6月19日(水)、まちの先生企画講座3「わが子のパーソナルトレーナーになろう」の第1回「オリエンテーション」を石狩市花川北コミュニティーセンターで開催しました。講師は、石狩レッドフェニックス球団専属トレーナーの高岡広一さん、受講者は17名でうち生徒さんが2名参加されました。
さて、講座開始!
「みなさんよろしくお願いします、石狩レッドフェニックスの専属トレーナーをしています理学療法士の高岡広一です。皆さんと同じ目線でお話したいので、座わらせていただきます」
「私は、小学校4年生から野球をやっていたのですが、中学生の時に靭帯を切って試合には出られませんでした。その経験から、ケガをする前にできることはないかと思い理学療法士を目指しました。さらにスポーツ選手のサポートをしたいと考えてトレーナーをやっています。また、トレーナ―の他に幅広い年代の方を対象にピラティスというパーソナルトレーニングを指導しています。何か、身体のことでお聞きしたいことがあれば何でも聞いて下さい」
「本日は皆さんに3つのお願いがあります。一つ目は、今日はお子さん連れのほかにも様々な年代の方が参加されていますので、いろんな身体の悩みを共有させていただきたいと思います。そして、ディスカッションしながらその都度こうしたら良いですよ、と解決していければと考えています。二つ目は、お子さんのことだけでなく親御さんご自身の事でも良いので、何でも聞いて下さい。三つ目は、特に子供さんをお持ちの方に対してですが、お子さんの力になれるのはトレーナーの私たちではなく親御さんです。是非、身体のことについて興味を持ってもらいたいと思います」
■問題の聞き出しと対応策
◇野球をやっている子供さん―肩や肘が痛い。
・痛む所は、使い過ぎている所。できれば、ほかの所も使うようにする
・物を持つ時にすべての指(特に小指と薬指)でしっかり握る事が大事。ボール、買い物袋、ペットボトルなど皆同じ。すべての指でしっかり握ると肩に負担がかからない。肩こりなども同じ
◇肘に剥離があって病院にリハビリで通っている。今は痛みはない(小学生)。
・肩周り、胸周りの柔らかさのチェック
背中で握手ができるか?反対は?もう一つ、背中で頂きます(合掌)、ができるか?
・病状の判断は、いろんなトレーナーさん、病院の意見を聞いた方が良い。
◇子供(中学生)の歩き方がおかしい
つま先は、どっちを向いているか?内股―反り腰になりやすい。ガニ股―ヘルニアになりやすく、猫背を助長する。つま先(足の真ん中は人差し指)をまっすぐにすると内股、ガニ股になりにくい。
姿勢を正すには、足先をまっすぐにすると良い。
◇O脚で足をひきずる
O脚は、足の外側の筋肉が張りすぎて、内側が弱い状態。40代半ばまでは、O脚は筋トレで直ることも多いが50代以上になると骨が変形することもある。
内ももを締めるには、お尻の穴を締めて背を伸ばすと良い。
◇腰、肩が痛い
身体の関節は、動いて欲しいところと動いて欲しくないところがある。
足首―動いて欲しい、膝―動いて欲しくない、股関節―欲しい、腰―欲しくない、胸周り―欲しい、首―欲しくない。
・お尻の硬さチェック
片方の足を反対の足に組んで、組まない方の足首を掴めるか。これが柔らかくなると腰痛がなくなる。
・背中とお尻の筋肉の関係性
筋肉の走行は交差していて、右の背中の筋肉は左のお尻の筋肉と、左の背中の筋肉は右のお尻の筋肉につながっている。単純化して言うと、右の肩が凝ったら左のお尻のストレッチで解消できる。腰痛が取れたら肩こりが取れる、というように腰と肩はつながりがある。
◇体温が低い
・筋肉があると代謝はあがる
筋トレをやる場合、たんぱく質を取って下さいと言われるが、たんぱく質だけでは駄目。ビタミンDが大切。ビタミンDを多く含む食品は、キクラゲ。
20歳の男性が筋トレで筋肉がつくのは約8週間後。年齢が高くなる程その期間は延びる。
代謝を上げるには裏ももを鍛えるのが効果的。
・裏ももを鍛える運動
股関節に手を置き、お辞儀したまま立ち上がる。この運動は、日常ではトイレでやっている。
・選手の子どもさんのチェックポイント
股関節に手をあてて、片足で立ってお辞儀する。この時、つま先、ひざがまっすぐになっているか、横から見てつま先より膝が前に出ていないか、親御さんがチェック。
親御さんが、チェックポイントを把握していると、子どもさんが怪我しないように見守ることが出来る。
大人では、ゴミを拾う時に膝を前に出さないこと。
◇骨が鳴る
骨が鳴らない身体を目指したい。
・肩甲骨を背中に寄せることができるか
肩甲骨は、感覚が鈍いので、ストレッチが難しい。
・肩の力を抜いて、そこからさらに下げる
脇に力が入る。体温計を挟むような感じ。
◇首が痛い
・首を動かす
まず、先に目を動かすこと。目の動きが良くなると首の痛みが取れる。
・上を見て背中を反る
目から動かさないと、ほかの所に負担がかかる。目を向きたい方向へ先に向けると首に負担がかからない。
親御さんは、子どもに声をかける時にいつも同じ方向からではなく時々方向を変えてあげると良い。
◇整体で背中を鳴らしてもらっている
背中の首下から腰上ならOK。
◇左肩が下がって上がらない
肩甲骨は肋骨に乗っているだけで、ほぼ筋肉だけでつながっているので、土台の肋骨が大事。
鎖骨の周りをほぐす。特に下側をほぐす、上側はやさしく、さらに脇の肋骨をほぐす。これで肩の動きが良くなる。
二の腕が痛いときは、外側から内側に向かって、筋肉をはがすイメージでほぐす。
◇成長期のお子さんを持つ親御さんへ
試合などでは結果だけを話がちだが、身体の使い方について、どうだったか話すことが大事。
■ゴールデンエイジについて
1)プレ・ゴールデンエイジ(3歳~6歳)
神経系の発達が著しい時期。たくさんの種類の運動が必要。
どれだけ遊んでいるか。裸足でどれだけ遊んだか(靴下を脱いで裸足で遊ばして欲しい)。
2)ゴールデンエイジ(6歳~12歳)
神経系が成熟し、動きの巧みさを身につける時期。より競技特性に合わせたトレーニングが必要。
ここまでで、親御さんが子どもに声を掛けられるか。
3)ポストゴールデンエイジ(12歳~14歳)
脳が発達し複雑なトレーニングが可能となる。心肺機能が一番高まる時期。
普通の筋肉は、発達させることが出来るが、心肺機能は15歳以上では発達させることは出来ない。鍛えるのは、中学2年生まで。
※親御さんへ
子どもさんの技術ばかり追い求めないで、身体のことも気にかけて欲しい。
自分の体は、ひとつしかないのに、意外に気に掛けない!
4)75歳からのゴールデンエイジ
75歳からのゴールデンエイジがあると言われている。
■足の指を動かせるか
靴を脱ぎ、親指だけあげる、親指以外の指をあげる、親指と小指以外の指をあげる。さらに、1本ずつ指を上げる。
足がつるのは、マグネシウムが足りない。硬水を飲むと良い。マグネシウムが足りると軟便になる。親指と小指に体重を乗せて歩くと良い。
「それでは、本日はこれで終了しますが、次回は股関節の話などをしたいと思います。何か聞きたいことがあれば、インスタグラムのほうへいつでも聞いて下さい」
今回のお話は、運動をしている子どもさんや親御さんばかりでなく、年配者にも大変参考になるお話でした。
最後に受講者から寄せられたコメントをいくつかご紹介します。
「運動をしていなくてもいろいろ体のことが知れて良かったです。とりあえず自分の体の固さと運動不足を痛感しました。娘の姿勢を良くすること、自分の体のメンテナンスを今後頑張りたいと思います。ありがとうございました」
「知っているのと知らないでいることの違いの大きさ!成長と運動の適切な時期を知る。肩こり、又痛みが発生した時の対処の仕方が真逆だった!本当に目からウロコてきな講座でした。次回も楽しみです」
「体の仕組みが解り体の疲れがとれそうです。ストレッチを何となくするのではなく、考えながら毎日動かすことが大事だと思いました。ありがとうございました」
「日常生活にすぐ使える事、ためになることが多くて大変良いと思います。(具体的でわかりやすい内容でした)2回目のゴールデンエイジが楽しみです」
「一つ一つ丁寧に話して頂きとてもわかりやすかったです。子どもがスポーツをしていても、何をどうすればいいか解らないことが多かったので、勉強になりました。(大変よかった)」