自分流で良いと思いました。参考になりました。ありがとうございました」
「各種質問にお答えいただき参考になりました。農産物における基本的品質要素の分類とその要因の説明は良かったです。菜園での基本的な取り組み方法を分かり易く解説いただき参考になりました」
「今日のタイトルからはなれた講義でした。テキストの説明を時間をかけてききたかったです」
「有機農産物と慣行農産物の比較研究ではどちらがよいとは言いがたいことがわかり、有機作物が良いとばかり思っていた考えを少し改めたいと思いました」
「とても勉強になりました。ありがとうございました。『美味しい野菜』ができそうです」











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