2023/12/12
12月7日(木)まちの先生企画講座4「ミツバチとハチミツ~ハチミツから見る石狩の自然」の第2回「ミツバチの生態とその生産物」を石狩市民図書館で開催しました。講師は尾形優子さん、受講者は17人でした。
【概要】
ミツバチの生態、どんな昆虫であるか、ミツバチの生産物ハチミツの成分・作用、活用術を学んだあとワークショップでウコンハチミツをつくって持ち帰って頂いた。
【内容】
はじめに、今回はミツバチの生態、どんな暮らしをする昆虫かということや作り出すハチミツの奥深さ、それ以外の成分も作り出しています。よく聞くプロポリスとかローヤルゼリーとかの言葉も理解できるのではと期待していますと挨拶のあとスライドの資料を使いながら講座が始まりました。
1、セイヨウミツバチの生態
ミツバチはコロニー(群)で生きる昆虫。巣箱一つ一つがコロニー(家族)。コロニーは一匹の女王バチと2万~5万匹の働きバチ、10~15%の雄バチで構成される。写真の巣箱3段は大家族、2段は中家族、1段は小家族、大きな場合は4段5段もあるが女王バチは一匹。2.女王バチ
1コロニーに一匹。寿命は4年から5年。
一度だけ外に出て交尾をして一生産む精子を貯め込んで巣に戻る。1年に約20万個の卵を産む。
1日1000~2000個を産んでいる。一生ローヤルゼリーだけを食べる。
3.雄バチ
コロ二―全体の10~15%。寿命は約1か月。
仕事は女王バチとの交尾のみ。することはこれだけ(笑)。
特徴は体が大きい、特に目が大きい。
女王バチを早く見つけるため。
遺伝子を残すだけでいいので越冬前に巣箱から追い出される。
4.働きバチ
2~5万匹。寿命は約1ヵ月~7、8ヵ月。全てメスバチ。孵化後3日間はローヤルゼリーで、その後は花粉とハチミツで育つ。3日目以降もローヤルゼリーを与え続けると女王バチになる(生まれたときは差はない)。
日齢ごとに仕事が割り振られる~以下働きバチの日齢ごとの役割。
5.働きバチの日齢ごとの役割
①0~5日目は掃除係
自分が育った巣房を掃除。周りの巣房も徹底的に掃除。とってもきれい好き、一匹一匹の免疫力が非常に弱いので常に清潔に保つという昆虫。
②5~15日目は給餌係
女王バチや幼虫にローヤルゼリーを与える。この日齢の働きバチだけがローヤルゼリーを分泌することができる。
若い働きバチが花粉を食べて分泌する栄養価高くハチミルクと呼ぶ。
何を食べたかで女王バチになるか働きバチになるかが決まる。遺伝子は同じ。
③8~16日目は巣作り係
ワックス腺が成熟し、ミツロウを分泌する。
黄色と黒のシマシマは柄でなく節で、そこから蜜ろうを出している。
10グラムのハチミツを食べて1グラムの蜜ろう。新しい巣板の増築、古い巣板の修復などを担う。水分が飛ばされてハチミツが出来たらミツロウで蓋をする。
④12から24日目は貯蜜係と門番係
・貯蜜係は蜜を受けとり巣房に貯める。羽ばたきで水分を飛ばしハチミツになるとミツロウで蓋をする。
・門番係は巣門前(1カ所だけ)で蜜を盗みに来る外敵の侵入を防ぐ。主な外敵はアリ、スズメバチ・アシナガバチ。
巣箱の温度調整を行い24度~34度に。寒いときは羽ばたきで温度を上げ、暑いときは巣門から風を送り込んで温度を下げる。
巣の位置を知らせる。
⑤20日目以降~は収穫係 いわゆる働きバチ
収穫係は外の世界へ飛んでいき、花蜜と花粉、プロポリスの材料を集めてくる。一回に体重の半分の花蜜を胃の中に入れて運んでくる。一生でティースプーン一杯分のハチミツを生産。
プロポリスは巣の修復、原型を保つために使う。
6. セイヨウミツバチの生態
ミツバチは集団で生活し、その生活を支えるために必要な物資を自ら作り出すという昆虫。
ハチミツ、プロポリス、ビーポーレン(花粉)はミツバチが水分を飛ばすなどの加工したもの。
ミツロウ、ローヤルゼリー、蜂毒は食べて体内で作り出したもの。
蜜ろうーキャンドル、鎌倉時代から和ろうそく、修道院、教会などのろうそく。
ローヤルゼリー。
蜂毒―ミツバチの毒針で刺されると痛いが人間の体内成分に近いので一時腫れるが、スズメバチのようなことはない。
7.ミツバチ生産物
①ハチミツ
ハチミツは、ミツバチの日常の食糧であり、越冬用の保存食である。そのため、飽和状態まで水分を減らし巣房に溜め、蜜ろうで蓋をしている。
何で糖度を上げるか?
・糖度75度以下だと発酵する。
・写真は糖度が上がり蜜蓋をしたもの
②ハチミツの主要成分
・主要成分は果糖・ブドウ糖だがその他の糖(麦芽糖・オリゴ糖他)、アミノ酸、有機酸、ミネラル、ビタミン、酵素、その他、多種多様な成分が含まれている。
・蜜源由来により組成の違いがあるが、含まれる成分は微量でも活性型(経年劣化しない)でそれぞれの効能を発揮するという大きな特徴あり。
・果糖とブドウ糖の成分の違いは蜜源の花蜜の違いから。ブドウ糖が多いと結晶しやすい。
13度前後で固化する。果糖成分の多い純粋なニセアカシアのハチミツは結晶しない。⇒結晶の有無で真偽は判定できない。
・それぞれの成分について説明があったが、具体的には以下のハチミツの作用で説明された。
③ハチミツの作用
⑴抗菌・殺菌作用・創傷治癒作用
高濃度の糖度80%前後で菌は生きてけない。有機酸(グルコン酸)。
グルコースオキシターゼはオキシドール成分と同じ。
各種ポリフェノールーーポリフェノール数多くあるが抗酸化作用が共通。
植物由来のポリフェノールは抗菌作用あり、マヌカハニー(オーストラリア・ニュージーランドのマヌカから採取)が有名。
⑵ アンチエイジング、美肌作用・・・化粧品・石鹸・ハチミツ入り製品多い。
高濃度の糖による肌の吸湿・保湿。
グルコースオキシターゼ
ビタミンB群、アミノ酸、ビタミンC、グリシン・・・
⑶生活習慣病の予防
多種多様なビタミン、ミネラル、フラボノイド、有機酸などの働き。
果糖・オリゴ糖...血糖値を上げない!!
アセチルコリン...血圧
カリウムなどミネラル類...塩分排出
フラボノイド(ケルセチン、ケンフェロール、グリシン...)
⑷その他
・毎日食べ続けることは良いこと!!
疲労回復、即効エネルギー(ブドウ糖・果糖)
二日酔い(果糖は肝臓のアルコール代謝)、胃腸の不調改善、整腸作用
咳止め・去痰
貧血、更年期障害の緩和
認知症予防(認知症と歯周病との関連研究ありハチミツの果糖・ブドウ糖はミュータント菌に効果)、骨粗しょう症予防、血行不良、冷え性、こり、不眠、イライラ...
8.ハチミツの活用術いろいろ
【健康に】
・軽いやけど・切り傷に、ハチミツ絆創膏
・喉のケア、口内ケアにハチミツ水うがい
・風邪のひきはじめにハチミツミルク
・熱が出てしまったらハチミツ水+レモン(熱下げる)
・風邪かな?という時にハチミツ大根(辛み成分に抗菌作用・しっぽの部分、刻み・すりおろすとより効果高い)
・長引く咳にハチミツ入りコーヒー
・花粉症に
【美容に】
・疲れたお肌にゆったりお風呂でハチミツパック(クレオパトラもやっていました...スプーン1~2杯を顔に塗り、風呂のお湯で洗い流すとハチミツ風呂になる、湯冷めしない)
・お出かけ前のレスキューハチミツマッサージ(しっとり、化粧のり良し)
・結晶ハチミツでシュガースクラブ
・毎日の洗顔にハチミツをプラス(米粒1つ位を混ぜて泡立てる...美白効果)
9.ワークショップ:ハチミツレメディ(アーユルベーダ―のレシピ)
【創傷ケアに効果抜群 ウコンハチミツ】
〇用意された容器に入ったウコンとハチミツを先生の指示された量で混ぜてウコンハチミツの出来上がり。使用方法を聞いて今日の講座が終了。出来たウコンハチミツは用意された袋に入れて持ち帰りです。
【基本レシピ】・ウコン(ターメリック) 1
・ハチミツ 3(今回は小さじ1(5ミリ)の目印まで入れる)
清潔な容器に材料を入れて、よく混ぜる。
ペースト状になれば出来上がり!!
【使い方】
傷、火傷、褥瘡など患部に塗って、絆創膏や包帯、ラップなどで包む(色移り防止)。
ウコンにも抗菌作用あり、インドの伝統医療アーユルベーターでも使われている。
適宜取り替える。
ニキビ、肌荒れ、靴擦れ、床ずれ、おむつかぶれなどにも良い。
薄めてうがい水でもいい(風邪、インフルエンザ予防)。
質問:市販のローヤルゼリーの作り方
女王バチの巣は王台といい、少し大きい。働きバチはローヤルゼリーをずっと入れ続ける性質を利用して、人工の王台を作り、溜まったローヤルゼリーを横取りしている。
ローヤルゼリーは母乳と同じで若いミツバチだけがハチミツと花粉を食べてつくるので若さの秘訣。
女王バチの寿命を予測して新しい女王バチを作るのは働きバチ。
〇今日もミツバチ、ハチミツに関する山ほどの情報を頂き講座は終了しました。改めて、身近なミ
ツバチとハチミツの奥深い神秘な世界に驚かされました。
アンケートから代表的なものを紹介します。
「本日も目から"うろこ"の感じで講座を受けました。大変参考になり楽しく勉強させて頂きました」
「働きバチの使命が多岐にわたり驚きである。ハチミツの効用は万能薬ではないか!Amaizing」
「ハチミツの効用に驚くばかりです。早速使用します。抗菌作用の強さ、効用の広さにはおどろきました」
その他多数