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主催講座8「韓国滞在16年の教授が語る素顔の『韓国』」第3回「韓国人から見た日本、日本人から見た韓国」

2024/09/12

 令和6年9月3日(火)主催講座8「韓国滞在16年の教授が語る素顔の『韓国』」の第3回「韓国人から見た日本、日本人から見た韓国」を石狩市花川北コミュニティセンターで行いました。今回の講師は北海商科大学教授の水野俊平さんで、受講者は42名でした。
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 水野さんは、まず、第2回のアンケートにあった質問「韓国の主な宗教は何ですか。 世界統一協会は問題を起こしませんでしたか。 朝鮮時代、「東方医?」という立派な医書を作ったと聞きましたが今でも使われていますか。今でも韓国にトラはいますか」に対して、以下のように詳しく答えていただきました。
 韓国人の宗教は無宗教が46.6%、仏教が22.8%、プロテスタンが18.3%、カトリックが10.9%、儒教が0.5%です。仏教について、韓国には墓も寺も無く、私の印象ではもっと少ないように思う。統一教会は資金集めをやっているが、あまり問題になっていない。韓国には東方医に関して朝鮮時代の立派な医書「東医宝鑑」(1613年刊行)があり、韓国三大医書のひとつとされている。韓国では東洋医学が中心で漢方医は正式な資格となっていて、鍼などがよく行われている。韓国ではトラは絶滅して今はいません。
 水野さんは、今回の話は『日韓メモリー・ウォーズ』(朴 裕河、上野千鶴子、金 成玟、水野 俊平著;2017、弦書房)と『笑日韓論』(水野 俊平著;2014、フォレスト出版)の書籍をベースにしていると述べて話を始められました。
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 以下にお話の概要を記します。
1.世論調査(外務省)の結果 
・外務省が実施する「外交に関する世論調査」は無作為に抽出した男女3,000人を対象とし、諸外国に対する親近感と外交関係の重要さを尋ねている。韓国に親しみを感じるかという調査では「親しみを感じる」という回答が男性では47.1%、女性では58.1%となっており、女性の方が親しみを感じているようである。また、世代としては若い世代の方が親しみを感じている(下表)。
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・韓国に対する親近感を年毎に「親しみを感じる」(青線)と「親しみを感じない」(赤線)をグラフで示したのが下図である。政治情勢によって大きく変化し、たとえば1981年に「親しみを感じない」がピークを示したが、これは韓国で軍事政権が生まれたからである。また、1988年に「親しみを感じる」と「親しみを感じない」が逆転して「親しみを感じる」が増加したのはオリンピックがあったからである。金大中政権が誕生して日本に融和的となり日本文化の解放でアニメなどが多く韓国に輸出されるようになって「親しみを感じる」が増えるようになった。ワールドカップや「冬のソナタ」などの韓流ドラマの流行があって「親しみを感じる」が多い状態が続いた。しかし、竹島上陸や朴・文政権の誕生、徴用工問題などに対する苛立ちがあって「親しみを感じない」が増える状況が続いた。
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2.世論調査(言論NPO)の結果
・言論NPOが実施する「日韓共同世論調査」では無作為に抽出した日韓の18歳以上の男女約1,000人を対象として、相互に対する親近感や認識・大衆文化への関心などを尋ねた。信用できる調査と思われる。
・2023年5月に実施された調査の結果を以下のグラフで示す。青線は日本世論で「良い印象を持っている」、赤線は「良くない印象を持っている」です。一方、緑線は韓国側の世論で「良い印象を持っている」、紫線は「良くない印象を持っている」です。2023年では日本世論の「良い印象」が「良くない印象」を逆転したが、韓国で保守派の尹政権が誕生したことの反映と思われる。
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・良い印象を持った理由と悪い印象を持った理由を日本と韓国の両方で調べた結果が以下の表です。日本で良い印象を持った理由としてK-POPや韓流ドラマ、韓国の食文化などが上位を占め、韓国では日本人の親切さや生活レベルの高さ、日本製品の品質の高さ、食文化やショッピングなどが上位を占めた。一方、悪い印象を持った理由として、日本では韓国人の歴史問題や領土問題に対する頑な態度をあげており、韓国では歴史問題に対する認識や領土問題、従軍慰安婦問題、元徴用工問題などをあげている。
・日本と韓国の間には現在四つの問題「領土問題」「靖国参拝問題」「歴史問題」「慰安婦問題」が存在している。
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3.日韓の歴史問題
・韓国では歴史問題が重要だと考えており、一方、日本では歴史問題に対する韓国人の態度に違和感を感じているように思う。
・歴史問題で解決すべき問題点として日本あるいは韓国はどのように考えているのか、下表に示す。日本では、韓国の反日教育や教科書内容、歴史問題に対する過剰な反日行動などを解決すべき問題点としてあげている。一方、韓国では、日本の歴史教科書問題、従軍慰安婦問題、侵略戦争に対する日本の認識、元徴用工問題などが解決すべき事項としてあげている。
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・日韓関係における竹島(独島)の重要性について、日本では「重要である」と考えているのが32.4%であるが、韓国では60.4%となっており、両国の認識の差が出ている。
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・韓国は歴史問題などで日本に対する反発が強いが、「相手国に行きたいか」の問いに対しては「行きたい」が55.0%となっていて、別の面も見せている。

4.大衆文化について
・相手国のポップカルチャー(大衆文化)を楽しんでいるかの問いについて、日本では「とても楽しんでいる」「ある程度楽しんでいる」が合わせて36.1%、韓国では18.5%となっている(下表)。
・「ポップカルチャーによって相手国の印象が向上しているか」の問いに対して、日本で89.2%、韓国では61.8%が向上していると答えた。また、「政府関係が悪化しても、相手国のポップカルチャーを楽しむか」に対して、日本は「楽しむ」が53.7%、韓国は「楽しまない」が47.3%となっている。
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・相手国の大衆文化の中で興味がある分野として、日本ではドラマ(40.7%)と音楽(KPOP)(34.6%)をあげているのに対し、韓国では漫画やアニメ(57.0%)とドラマ(25.3%)が上位を占めている(下表)。
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5.相手国への好感度
・韓国の東北アジア歴史財団が韓国リサーチに依頼して男女1,000人に対して行った2024年5月の調査結果を以下に示す。
・中国に対して好感度を持っているが10.1%しかなく86.2%が否定的に捉えているが、日本に対しては57.3%が好感度を持っていると答えている。
・「日本への好感度」は女性より男性が高く、20代男性が特に高い。日本に対する信頼度は35.1%、中国に対する信頼度は6.1%しかない。「日韓関係に関心ある」が78.9%、「関係改善が必要」は61.9%であった。「日本は歴史を反省している」は16.5%しかなく、「反省していない」が65.3%であった。
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6.「韓国のイメージ」と「日本のイメージ」
・東京都立大学の教授であった鄭大均が『韓国のイメージ』(1995年、中公新書)という本の中で、日本人の韓国に対する関心・言説を5つに分類している。考え方としては頷けるところが多い。
①植民地体験型:直接経験した植民地体験に基づく関心・言説
②贖罪型:植民地支配を謝罪しなければならないという関心・言説
③イデオロギー型:信条に従って韓国と連帯しようとする関心・言説
④歴史型:朝鮮半島と日本の「歴史ゆかり」に関する関心・言説
⑤関心型:韓国と日本の文化的な差異に関心・言説
現在はこれに⑥嫌韓型と⑦韓流型が加わっている。
・一方、鄭大均は『日本のイメージ』(1998年、中公新書)という本も出版しており、韓国における「日本のイメージ」を次のように分類している。
①文化的優越意識:日本に文化を伝達してやったという優越感→日本の文化は野蛮・猥雑・低俗・残虐で見るべきものはない。
②猜疑心:日本は朝鮮半島を侵略した恐るべき敵である→戦後補償、在日に対する差別、歴史教科書、靖国神社
③肯定と賞賛:日本人は親切・正直で誠実・勤勉である→過去には日本が世界的な経済大国であるという賞賛もあった。

7.日韓で漂う根拠のない言説
 ここからは私の意見です。
・日韓関係は良好である。しかし、政権が変われば展望は不透明になる。今は政治的・外交的問題・懸案を棚上げした状態であり、歴史教科書・靖国参拝・慰安婦・竹島(独島)と徴用工問題が残っている。しかしながら、これらは一般市民が解決することができる問題ではない。
・日韓間には根拠のない、悪意のある言説が流布されていて、両国の国民感情を悪化させる要因となっている。日韓で漂う根拠のない言説としては以下のようなものがあるが、全て根拠がない。
①「くだらない」の「くだら」は「百済」のことである(もともと、百済を貶めるような言説だったが、後に「百済のものでなければ大したものではない」という言説に変質)。
②お祭りの際の掛け声「わっしょい」は韓国語の「ワッソ」から由来
③日本語の「端(はな)」は韓国語の「ハナ」から由来(裏付ける文献や資料は無い)
④「五木の子守唄」の歌詞は韓国語から由来
⑤日本の帯と着物は布団と枕である。
⑥美空ひばりの父親は韓国人である。北野武も韓国人である(美空ひばりの父親は栃木県出身の日本人で兵役にも行っている)。
⑦「バカチョンカメラ」の「チョン」は朝鮮人のことである(「チョン」は「ちょん切る」が由来で「半端もの」という意味からきている)
⑧藤崎八旛宮大祭の掛け声「ボシタ」は「朝鮮滅ぼした」という意味(加藤清正が朝鮮を滅ぼしたということからこのような言説が出てきたと思われるが全く根拠がない。ただ、今では差別用語として使用禁止となり、別の掛け声となっている)
⑨日本列島は沈没する(≒沈没してほしい)という言説
⑩「朝鮮時代の女性は、皆胸を露出させていた」という言説(たまたま授乳の時の図を見たのかもしれない)
⑪韓国人は「トンスル(糞を発行させた酒)を飲む」という言説→中国では日本の人糞食「金粒餐」が捏造されたが、否定された。
・以上のような誤った言説を検証・否定するのは一般市民自身である。それでは、どのような手順でやるべきなのか、以下に述べる。
①日本と韓国の言説を公平に検証の俎上に載せるべきである。
②最大限多くの資料を渉猟して、客観性のある結論を導く。
③言説の検証と「韓国に対する好き嫌い」「日韓友好」は無関係
④検証の結果を韓国語で発信しなければならない。
⑤権威ありげな著名人や専門家の意見も一度は疑ってみる→「モシイッタ=おもしろい」説、「日本海軍李舜臣崇拝」説など
・「モシイッタ」(粋だ)の「モシ」が「おもしろい」という語源は以下のようなことから否定される。
①「モシ」は中世朝鮮語には現れない。その当時は「マシ」だった。
②「おもしろい」は奈良時代に現れ、「おもしろし」だった。
・日本海海戦に参戦した日本人が李舜臣に戦勝を祈った、ということも否定される。
①司馬遼太郎が川田功の『砲弾を潜りて』を読んで、水野広徳の著作と勘違いしたうえ、その書名も忘れてしまった。
②そのまま『坂の上の雲』に引用し、それが韓国語に翻訳されて広まってしまった。

8.結論
 繰り返しになるが、以下のように結論できる。
・日韓関係は良好である。しかし、政権が変われば展望は不透明
・政治的・外交的問題・懸案を棚上げした状態
・歴史教科書・靖国参拝・慰安婦・竹島(独島)+徴用工
・これらは、一般市民が解決することができる問題ではない。
・日韓には根拠のない、悪意のある言説が流布されている。
・両国の国民感情を悪化させる要因となっている。
・こうした誤った言説を検証・否定するのは一般市民である。

 おまけとして以下を付け加える。
「日韓の新時代と言われ 四半世紀 待てど暮らせど変わることなし
 わるいのは 政治家だけよと 言う輩 その政治家は 誰が選んだ
 K-POP 流行れば 何が変わるのか 政権変われば 元の木阿弥
 李在明 政権取った 翌日に 再び始まる 不買運動
 日本来る 韓国人の大部分 3年前まで 反日闘士
 結局は 政権の顔色 伺って 反日にもなり 親日にもなる
 日韓に 漂う 嘘やほら話 正してこそが 真の友好」

 水野さんは今回もさまざまな質問、例えば「韓国では大統領が変わると前の大統領を告訴したり投獄したりするが、日本はそうしない。なぜなのか?」「朝鮮の南北問題で、韓国の人は北朝鮮をどのように見ているのか?」「拉致問題はどのようになるか?」などを受け、丁寧に答えられた。

 最後に、受講者の感想や意見のいくつかを以下に紹介します。
「現在の北朝鮮との緊張について、先生のお考えを伺うことができてとても良かったです」
「おまけの話は最高でした。言説を安易に信じるな。日常に役に立ちます」
「歴史的にも地理的にも最も近く、色々な影響を受けている韓国のことを今まであまり知りませんでしたが、知ることができました。ありがとうございました」
「大変学ぶことの多かった講座でした。3回とも各々興味深く、日韓理解のスタートになった気がします。日韓の歴史的問題の深い溝があることは確かであるものの、政治的立場と一般国民の認識の違いを強く感じます。司会された西さんの教科書の取り扱いのお話から改めて日韓の立ち位置の違いを感じました。改善のためには希望を持つも、かなり困難とも」
「韓国の人は日本が朝鮮半島を侵略。根強い反発や対抗心があり、対日感情が非常に強いわけですから、時間をかけても政府のリーダーがもっと関心を持って誠意を示して行動してほしいですね。水野講師の詳しい内容の資料、講演のおかげで深く考察できました。運営委員の皆様方にお礼申し上げます」
「誤解していることも多かったが、韓国や北朝鮮との関係を改善するにはかなりの時間が必要だと感じました。個人的に韓国人と話しても反日感はないが、韓国の方針に基づいた教育を受けた人たちを理解するためにも日本が歴史的行為を正しく学ぶ必要があると思いました」
「韓国の考え方に政治が大きく影響を与えていることに納得できました。自己中心的考えはどこの国も陥ることですが、今回の講座で少しだけ理解ができてとても良かったです。ありがとうございました」




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